白金高輪「鳥平」 おしゃれな街にも酒場は必要です。優しい手作り料理で一献。

白金高輪「鳥平」 おしゃれな街にも酒場は必要です。優しい手作り料理で一献。

2019年9月9日

「白金高輪へ飲みに行こう」

そう誘われたら、おしゃれなワインバーや地元の御婦人方が贔屓にされているビストロへ行くのかなって思いませんか。いやいや、Syupoのオススメはもちろん大衆酒場。創業50年以上、家族で営む焼鳥の店「鳥平」です。

白金は、その昔は下屋敷があった場所。明治以降は皇室の御用邸や財閥系の邸宅が立ち並ぶ高級住宅街として街の歴史を歩んできました。もちろんハイクラスなお店も多いのですが、赤ちょうちんの存在は街に深みを増してくれます。

白金高輪や白金台、恵比寿駅のいずれからも徒歩10分ほど歩く場所にあって、それもあってお客さんの大半は地元の方。顔なじみの皆さんが「おっ!」と軽い敬礼のポーズとともにやってきて、世間話がはじまります。お店の方もお客さんも地元の方なので、会話の内容は非常にローカル。きっと多くの方がイメージされる白金とは異なる、ここは大変にあったかい雰囲気です。

樽生、瓶ともにビールはアサヒ。よく洗浄されているディスペンサーから、キンキンに冷たい樽生アサヒスーパードライを注いでもらって、では乾杯!

お通し小鉢をつまみつつ、今夜の献立を組み立てます。

生ビール(中550円)、瓶ビール(大びん700円)、酎ハイ類は500円均一で、割材と甲類焼酎(キンミヤ)が別々にでてくる方式。後ほど紹介しますが、焼酎の量が多く500円でも2杯分は飲めますから、実はお値打ち。老舗酒場らしいシンプルな飲み物の顔ぶれです。

看板料理のもつ焼きは1本100円で1本から注文可能。市場から入る新鮮なモツが、長年地元の方に支持される理由のひとつでしょう。料理の品書きも実にシンプル。

おつまみは店内の短冊から選びます。「ところてん」(350円)は昨今の店ではめったに見かけませんが、老舗にあるとなんだか嬉しくなる一品。明太子サラダやちくわ磯辺揚げ、鮭ハラスなど、一品料理は500円前後。仕入れによっては海鮮刺身も揃います。

今日のおすすめがこちら。みょうが天やそら豆など、旬の料理が並びます。

常連さんが注文されている温豆腐(350円)。素朴ながら味の濃い豆腐とふわふわの削り節が、じっくり飲ませてくれる一品。炒飯をよそうような中華皿なのもおもしろいですね。

割材はホッピービバレッジのものが使われています。HとPをイメージさせる独特なロゴが特徴の緑瓶から注いで、では乾杯!

先に、ここの焼酎の量について触れましたが、ナカをおかわりするとこんなにたっぷり。(写真上)

甘くマイルドな印象のキンミヤは飲み心地がよくてピッチが上がりがちなので飲み過ぎに気をつけないと。

粘度高めで甘さしっかりのタレを纏ったもつ焼きが焼き上がりました。手作りのつくねはモチモチ、下処理が丁寧にされているシロはふわっとして余計な脂分を感じないすっきりした味です。

塗り重ねるように焼いたきつね色のシロは、たとえ毎日のように食べていたとしても恋しくなります。そして、その余韻にチューハイを当てていきたくなります。

こちらは「ねぎま」(250円)。といっても、これは「葱鮪」のほう。その昔、鮪のトロの部分は刺し身や寿司ではなく、鍋や焼きで葱と一緒に食べていたのが「ねぎま」。脂がのって口の中でとろける鮪と甘く柔らかい葱の相性のよさは言うまでもありません。

常連さんが夕飯がわりにふらっと立ち寄りっていく。そんな姿に心はほっこり満たされます。そして手ごろで美味しい料理にお腹も満たされていい気分。白金の人情感じる良い酒場「鳥平」です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

鳥平
03-3449-7421
東京都港区白金5-14-7
17:00~22:00(土不定休・日祝定休)
予算2,500円