築地『つきじ寿司』漁師も常連!場外で約40年の町寿しで市場の朝酒を

築地『つきじ寿司』漁師も常連!場外で約40年の町寿しで市場の朝酒を

2022年4月30日

築地場外市場で約40年。レトロな店構えの『つきじ寿司』は、近隣住民や市場関係者が通う町の寿司店です。ちらし寿司が1,100円と庶民的な価格でありながら、水産市場で日々仕入れる新鮮な魚介類を食べせてくれます。市場で朝からビール、日本酒を飲みたい人にもぴったりな一軒。

スポンサーリンク

築地場外で珍しい寿司の個人店は関係者の姿も

(場外市場に隣接して鎮座する波除神社はこの地の氏神さま。)

かつて築地に世界一の取扱高を誇る魚河岸がありましたが、2018年に豊洲へ移転。それでも、市場に隣接していた築地場外市場は変わりません。小口の買い物は築地場外市場が便利なので、いまでも早朝は仕入れにやってくる飲食関係者の姿は多いです。また、東京を代表する観光市場でもあることから、朝9時頃は仕入れ業務の人々と入れ替わるように大勢の観光客が訪れます。

そのため、関係者や観光客向けに、朝から寿司や鰻、中華、煮込み、蕎麦など様々な飲食店が朝から営業しています。

今回ご紹介する『つきじ寿司』も、そんな築地場外市場に構える寿司店です。観光客が多いもんぜき通りよりも波除稲荷寄りにあり、業務用の鮮魚店や酒販店などに囲まれた場所にあります。

店頭に掲げられた看板もレトロで味わい深いです。そうした場外の業者が集まる場所にあり、かつレトロな一軒家の店構えもあって、同店は観光客の姿は多くはありません。

すしの「し」の文字が横に長い藍色の暖簾を向こう側へ。引き戸をあければ、二代目の大将と慣れた接客の女性が迎えてくれます。2020年3月ごろまでは朝7時からやっていたと覚えています。

一階は寿司種を並べたL字のカウンター席に15席ほどが配され、かなり余裕のある造りです。観光客に焦点をあてた店舗にはない実用本位な内装に、古き時代の築地を感じます。なお、2階もあり、要予約で宴会が可能です。

品書き

お酒

生ビール(大樽)は、キリン一番搾り、瓶ビールはキリンラガー。日本酒はお燗向けの定番酒や冷酒があります。

ランチメニュー

にぎり:1,200円、にぎり大盛:1,700円、ちらし:1,100円、鉄火丼:1,200円。

おまかせメニュー

店長おまかせ:3,200円、松にぎり:2,800円、特にぎり:2,300円、北海丼:2,000円など。

朝から寿司を肴に飲むお酒は最高です!

乾杯はキリンラガー中瓶で

まずは、なにはともあれビールから。築地は朝酒を楽しむ街。午前中の日差しを浴びて輝く瓶を傾けて、それでは乾杯!

にぎり(1,200円)

ランチのにぎりは、寿司下駄にのったにぎり寿司8貫と、トロたくかっぱ巻という内容です。シンプルでいかにも定番という寿司種ですが、本まぐろ赤身は特筆すべき質の良さを感じます。

お椀がついて1,200円。気軽にお寿司を食べるという点では、とてもバランスが良い内容ではないでしょうか。

日本酒・厳撰料飲店向 「銭形」

さて、ここの日本酒はなかなか珍しいものを置いています。厳撰料飲店向 「銭形」とか書かれ、さらに銭貨のラベルまで貼られています。製造元は水戸の酒造メーカー・明利酒類です。同蔵は清酒「副将軍」で知られていますが、こうした特定販路向けの日本酒も手かげているのですね。はじめて飲みましたが、余韻が淡麗で飲み飽きない美味しさです。

ちらし(1,100円)

おまたせしました。ここからが「おすすめ」の話し

築地は海鮮丼を看板料理に掲げる飲食店が数多ある、海鮮丼の激戦区です。結構いいお値段のお店もありますが、ここ「つきじ寿司」のちらしは1,100円(税込)でも、かなり贅沢な盛り付けをしてくれます。

本マグロ赤身、鯛、雲丹、ホタテ、赤貝、海老、イカ、サーモンに玉子という盛り付けです。※仕入れ次第で多少かわります。

海鮮丼と比較するのはジャンル違いではありますが、さすがベテランの寿司職人というきれいな包丁の入り方や、酢飯の温度、かたさ、空気の含み具合もどれも文句の付け所がありません。

具が多くて酢飯は控えめですから、これらの寿司種はお酒のつまみにもぴったり。朝・昼のちょっとしたお酒でしたら、むしろ軽く飲んで〆でお腹に入れるというのが丁度よいと思います。

ここのまぐろは本当に美しい!テンパ(天端)部分でしょうか。口に含んだときの旨味が濃く、爽快な味と深みのある余韻が楽しめます。

雲丹を一口すくって頬張り、その余韻が消えないうちに日本酒を合わせていく。リーズナブルに楽しむ朝酒タイムです。

ちらしにもお椀がついてきます。東京湾でとれたかなり大きなホンビノス貝。ぎゅっと引き締まった身は噛むほどに旨味が広がります。

ここは築地の町寿司

市場の店舗等へ食材を卸している漁業関係者や、仕入れの飲食店、近隣に暮らす魚好きの家族連れなど、同店のファンは様々なよう。常連さん率の高い町のお寿司屋さんと似たような雰囲気ですが、そこはやはり築地。食にかかわる人が多いようです。

原則、水曜日が定休で日曜日など一部休市日でも営業していることが多い「つきじ寿司」。築地で寿司や海鮮丼気分というときは、ふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょう。敷居が高く見えますが、席が空いていれば優しく迎えてくれます。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名つきじ寿司
住所東京都中央区築地6-25-9
営業時間10:00~14:00・17:00~21:30(水定休)
開業年1980年代