南千住「山谷酒場」 昭和レトロ好きが始めた酒場で、いろは商店街に元気を!

南千住「山谷酒場」 昭和レトロ好きが始めた酒場で、いろは商店街に元気を!

山谷といえば、昔はドヤ街のイメージ。いまは外国人バックパッカー御用達で、昔ながらの名酒場が賑わう街。北に小塚原、南に浅草、西に吉原と、クセのある歴史をもったエリアに囲まれたユニークな場所です。

いろは商店街は、そんな山谷のメインストリートでしたが、時代の変化とともに役割もかわり、2017年より自慢のアーケードも取り壊しがはじまりました。

そんな山谷に、なんと新しい酒場が登場。その名も「山谷酒場」です。昭和50年代生まれ、昭和のレトロを愛するご主人・酒井秀之さんが開きました。

場所はもちろんいろは商店街。上野から浅草を経由する都営バスの「吉原大門」バス停下車、もしくは東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅から徒歩10分ほどでアクセスできます。近くには名酒場や歴史が詰まった寿司屋などもあり、はしご酒も楽しめます。

 

真新しいお店ですが、懐かしい丸イスと、ビビットカラーのフルーツ柄の合板テーブルが並ぶ光景は、どこか昭和の駄菓子屋のよう。

まずはビールを。生樽はなく、瓶でナショナルはサッポロ黒ラベル。その他、ハイネケンやバスペールエールなど海外ビールを中心にそろえています。では乾杯!

 

ハムカツ、ポテサラ、焼きそば。そういえば「ところてん」も昔の酒場の顔ぶれですね。食堂・酒場と利用できるよう、料理もバラエティー豊かです。フィッシュアンドチップスや木耳卵炒めなど、ちょっと国際的。

看板酒はずばり「山谷酒」と名付けられた漬け込みリキュール。昔の酒場も各店個性をつけた「焼酎ハイボール」を看板にしています。

ビール大瓶750円、金宮ボトル2,000円、酎ハイ類は450円。

 

日替わりのサービス料理がここに数種類加わります。この日はスパゲティサラダ、きんぴらごぼう、きゅうり甘酢くらげ、とまとと茄子の冷たい煮込みなどで300円均一です。

スパサラって、昔は全然好きではなかったのに、酒場で食べるとどうしてこうも美味しく感じるのでしょう(笑) 結構ボリュームがあるので、少しずつ頼むほうが良さそうです。

 

これが山谷酒(500円)。「下町で長年愛されている甲類に10種類の生薬を独自にブレンドしたもの」とご主人。ストレート、ロック、ソーダ割りなど飲み方が選べます。(写真はソーダ割り)

 

その味は、下町の焼酎ハイボールの個性を尖らせたもの…、または近い商品といえばサッポロのバリキングなのですが、それをより個性的にした印象です。これがなかなかどうして、あと引く美味しさです。

 

個性的な料理からひとつ「醤肉」(ジャンルウ)をお願いしました。醤油ベースでクタクタと煮込んだ豚肉で、町中華のチャーシューにひねりを利かせたような味です。火鍋風の特性麻婆豆腐も美味しそうでしたが、それは次の楽しみに。

 

ご主人は東京西調布で喫茶店を開いていた方で、そちらを閉めて山谷酒場を始められています。そんなこともあって、朝8時から二時間だけ喫茶営業としてモーニングが用意されているのですが、夜にコーヒーを楽しむならば、やっぱりコーヒー焼酎でしょう。コーヒー豆で味をつけた甲類。今回は豆乳割りでいただきます。

 

山谷酒場のように、昔のテイストを取り入れ、新しい人達が酒場を開くことが増えています。名店・老舗が閉店という話をよく耳にする今だからこそ、現代になって新たに昭和酒場が誕生することを素直に喜びたいです。

山谷ではしご酒、してみませんか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

山谷酒場
03-5808-9245
東京都台東区日本堤1-10-6
16:00~23:00(8:00~10:00モーニング喫茶営業・月定休)
予算2,800円