四日市「大衆酒場ゑびす」 新しく懐かしい、活気あふれる新下町酒場


三重県最大の歓楽街を抱える四日市。四日市コンビナートに隣接した街で、駅周辺は出張者向けのビジネスホテルや、仕事終わりの一杯を楽しむ飲み屋や怪しいネオンが多数あります。

市中心部の停滞が問題になっている四日市ではありますが、その中にあっても人気の店は夜な夜な笑い声で溢れています。ここ「大衆酒場ゑびす」もそのひとつ。

北海道出身のご主人が始めた大衆酒場で、いかにも歴史がありそうな雰囲気ではありますが、創業からまだ10年も経過していない新しいお店。それでも、いまや四日市を代表する人気酒場となっています。

 

開業当初は現在の店から2軒隣にある角の店ではじめたそうですが、カウンター12席の店舗はあまりにもの人気で、オープンから2年目に現在の店に移り営業しています。開業の頃に使っていた店舗は、現在も離れとして使われていて、本店が満席になると角の店が広くという不思議なシステム。古くからの常連さんは、あえて角のカウンターで飲みたいと、そちらが開くタイミングを見計らうなんて方もいます。

 

店の入口はややわかりにくく、店内が道路からは見えないためやや敷居が高く感じるかも。ですが、入ると外観からは想像もできないほどの、「ザ・大衆」な空間が広がっています。

四日市は、こういう短冊で埋め尽くしたような店はほとんどなく、「ゑびす」の雑多で活気のある空間は衝撃的だったと7年通い続ける常連さんが話してくれました。

 

酎ハイは380円から、ビールは生がアサヒスーパードライ、瓶でキリンラガーと店名といっしょのヱビスビールを揃えています。南に8キロの場所にキンミヤ焼酎でお馴染みの宮崎本店の本社工場があることから、当然甲類はキンミヤです。中部地方ではあまり飲まれていなかった甲類焼酎ですが、最近の四日市はすっかりキンミヤブームが東京から逆輸入された印象。それにあわせてホッピーやバイスも飲まれています。

金宮ハイボールと書かれているのは、東京の下町焼酎ハイボールのこと。黄色ハイも、いまや全国区。

 

名物のかわはぎ刺身は1尾380円を貫いています。原価度外視の価格設定でみんながとりこに。常時20種類をこえる刺身と、海鮮系の天ぷら、小鉢がずらりと並ぶメニューはどれを肴にしようか眺めているだけでも楽しい。手元メニューに載っていないメニューもあるので、さぁ大変です。

(ゑびす・かわはぎ380円・焼酎ハイボールでピンときた方は酒場マニア。ヒント:四ツ木)

 

鱈白子ポン酢とヱビスビールをもらって、乾杯!

タイ、ホタテ、生しらすにホヤ刺しまで、日本全国の魚が勢揃いし、まるで卸しの店先をみているかのよう。カウンターに座るお客さんたちも、その抜群の鮮度と盛りの良さ、お手頃価格にもううっとり。

 

今日のイチオシ、あなごの天ぷら。四日市はあなごがよく釣れるんだよ、とまた別の常連さん。電車の椅子のごとく、カウンターにぎちぎちに座って飲んでいるので、両隣、その先のお客さんまでもが距離が近く、いつのまにか友達感覚に。

そんなに太くはないけれど、ふっくらホクホクとしているいい穴子。

 

焼酎ハイボール、じゃなかった、金宮ハイボールが四日市で飲めるなんてね。まだ知名度が低いですが、甲類の色付きの美味しさが広がると良いな。この駄菓子屋のジュースみたいな香りがいいんです。

 

甲類ばかりでなくて、日本酒もしっかり揃っています。宮崎本店の宮の雪が定番酒で、剣菱のような定番硬派な銘柄から遊び心のある若き杜氏がつくったものまで様々。地元三重のお酒も豊富なので、出張などで立ち寄る際はぜひ宮崎本店以外もお試しあれ。一杯580円程度。いっぱい飲みたい方は、岐阜の三千盛が380円とお手頃価格です。

 

そんなオススメしておきながら、私は安定の純米宮の雪(480円)。

 

超軟水で仕込む楠の地酒・宮の雪は日本酒度的には辛いお酒なのですが、数字とは逆に味覚ではたいへんまるく甘い印象を受ける不思議なお酒です。辛口で仕上げているので余韻はすっきりしていて、食中酒にぴったりです。

 

ハモ湯引き、アワビ刺身や大アサリ、セコガニが入ることもあり、とにかく色っぽい肴が豊富。それでいてチューリップやハムカツなど揚げ物系もしっかり揃う。お酒も種類が豊富で、日本酒派も甲類派もどっちも満足できるラインナップで、実にパワフルです。

 

「はい、ジャンチュウモヒート~」

ハイリキプレーンの1L瓶(980円)にミントとライム(100円)を加えたゑびす名物の個性派ドリンク。昨今、様々なチューハイが登場していますが、ハイリキはその元祖のような存在。1L瓶があることは、あまり知られていません。アルコール度数7%なのにモヒートで飲めばスイスイと飲めてしまう、飲み過ぎ要注意。

隠しメニューでアンゴスチュラ・ビターズをお願いすると数滴垂らしてくれて、もっと美味しくなるかも?

(ヒント:赤羽)

 

常連さんのおすすめ、ねぎ鍋。クツクツと煮立てた土鍋にたっぷりのネギを卵で綴じたもの。前面に推している海鮮系もよいですが、こういうほっこりしたおつまみでチビチビ飲むのもよいですね。

 

四日市の夜に、イチオシの酒場ゑびす。お近くの方、出張でお越しの方は一度覗いてみてはいかがでしょう。

店主さんとは以前、木場にある老舗酒場でご一緒したことがあり、普段からお店のスタッフの皆さんと東京の酒場に研修と称して飲み歩きをされている方です。勉強熱心、東京の酒場のいいところをどんどん取り入れて四日市の夜を盛り上げられています。

下町酒場の雰囲気と、東海地方の食材のよいところ、組み合わせた古くて新しい大衆酒場です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

大衆酒場 ゑびす
059-324-5881
三重県四日市市諏訪栄町8-11
16:00~22:00(不定休)
予算2,800円



“四日市「大衆酒場ゑびす」 新しく懐かしい、活気あふれる新下町酒場” への4件のフィードバック

  1. PONTA より:

    四日市へ訪れた時に1度行ってみたいです。
    料理も美味しそうです♪

  2. わかば より:

    営業開始の経緯は、都内に数店在るゑびすから暖簾分けされたのではなく、都内の大衆酒場にご興味と敬意をお持ちのご主人が、独自で開店されたお店ということなのですか?

    • 塩見 なゆ より:

      はい、暖簾分けではなく、独自に勉強して店名についても憧れから名前を使わせてもらったとのことです。

  3. わかば より:

    ご返答及びご解答、誠にありがとうございます。
    関係が不明瞭であったので、不躾と知りながら質問させて頂きました。
    本家ゑびす各店と並ぶ、銘店に育つと良いですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


こちらの記事もどうぞ



«