八丈島『まっちゃん』地酒と地魚、島の人。素晴らしき老舗大衆酒場

八丈島『まっちゃん』地酒と地魚、島の人。素晴らしき老舗大衆酒場

八丈島・三根にある『まっちゃん』は、夫婦で切り盛りする昭和風情漂う大衆酒場です。地元の人が集まる地域密着の店で、良心価格で島酒や郷土料理が楽しめます。居酒屋好きなら虜になること間違いありません!

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島民憩いの酒場にお邪魔する

約7,500人が暮らす東京都八丈町。羽田空港から空路で結ばれているほか、港区の竹芝桟橋からフェリーも運行されています。一般的に街の中心といえば、鉄道駅か役所・役場周辺ですが、八丈島に駅はないですし、役場の周辺もにぎやかとは言えません。

そんな八丈島にも、小さいながら歓楽街はあります。八丈島警察署や電話局、信用組合の支店などがある三根エリアの「親不孝通り」という一画。スナックや居酒屋が並んでいます。

今回ご紹介する『大衆酒場まっちゃん』は、ここで何十年と親しまれてきた地域一番の老舗。島民の常連さんばかりで観光客は皆無ですが、島外からのお客さんも大将・女将さん、そして常連さんが優しく迎えてくれます。

17時の開店に合わせて、ワクワクしながら店内へ。一番乗りでしたが、すぐに常連さんがきて、テーブルだけでなく、カウンターも埋まりはじめました。店のつくりは、L字型のカウンターと畳敷きの小上がりで、一人飲みでもゆったりできます。

海風で乾いたわずかな寂寞感の中にある人々の温もり。島の酒場には独特なムードがあります。特に老舗酒場は、島民の日常を凝縮したような情緒があり、旅する理由の答えがここにあるような気分にさせてくれます。

生産者も常連さん。品書きにない島の食材も豊富

アサヒスーパードライ

全国津々浦々、大手ビールは浸透しています八丈島でも一杯目は生ビール!アサヒスーパードライで乾杯

お通し

お通し明日葉と油揚げの煮浸しとブロッコリー。どちらも八丈島産です。

島魚ブツ切

島魚ブツ切は仕入れ次第で変わる

太平洋に浮かぶ八丈島は、もちろん漁師町。ここは刺身を楽しみたい!

今日のホワイトボードに書かれた刺身は、ツブ貝、バショーイカ(アオリイカ)、キハダマグロ。聞けば、カジキやメダイ、トビウオなども仕入れることがあるそうです。サービス価格のブツは生キハダマグロとのこと。

島唐辛子がワサビ代わり

沖縄では意外とマグロがとれるため冷凍品ではない近海生マグロが食卓に並びますが、八丈島もそれに近いようです。新鮮な近海キハダマグロはねっとりとしていて美味。

島ではワサビが採れないため、昔からワサビの代わりにピリ辛な島唐辛子(青唐辛子)を醤油に溶かしていたそう。目がさめるほど辛かったです。

島酒(八丈島焼酎)

島の魚を、島唐辛子の辛さを加えて食べる。だんだん気分が高まってきました。ここで、島焼酎の登場です。

水割りはなんとジョッキいっぱいで出してくれます。一杯400円ほどで、芋・麦一通り八丈島産の焼酎銘柄を飲ませてくれるそうです。

くさやムロアジ

島寿司(漬け寿司)や明日葉料理が八丈島の郷土料理として有名です。島寿司はここ『まっちゃん』でも予約すれば提供してくれるそうですが、飲兵衛にとっての花形は、やはり「くさや」でしょう。

厨房から漂う香りだけで江戸酎の水割りが進みます。

何度も繰り返し同じ塩水(くさや汁)につけてつくるくさやは、独特なニオイがあります。名前の由来もそこから来ていますが、酒飲みにはこれがたまらない!江戸時代から300年以上食べられてきた理由は、島酒と一緒につまんでみたらわかります。

脂がのった肉厚のムロアジのようで、干物ながら腹はジューシーさが残っていました。

セノカミのホイル焼

お誂え向き(おあつらえむき)の郷土料理以外にも、いろいろと揃っています。農家さんや漁師さんが常連さんで、皆さんが飲みがてら食材を持ってきてくれるそうです。

島のお酒好きに人気の食材「セノカミ」はホイル焼きで提供されます。セノカミとは、ご覧の通り「カメノテ」(岩礁でとれる固着動物)です。南四国や鹿児島では一般的ですが、八丈島でも名産だそうで、酒蒸しでいただきます。枝豆のように、食べ始めたらとまりません。

明日葉天

明日葉天をみて「おおっ!」となりました。本州で食べる明日葉は大葉や春菊のように開いていますが、こちらの明日葉は葉がぎゅっと閉じています。

葉が開いていると衣が多くなってしまいますが、これは違います。そもそも明日葉が採れたてだからというのもあるのでしょう。かなり青味と旨味が強く滋味深いです。茎はみずみずしくて、アスパラ天のような食感で、実に美味しい。

塩だけでなく、天つゆもありますので味変を楽しめました。

ごちそうさま

八丈島旅行の際はぜひ立ち寄っていただきたい、筆者イチオシの酒場です。観光名所やビジターセンターでは得られない八丈島の食の体験がここにはありました。

泡盛やスク豆腐、島もずくなど沖縄料理がありますが、これは店主夫妻が沖縄の人と交流があるから。昔から、八丈島と沖縄はつながりがあるそうですね。

店舗詳細

お酒の品揃え

  • 樽生 アサヒスーパードライ:中ジョッキ550円
  • 瓶ビール アサヒスーパードライ中瓶:500円
  • 日本酒:300円~
  • 明日葉ハイなど各種サワー:350円
  • 島酒焼酎ボトル:2,000円
  • 江戸酎:1杯450円・ボトル3,500円
  • 電気ブラン:200円~

料理の品揃え

  • ツブ貝刺:800円
  • バショーイカ刺:800円
  • ゲソ刺:500円
  • キハダマグロトロ刺:700円
  • 島魚ブツ切:500円
  • アロエ刺:500円
  • とん足:800円
  • クサヤ(ムロ):900円
  • クジラのタレ
  • 若いか沖漬:600円
  • カラスミ:500円
  • 手巻き寿し:1本250円
  • 特製カレーうどん:550円
  • アジの土佐まぶし:600円
  • サバのヘシコ:400円
  • ムースーロウ(島でとれたキクラゲ):600円
  • セノカミのホイル焼:600円
店名大衆酒場 まっちゃん
住所東京都八丈島八丈町三根1874
営業時間17:00~22:00
日曜日・月曜日定休