大阪「大阪屋」 堂々飲もう！朝酒どんとこい酒場でほろ酔いに

大阪梅田はディープな飲み屋とキレイな商業施設が入り組む不思議なエリア。大正、昭和、平成の雰囲気が地層のように積み重なり、その断面が露出しています。

朝から飲める大衆酒場や立ち飲みも多く、飲兵衛ならば毎日通っても飽きることはないであろう楽園のような街です。大阪、梅田のターミナルの隙間に広大に広がる飲食店はどこへ飲みに行こうか悩むわけですが、朝酒を楽しむときは昔からここを利用しています。1971年創業、新梅田食道街の老舗「大阪屋」です。

午前7時から営業。朝食の定食は300円と大変リーズナブルなのですが、驚くのはそれだけではありません。朝の開店と同時に飲みのお客さんがどっと入り、太陽が高い位置に昇る前に店内は酔客であふれています。

一階はランチ以降立ち飲みになりますが、午前中は椅子がありゆったり楽しめます。朝酒推奨店、前日の暴飲暴食の余波を引き釣りながらも、カウンターにトンと腰をかけたら、今日も楽しい飲み歩きの始まりです。

まずは瓶ビールではじめましょう。店前の大きな暖簾の通り、ビールはキリンです。クラシックラガーが似合うでしょ。大びんは嬉しい400円。大阪のご商売はすごいね。トトトっと注いで、それでは乾杯！

ガツンとくる苦味。憧れの味、酒場に似合うビールです。

料理は次々と小鉢に盛られて作られていくので、ここから選ぶのが早くていいい。別に品書きはありますが、早朝はまだすべて用意がそろっていませんので、ちゃちゃっと出来上がってきたものをもらいたい。肉じゃが美味しそう。

必ず食べるのが鯖煮つけ。醤油とみりんで甘く煮た食堂の定番の味。生姜が入っているので後味すっきり。鯖の脂の旨味が口に残っているくらいのタイミングで、ビアタンを口に運んでラガーをあてていく。いい気分。

次々と入っては出て行く朝食利用の人と混ざりながら、ゆったり朝酒時間。こういう生き方、ゆったり過ごす人生もいいものです。

どてミックスが出来上がったようなので、それをひとつ。甘めで旨味が強いながらもクセのないすっきりした味で、これがまたいいんです。一味をいつもより多めにかけてピリリとさせていただきます。

瓶ビールもいいけれど、ここの生もラガーだから。珍しいキリンラガーの樽生です。キンキンに冷えた生ビールはこのサイズで400円。大阪はどのお店も安いねー。朝からぐいっと生ビール。酒場人間のできあがり。

ゴーヤ炒めなど、料理の種類は豊富。どの主菜にもごはんと味噌汁つけて定食になるので、お酒は軽く一杯だけにして朝食利用をする人にも嬉しい。日本酒は月桂冠で260円。これまた安い。

ベテランのお姉さんが仕切る店内は、ちゃきちゃきとした接客が心地よく、常連さんとのかけあいも聞いていて楽しい。手間のかかる料理はないけれど、酒場好きならば空間そのものが「アテ」になるはずです。

つくられた昭和ではなく、まさに王道の大衆酒場がここにはあります。朝酒にいつも悩みますが、やっぱりここがスタート地点で間違いありません。大阪梯子酒の起点として、これからもずっと。

サラリーマンの味方でざっくばらんに乾杯しましょう。

ごちそうさま。

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（取材・文・撮影／塩見 なゆ）

大阪屋
06-6361-4881
大阪府大阪市北区角田町9-22 新梅田食道街 1・2F
7:00～23:30（日不定期休）
予算1,800円