京成高砂駅前で70年以上続く老舗酒場といえば『高砂家』です。重厚感のある立派な店構えで、灘の銘酒「剣菱」のロゴが輝きます。大暖簾に誘われて引き戸を開けると、そこには高い天井、ゆとりのある配置のL字カウンターが広がっていました。
目次
剣菱の酒樽を椅子にして
京成線系統が5路線も集まる高砂は、利便性のよい街です。街には老舗の食堂や洋食店がありますし、手頃な立ち飲み、焼きそば専門店なんていうのもあります。そして、この街で酒場といえば『高砂家』です。
高砂最古の居酒屋で、戦後すぐの昭和20年代に創業しています。
外観
ビルに建て変わる店が駅前の路地で、同店だけはレトロな一戸建て。重厚な店構えは、酒場好きならば思わず感動するレベルです。店の前は京成線の車両基地があり、頻繁に行き交う列車で軋む線路の音が響いています。そんなロケーションも含めて実にいい雰囲気です。
内観
外観から期待できる通り、店内も非常に立派なつくりです。昭和の中期に建てられたものと思いますが、天井が高く照明の配置も凝っています。空間を広く使ったL字カウンターがどっしりと配され、終端には「高砂家」と達筆で書かれた巨大な一枚板が掲げられています。
ニスや煙草、調理の煙などで飴色に染まった空間。令和5年にこうした酒場が続いているのは、もうそれだけで嬉しくなります。
こちらのお店では、かつては剣菱の樽酒が看板メニューだったとのこと。現在は瓶詰めに変わってしまいましたが、お客さんが座る椅子には剣菱の空樽が使われており、往時の名残りが感じられます。
品書き
お酒
- 樽生ビール キリンラガー:580円
- 瓶ビール キリンクラシックラガー大瓶:680円
- 剣菱:330円
- 冷酒剣菱300ml:880円
- チューハイ:350円
- ホッピーセット:480円
- 電気ブラン:330円
料理
- 肉豆腐:450円
- カレー豆腐:450円
- スタミナ豆腐:450円
- ねぎまなべ:450円
- もつなべ:450円
- やきとり:350円
- 串カツ:350円
- ゲソ揚げ:350円
- 肉しょうが焼き:350円
丁寧な接客、利用しやすい一人鍋
キリンクラシックラガー(680円)
燗銅壺の脇で一緒に温められたおしぼりをもらって、ほっと一息。まずはビールから始めましょう。樽はキリンラガー、ビンはクラシックラガーと、店の雰囲気にぴったりのキリン揃えです。
セピア色の空間には、伝統の聖獣麒麟のレッテルを貼った瓶が似合います。キリンクラシックラガーで乾杯!
剣菱(330円)
ここに来たら、ビールはチェイサー。やはり主役となるのは剣菱でしょう。なぜか徳利に書かれた銘柄は異なりますが、丁寧に燗をつけた剣菱をいただきました。
まぐろ納豆(350円)
おつまみは、多くが350円から450円でお手頃な価格設定です。ボリュームも一人で2~3品つまめる適量です。奥の調理場にいる料理人さんが手際よく盛り付けたマグロ納豆は、女将さんを介して運ばれてきました。
マグロ納豆と剣菱。テレビの情報番組をBGMに、静かに摘んで飲むひととき。
肉豆腐(450円)
高砂家の品書きを見ると、鍋料理が非常に充実していることがわかります。
ねぎま鍋、もつ鍋、肉鍋、ぞうに鍋、湯豆腐、ニラ玉豆腐、カレー豆腐などもあります。どれも一人分サイズの小鍋で、450円と手頃な価格です。これらの料理は、実にちょうど良い量です。
東京下町の酒場に多い、みりんを効かせた甘い汁がたっぷり入る肉豆腐は、むしろ「煮奴」と呼びたくなるほどです。汁と剣菱の温度が揃えば、何杯でも飲めてしまいます。
※お酒は適量で。
チューハイ(350円)
プレーンな酎ハイもあります。すっと飲み干して40分ほど。心地いいひとときでした。
ごちそうさま
お会計をしている頃に、お店のお手伝いさんたちが登場。店が活気づいてきました。
常連さんが多く独特なムードもありますが、初めての方もそっと迎えてくれるお店です。剣菱の樽に座ってお燗酒と一人鍋を味わえばきっといい気分になるはずです。
隣の駅ならば
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 高砂家 |
住所 | 東京都葛飾区高砂5-44-13 |
営業時間 | 営業時間 18:00~01:00 定休日 日祝 |
開業時期 | 1948年頃 |