神田駅周辺のビル群に囲まれながら、昔ながらの風情を残す『神田きくかわ』。1947年(昭和22年)創業、長年愛され江戸っ子御用達のうなぎ専門店です。嬉しいことに通し営業で、明るいうちからお酒も楽しめます。その特長はなんといっても大きな国産鰻の食べ応えと味の良さ。今回は、老舗多き神田で愛されてきた大衆鰻の名店をご紹介します。
昭和22年創業、神田らしい老舗で昼から飲む

神田駅北口から中央通り沿いを歩いて3分。信号待ちの目線の先に、和の風情をまとった茶色い一軒家が見えてきます。ビルに囲まれた都心のど真ん中で、これだけ堂々と存在感を放つ建物はそう多くありません。

昭和22年(1947年)創業、江戸前うなぎの老舗「神田きくかわ」。戦後の食料不足のなか、少しでも人々に力をつけてほしいという思いから始まった店だそうです。まさしく、大衆鰻の店。

週末やランチタイムは行列ができることもある人気店ですが、今回訪れたのは平日の16時。そう、待たずにすんなり入店できました。通されたのは2階。まずは瓶ビールを頼み、ゆっくり店内を眺めます。
16時台はまだ一人客がぽつぽつ座る程度で静かでしたが、17時に近づくにつれて空気が変わってきます。顔なじみらしい老夫婦、家族連れ、長年飲み仲間なのだろうご隠居さん風のグループたち。気づけば席の多くが埋まっていました。

ここは歴史ある街、東京・神田。夕方から鰻を肴に一杯やる常連文化がしっかり根付いているのがよくわかります。

16時半を過ぎると肝焼きやうなぎハム、うざくといったおつまみになる一品料理も献立に加わりますから、「うなぎ飲み」の需要は大きいんだと思います。ちなみに、品書きにある「キャベジン(460円)」とはキャベツの浅漬のこと。
一尾まるごと、豪快な「うな重イ」

注文したのは、一尾丸ごと入ったうな重「イ」(5450円)。鰻の量り方は店によって様々で、半身や小ぶりなサイズを用意する店も多いですが、ここは一番手頃なランクの「イ」からすでに一尾まるごとという太っ腹ぶりです。

注文から届くまで15分ほど。さあ、やってきました。緑のお重の中で、ふっくら蒸されています。

お重の蓋を開けると、ご飯が見えません。鰻が大きいので、なんと重なっているではありませんか。

ご飯の量を控えめにしてもらったこともあり、体感ではご飯より鰻のほうが多いくらい。

これで一番手頃なランクなのですから、二尾付きの「ハ」などを頼んだらどれほどのボリュームになるのか、想像するだけでお腹が鳴ります。

味わいはというと、鰻特有のクセを抑えつつ、脂が程よく残っており、旨み強め。タレは甘辛のバランスがよく、万人受けする味付けです。蒸してホクホクとしていながら、脂を落としきらない仕上がりが好みでした。

卓上に置かれたタレを追加でかけられるのも嬉しいポイントで、山椒とあわせて自分好みに味を調整できます。
飲み物は、菊正宗の熟成酒とアサヒプレミアム熟撰の瓶ビール(740円)。しっかりした鰻の脂とタレに、キレのいい辛口の酒がよく合います。
一匹の鰻に手間をかけ続ける、職人の仕事

三河(愛知県西尾市一色町)で育てられた活鰻を取り寄せ、その日の分だけ捌いているとのこと。背開きで、白焼き後に一度蒸し、脂をある程度落としてからさらにタレで焼く東京の焼き方です。
焼きに使う串は独特で、一般的な竹串ではなく、熱伝導に優れた特注の金属線を束ねた金串を使用。熱伝導により内側からじっくりと熱が入ることで、大きくてもふっくらとした仕上がりになるそうです。
タレにも独自のこだわりがあります。砂糖やみりんではなく、蓮華の蜂蜜を使用しているそうです。甘さに丸みがあり、くどさのない上品な後味は、このハチミツ由来のものだったんですね。

鰻とお酒をゆっくりと
東京メトロ銀座線の神田駅出口からすぐ。しかも通し営業の老舗鰻屋さん。
店に掲げられた「うなぎは、食べたくなったときが、食べごろ」という言葉の通り、時間を気にせずふらりと立ち寄れるのが、この店の一番の贅沢なのかもしれません。神田周辺へ足を運んだ際は、駅前の趣あるレトロビルで、老舗の味を楽しんでみませんか。
店舗詳細

| 店名 | 神田きくかわ 神田店 |
| 住所 | 東京都千代田区神田須田町1丁目24−2 |
| 営業時間 | 11時00分~20時15分 月定休 |
| 創業 | 1947年 |
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