九州北西部、玄界灘に面した人口約11万人の街、唐津。唐など大陸方面の津(港)という意味から「唐津」と呼ばれてきたこの地は、古来からの異国文化と豊かな自然が生み出す美しい景色が調和しています。
唐津湾に松浦川、そして玄界灘が育む豊富な魚介類は個性豊かな食文化を育み、旅先の一献をより魅力的なものにしてくれます。
今日はここ唐津から、明治創業のうなぎ店「竹屋」をご紹介します。地焼きの鰻を肴に、地元の酒蔵「鳴滝酒造」の日本酒を楽しみたいと思います。
汽水域がある唐津は鰻が名物
県庁所在地の佐賀駅からJR唐津線のローカル列車に揺られること70分。
唐津の玄関口、唐津駅。唐津曳山像が迎えてくれます。駅前からすぐにすぐに中心街が広がり、目指す竹屋も徒歩数分。
材木町、呉服町、刀町と、江戸時代からの住所が今も残る中心街は、散策するだけでも楽しめます。
唐津といえば、玄界灘でとれるイカ料理が名物。割烹や寿司店、そして唐津焼などのを販売するお店が立ち並びます。
少し時間があるので、市役所となりの「大手口バスセンター」から市内循環バスに乗車。唐津城を横に見ながら、バスは舞鶴橋を渡り特別名勝虹ノ松原へ。
大正築の木造3階建て
観光のあとはお待ちかねの竹屋へ。江戸時代は刀鍛冶だったという竹屋。明治になって松浦川でとれる鰻を食べさせる料理屋になり、現在に至ります。建物は大正期に建てられた木造3階建てで、国指定有形文化財に登録されています。
隅々まで手入れが行き届き、ぱりっとしたなかにもぬくもりを感じる店内。鰻店というよりも、やはり料理屋といったほうが正しいような雰囲気です。
お昼から夜7時まで通しで営業しています。お酒を飲むことがメインではありませんが酒類は豊富で、ビールは樽生がサントリーザプレミアムモルツ(610円・取材時)、瓶でアサヒスーパードライとキリンラガー(大びん660円)を用意。お酒は地元唐津のお酒で「聚楽太閤」です。
軽く飲むならば、蒲焼きや白焼きの単品、二人、三人ならばうなぎ丼に箸休めとしてうざく(820円)や肝佃煮(720円)など追加しても良さそうです。要予約ですが、冬季は牛すき、鶏すきも用意があります。
地焼きのうな丼
うなぎ丼・肝吸い付き(2,460円~)。主に九州南部の小ぶりの鰻を使用し、西日本らしい蒸さずに焼き上げる”地焼き”で仕上げた竹屋の鰻。うなぎの脂で燻し焼き上げられ、蓋を開けた瞬間こうばしい香りがふんわりと顔を包みます。
これはたまらないと、鰻を食べる前にお調子を傾けます。鰻の香りに続けてお酒の米の甘い香りは、もうそれだけで幸せにしてくれます。上燗ほどにつけてもらったお酒をきゅっとひとくち。旨口のお酒で鰻を迎える準備は整いました。
ぱりっとした皮、もちっとた食感が有りながらも、口の中でゆっくり脂がとけだしていきみるみるうちに柔らかくなっていく鰻。タレは甘さは控えめで上品な印象です。
呼子のイカに代表される玄界灘の海の幸が全国的に知られていますが、鰻を肴に昼食がてらの一献もまた良いものです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 竹屋 |
住所 | 佐賀県唐津市中町1884-2 |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 11:30~19:00 [日・祝] 11:30~18:30 日曜営業 定休日 水曜日、第3木曜日 営業時間・定休日は変更とな |
開業年 | 明治初期にうなぎ店へ |