上野『魚草』三陸漁業者直送の海鮮立ち飲み!カオスなアメ横で本物の味に舌鼓を打つ

上野『魚草』三陸漁業者直送の海鮮立ち飲み!カオスなアメ横で本物の味に舌鼓を打つ

観光客で溢れかえる上野・アメ横。多国籍な屋台が並ぶ喧騒の中に、魚好きが吸い寄せられる一軒の立ち飲みがあります。『魚草』は、三陸などの漁業者から直送される新鮮な魚介と希少な日本酒を、気取らずサクッと楽しめる名店。買い物帰りや待ち合わせ前の0次会にも最適な、大人の聖域をご紹介します。

スポンサーリンク

異国情緒あふれるアメ横の「良心」

上野駅から御徒町駅へ続く高架下、アメヤ横丁。かつての闇市の面影を残しつつ、近年はケバブや小籠包などの多国籍な飲食店が急増しています。そんなカオスな通りにおいて、紺色の暖簾と「魚」の一文字が、私たち酒好きを安心させてくれます。

ここ『魚草』は、東京大学大学院中退という異色の経歴を持つ店主さんが営む、魚介専門の立ち飲み店です。

かつては路上にテーブルを出していましたが、現在は改装され、店内にコの字カウンターが設置されています。JR山手線の高架下付近のコンパクトな空間は、お一人様、あるいは二人組での利用が基本。団体での入店はできません。

混雑時は「滞在30分まで」がお約束。さらに、泥酔客やナンパ行為は一発退場という厳格なルールがあります。一見厳しそうに見えますが、この規律があるからこそ、女性一人でも安心して美味しい魚とお酒に没頭できるのです。

注文はキャッシュオンデリバリー(都度払い)方式。カウンターにお金を置き、注文のたびに精算します。千円札と小銭を用意して、さあ始めましょう。

まるで気仙沼の朝市飲み

まずはビールから。ここではグラスは出されません。よく冷えたヱビスの小瓶(600円)を受け取り、そのままグイッとラッパ飲みで喉を潤します。アメ横の風を感じながら飲むビールは、格別の開放感です。

ここへ来たら外せないのが「牡蠣」です。三陸の生産者と直接取引をしているため、鮮度は抜群。季節によって産地は変わりますが、万石浦や知夫里島などの真牡蠣や岩牡蠣が、2個で1,000円前後といった破格で並びます。

レモンを軽く絞り、つるりと啜れば、濃厚な磯の香りが口いっぱいに広がります。

そして、魚草の代名詞とも言える珍味が「モウカの星」(500円〜600円)。 これは気仙沼で水揚げされるネズミザメ(モウカザメ)の心臓です。鮮度劣化が早いため、かつては気仙沼の地元でしか食べられなかった幻の食材。 見た目はレバ刺しのようですが、臭みは皆無。ごま油と塩でいただけば、サクッとした歯切れの良さと、噛むほどに溢れる濃密な旨味に驚かされます。

酒飲みの琴線に触れる肴は尽きません。「エイの肝刺し」もその一つ。これもまた、気仙沼などの産地に行かねばなかなか出会えない代物です。

濃厚でクリーミーな味わいながら、フォアグラやアン肝とは別もの。よりピュアな脂の甘みを感じます。

南部美人

こうなると、欲しくなるのは日本酒です。 定番銘柄を置くのではなく、酒屋から届く季節のお酒が売り切れ次第、次々と入れ替わっていきます。「田酒」や「栄光冨士」など、東北の銘酒を中心に一杯500円〜600円。表面張力いっぱいに注がれたもっきりスタイルで、エイ肝を追っかけます。

ワインも刺身に合うものが用意されていて、牡蠣にはワイン!という人にもぜひ試してもらいたいです。

冬の味覚、タラ白子や、私がテレビ番組『マツコの知らない世界 立ち飲みの世界』に出演した際にご紹介した「タラバガニ」もおすすめ。2,000円と立ち飲みとしては高級ですが、皿からはみ出んばかりのボリュームを見れば納得いただけるはず。茹でたてホクホク、プリッとした身の甘さは、カニ好きも唸る品質です。

締めには名物の「いくら丼」を。丼からこぼれ落ちそうなほど盛られたイクラは、まるで宝石のように輝いています。 生産者と直接つながり、物流を変え、本物の魚を安く届ける。店主の気概が、どの一皿からも伝わってきます。

アメ横の立ち飲みはここから広まった

創業から10年以上。変わりゆくアメ横の中で、日本の魚食文化の豊かさを発信し続ける『魚草』。 サクッと飲んで食べて、長居は無用。粋に楽しむのがこの店の流儀です。もし満席で入れない場合は、近くにある系列店『魚塚』でも同様のクオリティを楽しめますので、そちらも覗いてみてください。 上野での美術館巡りや買い物の合間に、三陸の海を感じるひとときを過ごしてみてはいかがでしょう。

店名魚草
住所東京都台東区上野6丁目10−7 アメ横プラザ
営業時間12時00分~19時30分
基本無休
創業2013年