浅草観音裏『餃子舗 龍王』夜だけ現れる赤暖簾。手打ち餃子と瓶ビールで乾杯

浅草観音裏『餃子舗 龍王』夜だけ現れる赤暖簾。手打ち餃子と瓶ビールで乾杯

浅草寺の北側、観光客の喧騒が遠のく観音裏エリア。夜になるとひっそりと灯る赤い看板があります。手打ちの皮にこだわる大衆中華料理店『餃子舗 龍王』。ニンニクが効いた餃子を頬張り、冷えたビールを流し込む。懐かしくて落ち着ける晩酌を求めて、今夜も奥浅草へ参りましょう。

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観音裏の闇夜に浮かぶ、町中華の理想郷

雷門周辺の華やかさとは対照的に、言問通りを越えた「観音裏(奥浅草)」は、静寂と色気が同居する街です。古くから花柳界として栄え、舌の肥えた芸者衆や旦那衆を満足させてきた名店が点在しています。そんな通好みのエリアで、日が暮れるのを待って暖簾を掲げるのが『餃子舗 龍王』。

闇夜に浮かび上がる黄色い看板と赤い暖簾。これぞ町中華、といいたくなる潔い店構えに、酒場好きの血が騒ぎます。

引き戸を開けると、そこには昭和の景色がそのまま残っています。朱色のデコラ張りのテーブル、使い込まれたカウンター。厨房から聞こえる中華鍋を振る音と、油の爆ぜる音がBGMです。

この空間に身を置くだけで、これから始まる宴への期待が高まります。

職人技が光る手打ち餃子で乾杯

アサヒスーパードライ中瓶:550円

席に着き、まずは瓶ビールを注文。アサヒビールのお膝元である浅草ですから、銘柄はアサヒスーパードライ(中瓶)です。トクトクとグラスに注ぎ、喉を潤します。それでは、乾杯!

焼餃子:500円

ビールのアテには、看板メニューの「焼餃子」(500円)を。

こちらの餃子の最大の特徴は、ご主人が注文を受けてから皮を延ばし、餡を包むこと。カウンター越しに眺めるその流れるような所作は、まさに職人芸です。

運ばれてきた餃子は、一般的なものより一回り大きく、焼き目は見事なきつね色。

カリッとした焼き目のあと、手打ちならではの厚めの皮がモチモチと歯を押し返します。そして溢れ出す肉汁と、ガツンと効いたニンニクの香り。キャベツとニラを中心とした餡は野菜の甘みが強く、豚肉の脂と渾然一体となって口内を満たします。

すかさずビールを一口。このパンチのある餃子には、ドライなビールがこれ以上ないパートナーですね。

きくらげ卵と老酒で深まる夜

餃子の余韻を楽しみつつ、二品目は「きくらげ卵」(600円)をお願いしました。

あわせるお酒は「老酒 古越龍山」(600円)。中華料理の油を、芳醇な香りの老酒がさらりと流してくれます。

ふんわりと炒められた卵に、コリコリとしたきくらげの食感がアクセント。家庭料理のようでいて、家庭では出せない火力の妙を感じます。温かい老酒をちびりちびりとやりながら、常連さんたちの会話をBGMに過ごす夜。落ち着きます。

黄金色の炒飯と五目スープで締める

中華飲みの最後は、やはり炭水化物で締めたいところ。選んだのは「炒飯(ヤキメシ)」(650円)と「五目スープ」(550円)。

メロン型で整えられたその姿、郷愁を誘うビジュアルです。スプーンを入れると、パラパラすぎず、しっとりとした質感。

米一粒一粒にラードの旨味と醤油の香ばしさが染み込んでいます。奇をてらわない、王道の焼き飯。

あわせる五目スープは、野菜の甘みが溶け出した優しい塩味。炒飯の油を中和し、身体を芯から温めてくれます。これだけ食べて飲んで、お会計は非常に良心的。長く愛される理由がわかります。

観光地の喧騒を離れて。夜だけの贅沢な町中華

夜の浅草・観音裏にひっそりと佇む『餃子舗 龍王』。手打ちの皮で包まれた餃子は、食事としてはもちろん、最高のお酒のおつまみでした。観光地の喧騒を離れ、地元の人々に混じってグラスを傾ける時間は、何物にも代えがたい旅の醍醐味です。

ごちそうさまでした。

店名餃子舗 龍王
住所東京都台東区浅草3丁目7−4
営業時間19時00分~22時30分
日曜日は22時まで
火定休