高山「飛騨」 観光地の蕎麦屋と侮れない。きのこ天を肴に久寿玉を一献。

高山「飛騨」 観光地の蕎麦屋と侮れない。きのこ天を肴に久寿玉を一献。

2019年2月15日

険しい山が幾重にも重なる飛騨。通り抜けることは今も昔も困難なほど壁のような山に囲まれています。そこに突如として広がる、驚くほど広い盆地があらわれます。そこが岐阜県の高山です。

日本列島のほぼ中央に位置し、東西南北の文化が入り混じり、独特の風土が形成されてきたこの地。江戸時代には徳川家直轄の天領だったという歴史も、また今の高山の雰囲気に大きく影響しているのでしょう。

そんな高山には、山の恵である湧き水と古川盆地の米作によって造られた歴史ある日本酒がいくつもあります。銘酒と山の幸が楽しめる蕎麦屋、その名も「飛騨」を覗いてみましょう。

 

飛騨高山へは、岐阜と富山をつなぐJR高山本線でアクセス。高山へは富山から約90分、名古屋からは2時間20分の旅路。太平洋側と日本海側を繋ぎ、中央アルプスと北アルプスの隙間をくねくねと山を縫うように走ります。

 

近年の台風被害により長期間の運休が生じるほど険しい山岳路線。全線開通は昭和9年と、他の幹線と比較し遅く、敷設の苦労が伺えます。

ただ、そんな路線だからこそ、北アルプスの雄大な山々や日本ライン、飛水峡などを眺める絶景の車窓が楽しめます。

 

山が列車が遠ざかり、山の中で突然にぱっと開けた景色にかわると、そこが高山です。

 

出格子の連なる古い町並み。ここが高山の昔からの中心街です。(国選定重要伝統的建造物群保存地区)

まるで江戸時代にタイムスリップしたような気分に。

 

その美しい街並みは、日本人だけでなく世界自由の人々を魅了しています。

 

飲食店や雑貨屋が並びますが、やはり高山の歴史地区の主役はノンベエにとっては造り酒屋でしょう。「酒ばやし」に誘われます。

 

1695年(元禄八年)創業の二木酒造。期間限定ではあるものの酒蔵見学も行われています。市内六ヶ所の酒蔵を訪ね歩くのも楽しいです。

 

今夜の宿で飲む一本を購入し、それではそろそろ蕎麦屋で一献といきますか。

 

蕎麦屋の多い高山。歴史ある店ばかりです。飛騨各地から探し集めた蕎麦を使用した十割そばがこだわり。

 

民芸調で落ち着きある店内。

 

山の街らしくふんだんに木材を使用した内装です。山荘にいるような雰囲気に癒やされます。

 

分厚い一枚板のテーブルは立派です。

 

木のぬくもりにほっと一息。癒やしの瓶ビール(キリン一番搾り)で乾杯!

 

突き出しの”煮たくもじ”が素朴ないいお味。昼食時のピークを過ぎた店内で、ちびりと漬物(甘く煮た)で飲むのはいいものです。

 

今日のメインは海老天ではなくて、きのこや山菜です。女将さんご推薦の山菜類は、どれも味が濃厚。深い山で育つきのこの味の濃さは、不思議なほどにお酒を誘います。

 

えのきや舞茸、しめじなど、そのまま美味しいものは一緒に盛り合わせて。きのこの美味しさって、普段あまり気が付きませんがしみじみ美味しい。

 

合わせるお酒は久寿玉。1843年から続く高山のお酒です。特定名称酒しかつくっておらず、瓶入れもそう。お燗をつけてもらって、きゅっと飲めば旅情を感じる楽しい味です。

 

〆のお蕎麦。一口だけお味見にといただきましたが、これが絶品。そばの風味が濃厚で、荒々しい風味が山の蕎麦らしくて素敵です。

 

高山の蕎麦屋「飛騨」。高山温泉で知られるこの街ですが、日本酒や山の幸を楽しませてくれる老舗も多数あります。皆さん、次の休みは高山へ飲みに出てみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

飛騨 (飛騨高山駅前)
0577-32-1820
岐阜県高山市花里町5-22
11:00~17:00(日営業・不定休)
予算2,000円