北海道地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
最北の街・稚内。年間を通じて豊富な魚介類が揃い、海鮮で飲みたい人にはたまらない場所です。
名物のウニやホタテを提供する食堂や寿司店が知られていますが、古くからやっているお店も多く、海鮮にこだわらず、”コレだ”ってお店に飛び込んでみるときっと楽しい時間が過ごせることでしょう。
例えば、食堂と中華の店「よしおか」はチャーメンが人気料理ですが、イカ刺しやホッケなどの海鮮も当たり前のように揃え、お酒も充実した素敵な酒場でもあります。
宗谷地域の空の玄関・稚内空港に降り立ちました。東京羽田からANAが結んでいて、最北の街は遠くに思いつつも、飛行機に乗ったらあっという間という印象です。
空港から稚内市街へは空港連絡バスが繋ぎます。航空機に接続しているので乗り継ぎも安心です。
街の中心はJR南稚内駅周辺の「大黒」とJR稚内駅周辺の二箇所。ホテルや飲食店街もふたつに別れていて、人口3万5千人の街ながら、表情の異なるふたつの飲食店街が存在します。
冬季は厳しい環境にある稚内も、夏季は外国人観光客や避暑に訪れる日本人、グルメ旅を楽しむ人々で賑わいます。ホテルもビジネスチェーンからANAクラウンプラザホテルまで充実しています。今回はアクセスの良さ重視で、JR稚内駅正面にあるこちらに宿泊。
駅、ANAホテル、北門神社、病院などが集まる一画が「中央町」。お昼から通しで営業する海鮮食堂もあるので、スタートダッシュで浜焼きとビールなんていうのも良さそうです。
さて、夜になりました。この間に何軒か梯子酒をしていますが、それはまた別の機会に。〆の一軒として選んだ「よしおか」は、近隣の居酒屋のカウンターでお世話になったご主人のおすすめから。歴史あるお店ですが、過酷な冬を乗り切るため重厚な建物になっています。
店内はザ・いい感じのカウンター酒場。23時頃の訪問にもかかわらず、テーブル席はほぼ埋まり、カウンターでも地元の旦那衆がお湯割りをちびりとなめてはほろ酔い会話を楽しんでいます。
懐かしのボンボン時計に誘われて、お酒はここでも進みそう。銚子は一本350円、生ビール(セパレ)はサッポロ黒ラベル。チューハイもありますが、常連さんは皆さんボトルキープの焼酎がお気に入りのよう。
チャー麺、ラーメン、野菜炒めと中華の顔ぶれですが、定番以外に仕入れに応じた海鮮が豊富に加わります。
はしごしても、最初はやっぱり生ビール。恵庭うまれの黒ラベルで乾杯!たっぷり入る500ジョッキが嬉しいです。
おでんやお銚子が整然と並んでいます。隅々手入れをされて大事に使っていらっしゃるようで、こういう老舗はいいものです。小上がりで飲んでいるご夫婦は近くのお寿司屋さんだそうで、仕事上がりにここで一献傾けるのが定番とのこと。
遅い時間まで営業しているので、近隣の飲食店の方にも親しまれています。
観光で訪れていらっしゃる方にはチャー麺が人気。でも、ここは先に飲んでいたお店でオススメいただいたしっかり黒いつゆに浸かったおでん(150円)をいただきましょう。利尻は昆布の産地ということもあり、昆布の旨味がたっぷり効いた美味しいおでんが勢揃いです。
もっと色々あるよと出てきたメニュー。新鮮な生イカ焼きやサンマ(2本700円)、刺身も豊富で一軒目にここを選ぶというのも十分にありえる選択でしょう。
最北の街で、こうしてのんびり日が変わるころまで飲めるお店があるなんて、いいものですね、日本の飲み屋街。
人情味たっぷりで照れ屋さんな女将さん。楽しい会話で更け行く夜を楽しく過ごさせていただきました。このタイミングでお客さん?あ、地元の飲食店さんですね。
夏季でもおでんを提供するという「よしおか」。猛暑日という言葉がほとんど関係のない稚内は、夏場でもおでんが美味しいわけです。
チャー麺と並ぶ人気の一品が手羽先(600円)。テリテリで甘さが微かにほどよい塩気。ぱりっとした手羽は確かにお酒が進む味。魚メインの街だからこそ人気な理由もわかります。オミヤでも用意してもらい、翌朝のJR宗谷本線の朝食としても楽しませていただきました。
〆のチューハイ(氷彩)。次々お客さんがあつまり、深夜の稚内のパワーを感じる店内。お昼は人通りが少ないのにどこにいたの?と言いたくなる賑わいです。
楽しい時間をありがとうございます。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
食堂よしおか
0162-22-6364
北海道稚内市中央2丁目7番7号
17:30~24:00(主に日休)
予算1,800円