新潟『中華飯店聖龍』日本酒が進む焼売。駅前で半世紀続く奇跡の町中華

新潟市中央区東大通1丁目。新潟駅からは徒歩5分の場所に、素晴らしい大衆中華があります。昭和53年創業、新潟駅周辺で働く人なら一度は食べたことがある人気店。ラーメンが有名ですが、特製のシューマイも絶品で、320円の燗酒徳利があっという間に空になります。

ここを知らずして新潟の中華飲みは語れない

半世紀近く続く『中華飯店聖龍』の名物は、背脂たっぷりなのに580円と驚くほど安いラーメンですが、それはランチで利用する人の評判。お酒好きにも、見逃すことはできない新潟駅前で貴重な大衆中華（町中華）です。

お酒の種類は、アサヒスーパードライ、キリン一番搾り、日本酒と、合計3種類なのですが、これが昼食のピークを過ぎたあたりから次々と飲まれています。夜はとくに顕著で、ほとんどのお客さんがビール片手に夕飯を食べていたり、靴を脱ぐ小上がりでプチ宴会状態になっていたりします。

以前はJR新潟駅を発車する終電よりも遅く営業しており、遅番や飲食関係で働く人で賑わう店でもありました。

半世紀近くやっている店なのでは昭和の残り香が感じられる外観ですが、店内はリニューアルされており、明るく清潔感があります。平成のセンスが強く、これももうしばらくしたら「レトロ」なんて呼ばれそうですが…

数名の料理人が雑談もなくひたすら中華鍋を振るい続け、女将さんやお手伝いさんが慌ただしく給仕を繰り返しています。伺ったのは、午後1時半だというのに、まるで正午のような混み具合です。そして、半数のお客さんの手元に徳利か瓶ビールが鎮座しています。みなさん、今日、平日ですよ。

私も、ほかの皆さんに負けないように飲みましょう。ビールはアサヒスーパードライとキリン一番搾りの2種類を揃えています。飲み屋でもないのに2銘柄を揃えているのは珍しいですが、これだけ飲んでいる人がいるということは、ニーズがあるのでしょう。なお、紹興酒やハイボールはありません。

ビアタンを満たして、乾杯！

案外、街の中華屋さんにはシュウマイがありません。蒸す料理がほかに少ないからでしょう。『聖龍』は、品書き上でギョーザよりも前に書かれていて、シュウマイ推しが感じられます。個性はないものの、お手本のような完成度で、甘く旨味の強い味に懐かしい記憶が蘇ってきました。

シュウマイが美味しいと、ギョーザも気になります。厚めの皮に肉とニンニクがみっちり詰まった、シュウマイとは正反対のワイルド系です。ラー油入りの専用タレがついており、これにしっかり潜らせて、こってりとさせて食べるのがたまりません。

繊細な味にこそ日本酒が合う。そんな感想を何十回と書いてきましたが、いやいや、ラー油とニンニクが効いた餃子には、本醸造系の熱燗が合うと思います。餃子に日本酒という組み合わせが美味しい店こそ、正しい町中華ではないでしょうか。

中華屋さんながら、お燗は湯煎のようで注文から提供まで少しまちましたが、雪降る季節にはこれがありがたいです。

品書きにはありませんが、トッピングのチャーシューはおつまみとしてもオーダーが可能です。自家製でしっとりとした仕上がり。辛子を塗っていただきます。

メインディッシュは、牛ロース肉だと注釈つきの焼肉を。町中華のオムライス、町中華のとんかつ定食など、中華の域からはみ出た料理に興味を持つタイプですが、町中華の焼肉というのも非常に興味深いです。そう思って注文しましたが、これが大正解。脂多めの肉でキャベツをくるむのがちょうどいい！

新潟の酒場料理の名物は鳥半身揚げという名前の、カレー味の巨大なもも肉揚げです。カレー味にするのは、やはり厳冬期を乗り切るためでしょうか。ほかにも、三条カレーラーメンなど新潟では「カレー○○」というのが点在しています。そして、ここにもカレー味を発見。

パラパラのカレーチャーハンには、福神漬がついてきます。チャーハンと言われなければ、ドライカレーそのものです。こってりスープもついて680円はだいぶリーズナブル。

同行の記者さんと二人で、お昼から食べ過ぎ・飲み過ぎたと笑いつつ、大満足でお会計を。

燕市にある人気のラーメン店で修行された大将の店で、いわゆる燕背脂ラーメンが食べられますが、昼飲み、中華飲みの店としても大変レベルが高いです。