京成八幡「竹千代」 下町電車に寄り添うもつ焼き屋でハイボール


下町をゴトゴトと走る京成電鉄が好き。昼酒酒場の脇をガードをきしませながら行き交う堀切も、空港連絡の使命を帯びたアクセス特急が下町の人情なんてどこへやらと踏切遮断で通過していく立石もイイ。

コテコテの大衆電車の中に、最新のスカイライナーが交じる光景は、軒先の鉢植えで植物のトンネル状態になっている古き下町の街並みと、その真横に建つガラス張りの高層マンションのような対比にみえます。

人の息遣いと最先端が入り交じる京成沿線は、新しい人たちが古き酒場に馴染みはじめていて、ただいま世代交代の真っ只中。いまだからこそ、京成飲み歩きは活気と人情で楽しくなっています。

さぁ、魅惑の京成線へ。8両の特急ではなく、短い6両の普通に乗って梯子酒をしてみませんか。

 

京成電鉄の本社がこの地に移転して、駅前の再開発も進む京成八幡。ですが、屋根が途中で途切れているプラットホームなど、やはりどこか京成らしい。このホームから見えるもつ焼き屋「竹千代」も、下町電車の沿線らしいとっても素敵な人情酒場です。

 

4人用のテーブル席がふたつと、カウンター4席の合計12席のこじんまりとした店。店内に空調はなく、軒下の換気扇がもつ焼きの煙を外に逃がしています。この匂い、ホームまで届きそうだから電車を待つ人には酷に違いない。

気さくな大将がお一人で切り盛りされていて、大将との会話を楽しみにやって来る常連さんで賑やかになります。そんな下町感全開なのですが、ハートランドの小瓶を置いていたり、自家製のベーコンがあるなど、ちょっとひねった感じもおもしろい。

 

ビールは瓶だけ、キリンラガー(480円)。酎ハイ、日本酒、ワインと並び、突然「ジョニ赤」ときて”!?”となります。しかも260円ととっても安い。

安いといえばもつ焼きも2本160円と、部外者ながらご商売を心配になってしまうほど庶民派です。

 

昭和の酒場にキリンラガーがよく似合います。ガツンとくる昭和の味は、いぶし銀の飲み屋に漂う空気と好相性。おしんこと合わせて、では乾杯!

 

自家製のベーコン。下町の酒場を研究されている方に「謎ベーコン」と呼ばれている一品。220円とこれまた安い。恐る恐る食べてみると、驚くほど強い旨味で驚かされます。試しに一口とはじめた箸は、次第に止まらなくなり、瓶ビールも合わせて空っぽに。

 

酎ハイは、京成沿線の王道をゆく、黄色ハイ。大手メーカーが作る下町風の酎ハイなどが登場する以前、昭和30年台から続く下町の地酒ならぬ”地酎ハイ”です。

 

甘くなく、それでいて甲類特有のアルコール感を感じさせない黄色の酎ハイ。驚くほどもつ焼きがよく合います。串は2本単位。シロとレバー、どちらも鮮度がよくて二軒目でもぺろりと食べられるイイもの。タレは甘さがしっかりとしていて、口の中に味醂と豚モツの脂の余韻が残ります。そこに、きゅっと酎ハイです。

 

タケの味、納豆焼き。ちなみに、チヨの味は玉子焼となっています。大きい油揚げに納豆を詰めて焼いたもの。

 

なんということない酒場料理なのですが、こういうのがほっとするんです。開け広げた扉から入る風、踏切の音、常連さんたちの世間話をつまみに、ちびちび摘んでぼーっと酎ハイを飲む。いろいろ考え事をしていた頭も気づけばすっきり。

どちらからいらしたんですか?なんて会話で隣の方と盛り上がるなんていうのもよし、一人で小箱酒場の年輪に染まるもよし。電車から見えたら、ふらっと途中下車してみませんか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ Special Thanks/下町酒場研究会)

 

竹千代
047-326-5849
千葉県市川市八幡3-26-3
16:00頃から(平日だいたい営業)
予算1,800円



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