いちき串木野「薩摩藩英国留学生記念館」 愛酒の歴史をたどる旅


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ときは1862年、幕末の東海道・武蔵の国 生麦にて薩摩藩国父島津久光が京都を目指す道中、見物をしていた英国人4人は、日本の風習を知らず騎馬のまま久光の駕籠に近づいた。それに激怒した薩摩藩士が斬りかかり、一人が死亡するという事件となり、国際問題となった。

皆さまご存知の生麦事件です。

(生麦事件のあった場所は石碑が立っています。京急電鉄生麦駅から徒歩5分ほど。真向かいはキリンビール横浜工場です。)

英国側から薩摩藩へ公開処刑と謝罪金を要求したがこれを拒否。そして翌年、英国艦隊が鹿児島湾に現れた。
このときに拿捕(だほ)された船に乗っていた五代友厚・松木弘安は捕虜となり、開戦後は60余名が戦死し、英国艦隊も苦戦したこともあり、講和談判が横浜で行われた。その後、軍艦の調達を英国から行うなど薩摩藩と英国は仲を深めていった。

こちらもご存知の薩英戦争となります。

捕虜となっていた五代は開放されたもののスパイの疑いをかけれ長崎へと逃げる。このとき、かくまったのがグラバー邸で有名なグラバー氏。

(ちなみに、グラバーはキリンビールの創始者です。…え、チョイチョイお酒ネタを挟むって?まぁ、ここは歴史のサイトではなくてお酒のWEBマガジンですから・笑)

 

さて、そんな五代はグラバーとの関係からも海外の技術力に大きな驚きを覚えたことでしょう。そこで、英国とも関係を深めていた薩摩藩に、英国留学の必要性を上申します。富国強兵の意識が強かった薩摩藩はこれを認め、19人の留学が決まりました。

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ふぅ。

え、なんで飲んでいるかって?
そこにビールがあるからさ。

ではなくて、薩摩藩の英国留学とこの星マークのビールとは歴史上非常に大切なつながりがあるのです。そこの話に入る前に、まずは一杯。

このミュージアムは、この英国留学生たちを乗せた船が出港した薩摩半島羽島浦に建っています。内容がたいへんわかりやすくまとめられていて、誰もが「ほぉ」と感じられるのではないかと思います。
お硬すぎず、ロビースペースで飲めるのはポイント高し☆

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2014年7月にできた建物なので美しく、全体的なセンスも素敵。

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「なゆさん、やっぱり飲むんですね。」
と苦笑いされましたが、いやいや、ここでサッポロビールを飲むことに意義があるのです。鹿児島からJR鹿児島本線と路線バスを乗り継いででも来たかったのです。

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後半へ続く、と言ってから飲みっぱなしですみません。話を進めましょう。

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これは鹿児島湾に英国戦艦が攻め入ってきた様子。台場の大砲が火を吹いていますね。こういった貴重な資料がずらりと。

(すべて特別に許可を得て撮影しています)

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19人の留学生たちの写真。武士の格好の人もいれば、すっかり西洋のファッションの人もいますね。各方面でその後活躍された方たちで、それぞれ詳しく話を読んでいくと勉強になりますが、私はここに写る一人の紳士に注目。

え、誰って?

村橋久成です。名前を聞いてピンときた方、あなたは北海道の方では。
幕末の薩摩藩の武士で、ロンドン大学に入学し、帰国後は北海道開拓使となった人です。

「あー、最初にビールを飲んでいた理由がわかった。はいはい、そういうことですね。」

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はい、ご想像の通り、サッポロビールの創始者です。北海道はビールの原料となるホップが自生し、大麦の栽培にも適した環境で、なおかつ低温発酵が必要なビールに最適な気候です。その土地で、日本人初のブラウマイスター中川清兵衛の手によって札幌麦酒がつくられました。

北海道開拓使のシンボルマークは星マークで、北海道ではサッポロビールだけでなく札幌時計台など各所に赤い星を見ることができますね。

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開拓使麦酒醸造所の画像は北海道大学が原本をもっているそうですが、サッポロビールも頻繁に使っています。

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その開拓使麦酒醸造所を日本で唯一模型で再現したのがこのミュージアムということで、これは見ておかなくてはなりません。

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そうして、はい本題です。

昨日も一昨日も飲んでいます、愛称「赤星」ことサッポロラガーのラベルはこの時代からほとんど変わっていません。日本最古のビール「赤星」の堂々たる風格はここに原点があります。

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その後、村橋は退官をして放浪の旅へ。醸造所は渋沢栄一らの経営によって民間会社「札幌麦酒株式会社」として歩んでいきました。

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そんなこんなで、愛してやまない赤星の歴史をたどる旅は、とてもボリュームのある内容で大満足。このほかにも、国産ワインの父など、近代史に欠かせない人たちがいますが、それはその道の専門家の方におまかせします。

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この景色のずっと向こう側、イギリスまでいく覚悟はどんなものだったかな。歴史ロマンもたまにはいいでしょ。
(この話はきっと飲み屋さんでのネタに使えます・笑)

赤星を愛しすぎて、鹿児島まで来てしまいましたが、大満足のひとときでした。

ごちそうさま。

 

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(取材・文・撮影/塩見なゆ)

薩摩藩英国留学生記念館
0996−35−1865
鹿児島県いちき串木野市羽島4930番地
10:00~17:00(火休館・ただし祝日の場合は翌日)
入館料300円
アクセス 鹿児島本線 串木野駅から車で20分 路線バスあり 詳しくは記念館にお問い合わせを。

(取材協力/薩摩藩英国留学生記念館・九州旅客鉄道株式会社・鹿児島県)



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