ホッピーが濃い。24時間営業で深夜や朝でも乾杯できる。そんな魅力的なワードが踊る店が新宿にあると聞いたら、飲みに行かずにはいられません。その名は「ねこ膳(ぜん)」。
しかも、料理は唐揚げ一個100円からと、千円あればしっかり楽しめるお財布に優しいお店なのですから素晴らしい。
場所は歌舞伎町や伊勢丹新宿本店からも近く、ふらっと酔いざましがてら散歩で梯子もできる立地にあります。
新宿といえば、新橋と並び世界的に知られた巨大飲み屋街。横丁の小箱や半世紀続く老舗、数多のチェーン店が軒を連ねます。一軒目は思い出横丁、二軒目は新宿末廣亭近くの洋風酒場、三軒目はゴールデン街で馴染みのママと乾杯…
ちょっとまって、一周回って、もう一回飲み始めたくなりませんか。酔い覚ましがてら、花園神社へ。今宵の無事の帰宅を祈願して、ねこ膳を目指しましょう。花園神社から徒歩数分なので、ちょうどよい寄り道です。
飲食笑商何屋ねこ膳、歴史あるお店ではありませんが、すでにすっかり新宿の風景に溶け込んでいます。
ねこ膳の名の通り、提灯や行灯で可愛らしい猫たちがお出迎え。24時間年中無休の文字がこそっと書かれていますが、眠らない街・新宿でもこれは貴重なスポットです。
厨房に向いたカウンターと壁側にテーブル席を配置したさほど大きくはないお店。いつの時間でも、新宿らしく年齢も職業も様々な幅広い層で賑わっています。
お酒はサントリー系で、ビールはサントリー・ザ・モルツの樽生。ホッピーは白・黒揃っていて、セットは400円。酎ハイも380円と深夜・早朝やっている単店としては十分に心強い価格です。
料理もリーズナブル。定食は600円台から、おつまみも100円台のメニューが意外なほど充実しています。売出し中の芸人さんや若いアーティストの方の利用が多いのもうなずける良心価格です。
味噌かつ親子丼や特製グラタンなど、深夜に見てはいけない”飯テロ”の数々。手書きの優しいPOPが素敵。
食材の仕入れや調理方法についても、しつこくない程度に語られています。ここが新宿であることを忘れさせてくれるようなほっこりした内容です。
焼酎はキンミヤを使用。まずはレモンサワー(380円)をいただいて、乾杯!氷はさほど多くなく、しっかり飲んだ気分になれます。
おつまみに温奴(150円)やポテサラ(100円)などをちびりとつまみつ、酎ハイをきゅっと。これで気持ちは一軒目。もちろん朝酒・昼酒だって、こういう穏やかなペースから始めたいものです。
そうこうしているうちにやってきました、名物・ねこ膳グラタン(480円)。深いガラスボールにたっぷりはいった焼き立てグラタン。カレー風味にチーズの香ばしさも加わり、食欲をかきたて、お酒を誘います。
ねこ膳人気のコロッケ、そしてマカロニと定食用のカレーを重ねていき、最後にたっぷりのチーズをトッピングして焼いたもの。かつては裏メニューだったそうで、いまでは大人気の一品です。頬張りはふはふ食べて、すっと酎ハイで口を冷やすように追いかければ、今日も新宿は幸せです。
やはりこれを飲まないといけません。みてください、ジョッキ7割に水面がきたナカ。焼酎たっぷり、これで400円、小銭でしっかり酔えてしまいます。
ホッピーより焼酎のほうが多い。そのため、ソト(ホッピー)が減らず、飲み干したらナカ(焼酎)をおかわりしてしまいます。ソト1、ナカ3の、しっかり濃いホッピーを飲みきったら、すっかりいい気分でしょう。
※飲酒はほどほどに。適正飲酒を。
いま何時?え、もう終電の時間?
お店の雰囲気は、いつでも飲み屋さんのピークタイムです。芸人さんも、会社員も、夜のご商売も、今日も美味しい手作り料理を目指して笑顔で集う店。BGMが懐メロで、少し昔にタイムスリップしたような気分です。
新宿飲み歩きで立ち寄りたい候補の一軒としてぜひ。
さて、リセットして大ガード近くのビールが安い店にはしごしましょうか(笑)
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
飲食笑商何屋ねこ膳
03-3200-1710
東京都新宿区新宿5-17-1
24時間(年中無休)
予算1,800円