牛込神楽坂駅から徒歩5分の場所にある梅島酒店。この界隈で100年以上酒屋を続ける歴史ある家の三代目ご主人が営むお店です。ご主人の結婚式のときには宝酒造の当時の社長も来賓されたというのだから驚きます。
ここが角打ちを始めたのは昨年のこと。奥様やお子様が「角打ちをやってみては?」という提案をしたのがきっかけだったそうです。ただ、ご主人は飲食店的な立ち飲み屋になることを反対し、酒屋としてのあるべき姿は守りぬくという気持ちから乗り気ではなかったと話します。
条件として生ビールを売らない、酒屋の商品はそのままの値段で、場所だけ提供する。イートインの延長であって居酒屋には絶対にしない!というのを家族と取り決めて、それで始められたそうです。
最初は2卓しかなかった立ち飲みスペースも、お客さんが少しずつ増えてきて今では足りなくなり角打ちは大成功。今では場所も増やして、夕方からは毎日大いに賑わうようになったというお店です。
料理はださない、缶詰や乾き物を好きなように摘んで、お酒も買ったものを好きな様に飲んでいいという硬派な角打ちスタイルですが、私はそういうお店が好き。
店内ズラリと並ぶお酒は、ビールや缶酎ハイはもちろん、焼酎や日本酒も飲んでいいのだそう。4人ぐらいのグループできて一升瓶を囲んで飲んでいく常連さんもいらっしゃると聞きます。
焼酎、日本酒、ウィスキーの品揃えは安定した大手銘柄が中心で、腰を据えて飲みたくなるものばかり。とはいえ、立ち飲みですが(笑)
ビールは3社が並ぶほか、ほろよいや角ハイボール缶などのRTDの姿も。クリアアサヒがあるので、ビールよりも安く軽く飲みたいという人にも嬉しいですね。左下にはホッピーが赤白、クラフトビールも発見。
ソフトドリンクは割材として使えます。甲類焼酎はキンミヤを扱っているので、一本購入してトマトジュースで割ればお手軽トマトハイも作れます。
日本酒、ワインも用意され、酒屋ならではの豊富なバリエーションを好きなように飲めるという楽しさがあふれています。
それでは、飲み始めましょう。今日も暑かったー!こんな日はやっぱり一杯目のお酒はビールから。
黒ラベルでスタート、乾杯です!
コップはお店が用意してくださるので、せっかくなので移し替えて飲みましょう。
おつまみは定番の乾き物と缶詰、そして忘れてはいけないギョニソーです。
乾き物を選んでいると、店内の古いポスターや看板に気が付きました。さすが歴史ある酒屋さん。銘柄も黄桜、大関、菊正宗に日本盛。この渋さ、大好きです。
ほんの気持ちです、と出していただいた柿の種は無料。紙皿も用意してくださるし、いたれりつくせりです。
こういう酒屋さんで、外の日差しを眺めながら、左手で柿の種、右手でビールという組み合わせでのんびり過ごすのは、普通の生活では味わえないゆとりや安らぎがあるように感じます。
ご主人に取材ですとお話していたら、角打ちでは滅多に飲めない珍しいものがあるとオススメしていただいた商品がこちら。冷凍庫で凍らせたキンミヤ焼酎。なんと角打ちでシャリキンが飲めるのです!
しかも冷凍庫でシャーベット状にして飲むため専用に宮崎本店が開発したシャリキンパウチが110円で売られていて、それとホッピーをあわせれば200円台でシャリキンホッピーが完成です。いやいや、さすが酒屋さん。素晴らしい。
その後も順調に飲み進め、次はキリンの氷結を。コンビニで買う定番缶酎ハイですが、酒屋の店内で飲むといつにもまして美味しくなるから不思議。
乾き物をもらって引き続き飲んでいきましょう。
奥様は買い物に、ご主人は配達に。お子さんも学校から帰ってきて、なんだか親戚の家に上がらせてもらっているみたいな気分。それがなんとも心地いい。
続いて宝酒造の焼酎ハイボールに。下町の色付きのハイボールも、宝酒造のおかげでこうして酒屋で楽しめるようになり、感謝感謝です。
日本酒では、こんなものがあるよと紹介頂いた、新潟県上越市にある頚城酒造(越路乃紅梅が有名)の越後杜氏の里雪室熟成。初夏の限定酒で、加熱殺菌していない生酒を三ヶ月間、雪の冷気だけで冷やし熟成させたもの。新潟の酒米越淡麗をつかったすっきりとした味のお酒です。
美味しすぎて、4合瓶はみるみるうちに空っぽに。
白鹿をつくる過程を描いた歴史を感じる絵や、宝酒造がまだビール事業をやっていた時代の栓抜きやノベルティなど、酒屋や日本酒造業の歴史を研究愛好している人にはたまらないものばかり。
酒屋で飲むことを、ただ安く飲めるからというのではなくて、日本の酒文化を感じる専門店ならではの魅力があるということに改めて気付かさました。
神楽坂からも徒歩圏ですから、繰り出す前の一杯にもオススメです。ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
飯島酒店
03-3260-4322
東京都新宿区納戸町14
8:30~20:00くらい(日祝定休)
予算1,000円