神保町『はちまき』昭和6年創業!江戸川乱歩が愛した天麩羅屋の天丼

神保町『はちまき』昭和6年創業!江戸川乱歩が愛した天麩羅屋の天丼

本の街、神保町。古書の香りが漂うこの街には、作家や編集者たちが足繁く通った老舗飲食店が数多く残ります。昭和6年創業の天ぷら店「はちまき」もそのひとつ。推理小説の巨匠・江戸川乱歩が贔屓にした名店として知られ、今もなお多くの人々を惹きつけています。

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すずらん通りに佇む、昭和2年築の歴史的建造物

神保町駅A7出口からすずらん通りを歩いてすぐ。近代的なビルが並ぶ中に、時が止まったかのような木造の一軒家が見えてきます。ここが「神田天麩羅 はちまき」です。

店の建物が建てられたのは1927年(昭和2年)。まもなく築100年を迎える貴重な近代建築で、戦火や再開発を乗り越え今もそこにあるというのが素晴らしいです。

もともとは神田駅近くで屋台から商売を始めましたが、戦災を受け、被害の少なかったこの地へ1945年(昭和20年)に移転。以来、同じ建物で営業を続けています。店名である「はちまき」は、創業者が修行時代に親方からかけられた「一生ねじり鉢巻きをして勉強だ!」という言葉が由来。

老舗と聞くと少し入りにくく感じるかもしれませんが、店内は気取らない昭和レトロな雰囲気。一人客も多く、夜でも天丼とビールでさっと夕食を済ませる人の姿が絶えません。意外と、近隣の出版社勤め風の若いお一人さんの姿も多い印象。

店先には、創業者と江戸川乱歩が並んで写る一枚の写真が飾られています。ここはかつて「東京作家クラブ」の例会場としても使われ、乱歩をはじめ井伏鱒二など多くの文豪が集う場所でした。本の街・神保町らしいエピソードですね。

ごま油が香る、伝統の江戸前天丼

サッポロラガービール中瓶 600円

まずは瓶ビールから。置いているのはサッポロラガービール(赤星)です。天ぷらが揚がる小気味よい音と、ごま油の香ばしい香りを肴に、一口。これぞ下町の粋な時間です。 それでは乾杯!

海老天丼 1,300円

運ばれてきたのは、海老好きにはたまらない「海老天丼」。

丼の上には、まっすぐと姿の良い大きな海老が三本も乗っています。その脇を茄子や季節の野菜天がしっかりと固め、様々な食材が味わえる彩り豊かな一皿です。

魚介は毎朝豊洲から仕入れ、米は国産コシヒカリを使用。揚げ油は、実はブレンド。香りの良いごま油に軽く仕上げるためのトウモロコシ油を秘伝の割合で合わせているそうです。

サクサクの衣をまとった海老は、噛むとぷりっとした弾力があり、甘みが口の中に広がります。創業以来継ぎ足しで作られる甘辛いタレが、油のコクと素材の旨味をまとめ上げ、ご飯が進むこと間違いありません。長年、幅広い層に愛され続けるのも納得の味わいです。

ちなみに、江戸川乱歩が愛したと伝わる、丼からはみ出すほど大きな穴子が名物の「穴子海老天丼」も、多くの人が注文する人気のひと品です。

本の街散策の途中に立ち寄りたい名店

創業から90年以上、神保町の変遷を見守り続けてきた「はちまき」。文豪が愛した歴史ある空間で、変わらぬ美味しい天ぷらを大衆価格で提供し続けています。

書店や喫茶店めぐりのあとには、神保町ならではの一軒へ。文化の香りも楽しむ”天ぷら飲み”を体験してみませんか。

店舗詳細

お酒メニュー
天丼メニュー
店名天麩羅 はちまき
住所東京都千代田区神田神保町1丁目19
営業時間11時00分~21時00分
火曜日定休
創業1931年