シドニー「ロード・ネルソン」 オーストラリア最古のパブで自家製ビールに舌鼓を打つ

シドニー「ロード・ネルソン」 オーストラリア最古のパブで自家製ビールに舌鼓を打つ

2019年5月2日

1770年、ジェームス・クックによって発見されたオーストラリア。東部を「ニュー・サウス・ウェールズ」と名付け、イギリスの土地としました。それから18年後の1788年、イギリス人の入植が始まります。開拓の最初の地となった場所が現在オーストラリア最大の都市、人口500万人が暮らすシドニーです。

シドニーの街の中でも、最も古いエリアが「ロックス」で、19世紀初頭のヨーロッパの町並みが今も残っています。そんなオーストラリアのヨーロッパ人開拓原点の地には、オーストラリア最古のブルワリーパブがあります。

1841年開業の「ロード・ネルソン・ブルワリーホテル(The Lord Nelson Brewery Hotel)」です。ホテルという名がついているのは理由があります。もちろん、宿泊は今も可能なのですが、シドニーのほとんどのパブには、宿泊主体でなくとも店名に「ホテル」とついています。その話は後ほど。

 

オセアニアを代表する都市、シドニー。港湾都市で複雑な入江が街の奥まで入り込み、海と街が共存しています。ハーバーブリッジとオペラハウス、象徴的な風景もポート・ジャクソン湾の一部です。

シドニーへはANAの直行便で羽田空港から9時間30分ほど。機内でハンターバレー産のワインを飲んでいればあっという間です。シドニー(キングスフォード・スミス)国際空港から中心街へは電車(Sydney Trains)で15分ほどと近いです。

 

オペラハウスにハーバーブリッジ、そして各方面へのフェリーや大型客船も集まる、シドニーらしい眺めが楽しめる港に接する駅「Circular Quay」に到着。ロックスも目指す「ロード・ネルソン」も、ここから徒歩圏です。

 

起伏がある丘の街で、かつては丘の砂岩を削って建物の建材としたそう。地名がロックスなだけありますね。往時の様子を今に伝えるそうした建物や重厚なレンガ造りの施設が立ち並び、シドニーの過去と現在が融合しています。船乗りや兵士、港湾労働者で栄えた様子を想像しながら歩くのも楽しいです。

ロックスの町並みの多くは、遠くグレートブリテン島から運ばれてきた囚人たちの手によってつくられたものだと、通りがかりの街案内のボランティアの方が話していました。

 

アーガイルカットという手彫りのトンネルを過ぎ丘を登りきったところに建つのが「ロードネルソン」。長い船旅をしてビールに飢えていた人たちにとって、ここは今以上に天国だったに違いありません。丘を登って私も喉がからから。さぁ、角の青い扉から入りましょう。

 

映画に出てくるような、これぞ港町のパブ。

営業は午前11時から午後11時まで。一階がパブで、二階はフルサービスのレストラン、その他、宿泊することも可能です。まだ正午だというのに、店内は地元OZたちがビール片手に談笑しています。

 

注文はキャッシュオン。ビールやフードを注文し、飲み物を受け取ってお好きな席へどうぞ。フードは出来たら運んできてくれるので、どのテーブルで飲んでいるかも伝えます。

オーストラリアにも日本のアサヒやキリン、サッポロのような大手ビール会社がありますが、ここで提供されるものはすべて店内で醸造されたもの。つまり、180年近く続くクラフトビールのお店ということになります。

 

ビールは、THREE SHEETSやOLD ADMIRALを看板に合計6種類。保存料や添加物、糖類を一切添加していないナチュラルな製法でつくられています。個性あるフレーバーのビールもあって、あれこれ飲み比べをするのが楽しいです。PONY TASTE PACK(A$15.00)は4種類飲み比べのセットです。PONYは140mlのことで、4杯合わせて560ml飲めます。もちろん足りませんので、気に入ったビールを追加で1パイント(笑)

フルーティーで後味が苦い、はっさくのような柑橘類のイメージが近いペールエールのTHREE SHEETSが特に美味しく、気に入ってだらだらずっと飲んでいました。※国内外を問わずお酒は適量で。

 

シドニー名物のミートパイやオーストラリアらしいワイルドなステーキをはじめ、フィッシュアンドチップスやハンバーガーといったパブ料理が一通り揃うお店。スタッフのお兄さんのオススメでピザを注文しました。トッピングやソースをいろいろと組み立てられます。

メニューはこちら(公式サイト)

 

いちごや生クリームにも見えるまるでケーキのようなピザ。ダイナミックなミートピザもありますが、ちびちびビールを飲みすすながらつまむのには、これくらいがちょうと良いです。

 

テーブル席で飲んでよし、サーブするカウンターの隅っこで立ち飲みするもよし、テラスで潮風と太陽の光を浴びるもよし。自由に過ごせるパブリックなハウスです。

 

そうそう、シドニーのパブには「ホテル」と名がつく理由ですが、昔の法律で、夜間お酒を提供できる施設はホテルのみと決められていたのだそう。そのため、簡易的な宿泊スペースをパブの片隅にカタチだけつくって、ホテルと銘打ってパブを営業していました。

ただ、ここロードネルソンは、スタンダードルームで一泊250ドルと、ちゃんとした宿泊も可能。ブルワリーに泊まってビール三昧のシドニーライフなんて最高でしょうね。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

ロード・ネルソン(The Lord Nelson Brewery Hotel)
+61 2 9251 4044
19 Kent St, The Rocks NSW 2000 オーストラリア
11:00~23:00(日は12:00~22:00・基本無休)※レストランは通し営業ではありません。
予算A$20