江戸時代、酒屋の店頭では、持ち帰る前に軽く一杯飲んでいく人で賑わったそうです。これが角打ちの原点。江戸では「たちのみ」や「もっきり」と呼ばれていました。現代、全国的に酒屋の店頭で飲むことを表す「角打ち」という呼び名は北九州から始まったもの。マスの角で酒を打つ、働く男の活力チャージが込められていますね。
そんな角打ちの背景を知ると、どうしても敷居が高く感じられてしまうもの。いやいや、角打ちは誰もが平等に、手頃な価格で楽しめる日常の世界のはず。普段、自宅で缶酎ハイを飲んでいる人も、高級レストランでワインを楽しむ人も、お酒好きならば誰だって角打ちは歓迎される世界のはず。
とはいっても、歴史あるいぶし銀の角打ちは入りにくいと感じることも。そんな方におすすめしたいのが、成増の「柳下酒店」です。
雰囲気はまるでコンビニ。いえ、実は元はコンビニでした。最近、時々みかけるコンビニから酒販店への返り咲き。そして角打ちを始める素敵なパターンは、ここ成増でも。
お酒の品揃えはコンビニの3~5倍程度でしょうか。気軽に入れるコニビニエンスさと、酒販店ならではの豊富な品ぞろえは、お酒好きならばたまらないものがあります。
おつまみだってこの通り。缶詰が非常食?いえいえ、私たち飲兵衛には日常のおつまみです。
コンビニのレジ風なのに、しっかりと備え付けられているドラフトサーバー。タップからはアサヒスーパードライが注がれます。洗浄がばっちりなのは言うまでもありません。価格は340円と驚き価格。(取材時※消費税改定前)
コンビニのように明るく、お酒を飲める人ならば誰でもウエルカムな店内ですが、店の歴史は90年以上。懐かしき酒造会社やあの大手問屋の額が店の歴史を語っています。国分商店がK&Kを使い始めたばかりの頃の額はかなり貴重。
缶詰、乾き物、スナック菓子。こういう場所でつまむと特別に感じるものです。一人でちびりと飲むもよし、子供の頃の駄菓子屋に集合するような気持ちで飲み友達数人とテーブルを囲むもよし。
では乾杯!
デルカップ、大好き。寒い日に、デルカップをきゅっと飲み干すといいものです。キオスク(キヨスク)で売られていることが多いですが、角打ちで飲むのもいいですね!
缶酎ハイの品揃えがすごい!宝にアサヒ、キリン、サッポロなど。こうやって改めて酒屋で飲んで、アレか好き、コレが好きなんて話すのも楽しいです。
ちゃんとグラスの用意もあります。
2016年より角打ちを始めた柳下酒店。コンビニの酒に特化したお店、というのが一番わかりやすお店の特長です。もちろんイートイン大歓迎。
軽く一杯ひっかける、そんな言葉がぴったり当てはまる誰でも入れる、誰もが楽しめる良い角打ちです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
柳下酒店
03-3930-0315
東京都板橋区成増2-17-20
10:00~21:00(日月定休)
予算1,000円