ノースシドニー「Tachinomi YP」 オーストラリアでも角打ちスタイル。いつもの日本産ビールで乾杯

ノースシドニー「Tachinomi YP」 オーストラリアでも角打ちスタイル。いつもの日本産ビールで乾杯

乾き物や缶詰をおつまみに、いつものビールで乾杯。手の込んだ料理はでないけど、ふらりと立ち寄り軽く一杯ひっかける手軽な呑処。酒屋の一角でお酒を楽しむ「角打ち」というスタイル。江戸時代にはすでに確立していた飲み方です。

昨今は手軽さだけでなく、大人の駄菓子屋とも言えるムードを求めて、角打ちを訪ねる人は増えています。

そんな日本の角打ちスタイルが、2018年、ノースシドニーにも誕生。その名も「Tachinomi YP」です。酒販店ではなく、営業形態は飲食店となりますが、お店の雰囲気は日本の明るい雰囲気の角打ちそのものです。

 

シドニーは、大きく入り組んだシドニーハーバーに沿って形成された街。ヨーロッパによるオーストラリア開拓の起点となった場所です。

今回訪れたのは、このシドニーハーバーを挟んだ対岸。ノースシドニーです。ガイドブックでお馴染みのハーバーブリッジを鉄道や路線バスで渡っていきます。

 

シドニーは公共交通の整備がかなり進んでいて、どこへ行くにもあまりストレスなく移動可能。大きな連接バスが街の主要な道路を網羅しています。

 

「Tachinomi YP」があるこの界隈は、クロウズネスト(カラスの巣)と呼ばれるエリア。1800年代の早いうちからベッドタウンとして開発された場所です。

高層ビルが立ち並ぶ中心街「シティー」と街並みは異なり、こちらは低層の建物が多く、落ち着いた雰囲気です。飲食店も多く、人気のカフェなどがあります。

 

さぁ、着きました。「Tachinomi YP」。創業は2018年。

 

店名の通り立ち飲みの店で、数席だけは丸椅子の用意もあります。駄菓子屋的なイメージもあって、ちょっと懐かしい日本のおもちゃで遊ぶこともできます。

 

口開けに来たのに、もうすでにお客さんの姿が。

 

隅々まで日本の酒販店の角打ちスペースのようなグッズで溢れています。店員さんも日本人で、お話を伺うとワーキングホリデーでシドニーに来ているそうです。オーストラリアと日本のワーキングホリデー協定は来年で40年。ここの店員さんのように、シドニーで一時的に働く日本人の姿を多く見かけます。

 

アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーのポスターやP箱、装飾品に囲まれ、日本人の店員さんと会話をしていると、7,800km離れた日本の角打ちに戻ったような錯覚です。

冷蔵庫には、まさかの宝焼酎ハイボールまで。外国人には、日本の”チューハイ”は実は結構人気だそう。

 

缶ビールは世界中のお酒売り場で日本の銘柄を買うことができますが、ここは瓶ビールからRTD(缶酎ハイ類)、さらにはドラフトビールまで、さも当然かのように並んでいるから驚きます。

日系酒類企業の現地法人による製造やライセンス生産ではなく、日本からわざわざ輸入されたビール樽。

 

赤星だって、千葉県船橋市で製造されたもの。地球最南端の赤星かと思いきや、どうやらもっと南極寄りでも飲める場所があるそうですが、少なくとも、一般人が観光で気軽に飲める最南ではないかと思います。

 

では乾杯!

角打ちスタイルですから、お支払いはキャッシュオン。乾き物の塩豆をおつまみにして、ビヤタンを乾かしていきます。

 

輸入コストがかかるため、お酒はどうしても高め。オーストラリアは安くて美味しいビールやワインクーラーが存在するので、価格だけでみればなかなか厳しめ。それでも、駐在員や長期出張の邦人にとっては、少し高くても飲みたくなる故郷のお酒です。

 

おつまみは、乾き物、缶詰、そしてカップラーメン。〆の丼は意外にも地元の皆さんに人気だそう。

 

松戸生まれの缶酎ハイ。宝焼酎ハイボール。

店内はかなり日本。そして、開放された扉の向こうは完全にオーストラリア。未来のひみつ道具「どこでも行けるドア」越しで景色を見ているような不思議な気分が、なんだかとても楽しいです。

日本人旅行者はあまり飲みに来ないそうで、お客さんの多くは近隣で働くOZ(オーストラリア人)だそう。日本の酒場文化、着々と広まっています。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

Tachinomi YP
https://www.facebook.com/tachinomiyp/
shop 1/20 Burlington St, Crows Nest NSW 2065 オーストラリア
18:00~24:00(金17:00~・土日16:00~・不定休)
予算A$20