アムステルダム「Haesje Claes Restaurant」 16世紀の余韻が残る店で、伝統的なオランダ料理に舌鼓。

アムステルダム「Haesje Claes Restaurant」 16世紀の余韻が残る店で、伝統的なオランダ料理に舌鼓。

旅に出かけられないときこそ、旅先に思いを馳せた記事はいかがでしょう。

今日はオランダの首都・アムステルダムから、アムステルダムの伝統料理と、地元のワインやビールでもてなしてくれる老舗レストラン「Haesje Claes Restaurant(ヘシェクレア)」をご紹介します。

オランダの料理といえば、代表的なスナックは「クロケット(コロッケ)」、おつまみの「ビターバレン」、スイーツならばワッフル、そしてワッデン海や北海に面した地域柄、豊富な魚介料理が名物です。

そんなオランダの味を求めてやってきました。

 

ここはアムステルダム中央駅。ドイツ、フランス、ベルギー、ルクセンブルクなどの各都市を結ぶ国際列車が集結する欧州旅行の拠点となる場所です。

アムステルダム国立美術館などを設計したP.J.H.カイペルスなどによって設計された同駅は、ネオゴシックとネオルネサンスを融合させたデザイン。この地を訪れた誰もが息を呑む美しさです。

 

さすが貿易で拡大した都市。中心市街や駅の周辺も、至るところに運河があるのがアムステルダムの特長です。

 

ここはダム広場。オランダの黄金時代を今に伝える豪華な王宮や教会、デパートなどが立ち並びます。広場の中を悠々とトラムが走る光景も印象的です。

 

目指す「Haesje Claes Restaurant」は、ダム広場から徒歩圏。ベギン会修道院、花市場などがある旧市街にあります。16世紀に設立されたアムステルダムで最初の孤児院の創設者であるヘシェクレアに因んだレストランです。

 

重厚感のあるつくりは、旅先に求める郷土色・土着文化を感じるのには最高の雰囲気です。

お昼から通しで営業しているので、旅行者、出張者にもうれしい融通の利いたお昼酒が楽しめます。ウエイトレスさんの話によれば、夜は観光客が増えて混雑するので、地元の人はランチやお昼酒に立ち寄ることが多いのだそう。このときも、店先では地元のマダムたちが、テーブル席では仕事の昼休みに一杯飲みに来ているお兄さんの姿がありました。

 

オランダといえば、やはりビールから。オランダは、グロールシュ、ババリア、アムステルなど世界的に知られるビールメーカーの宝庫。そしてなにより、アムステルダム発祥の世界的ブランドは「ハイネケン」です。

乾杯!

 

その土地のビールは、その土地で飲むのが一番美味しい。これは全世界共通だと思っています。この一杯のために来たと言っても過言ではありません。

 

ドラフトビール(樽生ビール)はハイネケンを定番にして、加えてオランダのビールが入れ替わりで登場します。ハイネケンが3ユーロ(約380円)と、ヨーロッパとは思えない低価格なのも嬉しいです。これはみんなたっぷり飲んじゃいますよね。

ビンのビールはアムステルダムビールなどの他、アムス中心街にあるクラフトビールメーカー「Brouwerij de Prael」のビールなども含め20種類ほど。アルコール度数9.6%のビールなど、挑戦してみるのも楽しそう。

 

オランダ語、フランス語、ドイツ語、英語の品書きがあるのは場所柄よくわかりますが、びっくりすることに日本語メニューも用意がありました。でも、海外料理って日本語訳されたものよりも原文からインスピレーションして「えぃや!」って注文するほうが楽しいと思っています。これはこれで嬉しいのですが。

 

オイスターはなにもフランスだけの人気料理ではありません。オランダもゼーラント州などでは牡蠣の養殖が盛んで、アムステルダムでもいま、新進気鋭のオイスターバーがつぎつぎオープンし話題を集めているのだそう。もちろん、老舗の「Haesje Claes Restaurant」でも味わえます。1個単位で頼めるので、オードブルとして3個お願いしました。ちょっぴりお皿が寂しいのは、ご愛嬌。

ニシンの塩漬け(€7.50)などがスターターの定番です。

 

やはり外せないのはクロケット(€9.75)。

 

日本の老舗食堂で食べるコロッケとは違うようで、やっぱりそっくり。ビーフが入ったクリーム状のマッシュポテトが、衣の中からとろっとでてきます。野菜が山盛りなのも嬉しいです。

 

ハイネケンをしっかり味わったあとは、白ワインを。オランダ南西部のゼーラント州、南東部のリンブルフ州ではワインの生産が盛んです。フランスやアルゼンチンのワインもありますが、あまり日本では飲む機会は多くないオランダのワインはいかがでしょう。グラスワインは(€4.50~)

 

晩夏からのオランダ料理の代表格、ムール貝の白ワイン(€19.50)。

すごいボリュームです。ゼーラント地方(ヘント/Gentの北・ロッテルダムの南の沿岸)の郷土料理。香草や人参といっしょに煮込まれたムール貝が、大きな鍋1杯分の山盛りで登場しました。なんでも、オランダはムール貝の水揚げ量は世界2位なのだそう。(※1位はスペイン)

 

ワインとあわないはずがありません。そして、超山盛りなのに、これが飽きることなく延々と食べられるような美味しさです。ハーブがムールのクサミを消していて、より旨味を引き出しています。追加でベルギーのワインももらって、黙々と口へ運びました。

 

これはフレンチフライ?いいえ、Patatje Pinda-Mayo(パタッチェ・ピンダ・マヨ)。パンやライスのかわりにメインディッシュについてきたり、道端の屋台(snackbar)でも売られている、ポテト大好きオランダ人のソウルフード。ピンダソースとマヨネーズを潜らせて頬張れば、ワインもビールももう一杯欲しくなること間違いなし。

Haesje Claes Restaurantは、観光客から地元の人々まで幅広く愛されている一軒です。料理はボリュームがあるので頼み過ぎにご用心。

状況が落ち着いたら、世界を旅して、世界の酒と肴を訪ね歩きたいものです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

Haesje Claes Restaurant
https://www.haesjeclaes.nl/
+31206249998
Spuistraat 275, 1012 VR Amsterdam, オランダ
11:30~21:00
予算30€