現在、都内で24店舗、神奈川県で1店舗を展開する晩杯屋。もとは2008年、赤羽の老舗立ち飲み「いこい」をもとにして武蔵小山駅前で4坪からはじまった立ち飲み屋です。武蔵小山のいまはなき闇市の名残のある一帯の小さなお店は、驚きの安さと価格を裏切る価値で瞬く間に話題の店となりました。
筆者も晩杯屋の誕生当初から電車を乗り継いで飲みに行ったものです。人気が人気を呼び、店舗数を増やし続けてついに25軒。Syupo<シュポ>では、まだ店数が少なかった時代から新店舗を紹介し続けてきたので、読者の皆さんにもお馴染みの立ち飲みではないでしょうか。
山手エリアの飲み屋街を中心に展開する晩杯屋も、最近はベッドタウンへ進出。練馬区第一号は西武池袋線の保谷駅南口にオープン。西武池袋線を通勤に使う方には気になる存在。
典型的な晩杯屋配置。コの字があって奥にテーブル席が数卓。いまやお馴染みとなった、”ちょっと低い”カウンターも健在です。ちょっと低くすることで、微妙に居心地をいじわるして回転を促すスタイルです。
従来からの晩杯屋もキリンへの切り替えが進行中ですので、そろそろ晩杯屋のビールといえば「キリン」が定着しそう。500mlジョッキの昔ながらのサイズは、原点を赤羽にもつ晩杯屋のこだわり。たっぷり一番搾りで乾杯!
皆さん、晩杯屋の一杯目はなんですか?緑茶割り、はたまた宝ゴールデン?
フードメニューは、最近入れ替わりがはげしい。新商品の究極バリバリ春巻きやベーコンポテトなど、しばらく飲みにきていないうちに気になるのが入っていることも。
ドリンクメニューは、ビールが一番搾り。一番人気は緑茶割り。宝ゴールデンもすっかり定番に。下町の謎エキスこと天羽飲料の酎ハイや武蔵小山に本社がある博水社のハイサワー・ハイスキーも並ぶ。ドリンクメニューがここまでいい意味で”へんてこりん”なのは、酒場好きとしては嬉しい限り。
開発コンセプトとは裏腹に女性にも人気の男梅チューハイ。梅酒ではなく、梅干しエキスをイメージした味はクセになります。これ単体でおつまみであり、飲み物であります。
まぐろ刺身200円を筆頭に、かき酢や黒みる貝、かつお刺しなどの海鮮が200円前後の値付けが晩杯屋の看板料理。ボリュームや質は日によって上下がありますが、それもご愛嬌。
新商品では、この冬から登場の湯豆腐がおすすめ。310円と晩杯屋としては高級品ですが、さらに250円で牡蠣をトッピングすることが可能。単品で560円のスペシャリテの完成です。
白菜、豆腐、えのきがたっぷり。ここにおおぶりの牡蠣がごろごろと入ります。ひとりだと結構なサイズですが、シェアすればちょうどいい。晩杯屋って煮込み以外はあまり温まる液体系がなかったので冬場にうれしい。
晩杯屋は、ホッピーやバイス、人気のゴールデン(焼酎ハイボール)だけでなく、不思議酎ハイがいろいろ。
まずはジンジャーハイボール(290円)。宝甲類にソーダとジンジャーシロップをいれた酎ハイ。ジンジャーの香りと辛味がノドを刺激して、独特な味覚を楽しむもの。余韻がすっきりするので、レバホルモンと合います。
グレープフルーツハイ(290円)もおもしろい。ルビーをイメージするピンク色で、独特の苦味とフレッシュな香り、開発はレモンドリンク最大手のポッカ(現:ポッカサッポロ 以下:PS社)。コンクそのものにグレープフルーツがふんだんに使われているこだわりの割材。酸味があるので、磯辺揚げや大エビフライと好相性。
甘すぎないトニックウォーターをコンセプトに開発されたPS社のトニックウォーターを、ジンやウォッカではなく甲類につかったチュートニック。赤羽いこいでも人気の、大衆ロングカクテル。
ボトルに描かれた北極星がモチーフと思われる星マークは、一部のマニアに好評だとか。え、私?私はみんなすき。
そんなPS社のトニックウォーターを、昨年ウマソーダ(晩杯屋では馬ハイ)の名で晩杯屋をはじめ大衆酒場に登場したブレンデットスコッチ・ホワイトホースにあわせた晩杯屋オリジナルの馬トニ(330円)は、コーヒー牛乳ハイ以上のインパクトなドリンク。
ジントニック、ウィスキーハイボール、混ぜるな…あれ、混ぜるとこんな味?案外”アリ”かも。
などなど、引き続き、晩杯屋を紹介する際には謎多きチューハイ系ドリンクも紹介していきます。
保谷で現状、椅子のない立ち飲みで唯一の晩杯屋。住宅街に赤羽・武蔵小山のテイストが突然やってきました。お近くの方は一度覗いてみては。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社)
立呑み晩杯屋 保谷店
03-3921-2386
東京都練馬区南大泉3-31-21
15:00~23:30(土日祝は13:00~・無休)
予算1,200円