高田馬場は飲み屋街。現役の学生向けの大箱飲み屋も多いですが、この街で青春を過ごした人々は、大人になり、人生を折り返したころでもやはりこの界隈で飲んでいることが多い。早稲田で学生時代を過ごしたふたまわり上の友人に教わったお店もやはり高田馬場にありました。
「とん八」は学生飲み屋街の高田馬場でも老舗の酒場です。もつ焼きを看板に掲げていますが、ご主人は料理自慢でお刺身から炒めまで幅広いおつまみが楽しめます。
魅力はなんといっても昭和を感じるL字のカウンター。内側には焼台と厨房。ここで次々とつくられていくおつまみは、自分の分でなくともよだれがでてしまいます。ご主人とお母様で守るお店は、高田馬場にありながら名門酒場の風格がたっぷりです。
なにはともあれ、喉の渇きを潤したい。ビールではじめましょう。入ってすぐの場所にある年代モノのビールサーバーにはキリンのロゴ。このタイプが現役なのは素敵です。
それではいただきましょう、キリンの生ビールで乾杯!
うん、美味しい、うん、でもあれ。一番搾りじゃない。そうなんです、こちらの生ビールは珍しいキリンのラガービールの樽生なのです。キリンの生といえば一番搾りなのは間違いない、ですが、ごく僅かなお店ではラガービールの樽詰めがあるのです。これはその、珍しいパターン。高田馬場にラガーの生樽があったなんて正直ここに出会うまで知りませんでした。思わず、ふへへと笑ってしまいます。
ドリンクメニューをみたのははじめて。いつも瓶ビールからのチューハイと流れていましたから。酎ハイ290円、ビールも普通サイズが400円は安い。
芋焼酎、むぎ焼酎、ウィスキー、日本酒は八重寿なのも老舗感が感じるラインナップ。
喉の渇きがたいへんでしたので、あっという間にラガーの生ビールを飲みきってしまい、腰を据えて飲むために瓶ビールにシフト。瓶はサッポロも置いています。サッポロの営業さんも飲みに来ているようで、店内には恵比寿様のお札もありましたが、お店の雰囲気はキリン寄りですね。
日本を代表する老舗ビール2社、両方が並ぶその姿は歴史ある東京の飲み屋らしい。黒ラベルの瓶はいつも飲むあの味。飲み飽きない、ほっとする味です。
さて、おつまみを。小肌刺身がここの名物で、たぶん年中きらすことなく置いています。一人前なのでしょうけれども、ボリュームたっぷり大きな一匹分でてきます。酢締めは甘く、なまっぽく旨味の強さを感じるものです。
とん八といえばポテサラ。高田馬場のポテサラを語る上で外すことのできない名物料理です。女将さんの手作りで冷蔵庫に巨大なタッパーで出番を待っています。
マヨネーズたっぷりなのに味はひかえめ、ハムやきゅうり、卵もはいった具だくさんてろてろポテサラは高田馬場に来たら一度は食べてほしい。これでハーフで、本来はもっと多い。とん八さんは料理にハーフという選択があるので、ひとり酒にも優しいです。
料理は400円前後。もつ焼きは別メニューで冷蔵庫にたっぷり冷えています。一本100円なので、ここはせっかくですからご主人が炭火で焼く串も食べませんと。
ハツ、カシラ、シロで。味付けは塩で。しろの塩が美味しいお店は少ないですが、私はこちらにきたら塩で焼いてもらいたい。くさみのない新鮮なもつは小ぶりながら旨味が強くお酒の友として裏切らないクオリティ。
高田馬場は若い人向けのお店や立ち飲み店が元気ですが、とん八のようなお店も探せばまだまだたくさんあります。新宿や池袋、中野など、馬場の周辺はいい感じの飲み屋街が多いですが、あえてこの街に飲みに来るというのもおすすめです。
なんでいいかって?それは、高田馬場の中だけで独特なコミュニティがあるんです。歌舞伎町から西武線で一駅なのに、この街にはなぜか地方都市の飲み屋街にあるような空気が漂っています。さぁ、繁華街に飲み飽きたら次は馬場ですよ!
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
とん八
03-3367-4361
東京都新宿区高田馬場3-2-12
17:00~23:00
予算2,000円