皆さん、ワインって難しいと思いませんか。それは、単純に選び方や産地などの知識だけでなく、流通過程の品質だったり、外飲みならばマリアージュを楽しむるお店選びも難しく、「こんな感じ…かな」と妥協しがち。
ワインを楽しむ店選びをソムリエに聞けたらどんなに助かるだろう、そんな想いに応える新たな酒販店業態が新橋にオープン。元は煙草屋だったという0.8坪の超小型のキヨスク型ワインショップ「WINE LIST」です。
場所は小規模な大衆酒場が密集する新橋。飲み屋街の真ん真ん中に誕生しました。
通常の酒屋同様に酒販免許を持ち、ワインの小売販売を行っています。ただし、営業時間は平日の17:00-23:00と夜の営業に特化しています。
特長はなんといっても、購入したワインを近隣の連携体制がある飲食店に持ち込み楽しめるというもの。
ワインを扱う酒販店が同店舗内に飲食コーナーを設ける「角打ち」スタイルは多々あるものの、ワインの販売に特化し、「飲食はお店でどうぞ」というの珍しい。海外では定番のワインの楽しみ方で、”BYO”(Bring Your Own)と呼ばれています。お好きなワインをお好きなお店に持ち込んでもっと楽しめるというもの。
一般的にお店を選んでから、その飲食店のフードに合わせて店のワインから選びますが、ここでは真逆。飲みたいワインを選んでから、そのワインにあった料理やお店をワインのプロが紹介してくれるます。
難しい知識は不要。ニュアンスを伝えれば丁寧に説明してくれて、マリアージュも考えてくれます。それでいて、酒販店なので抜栓料はとらずに千円台からの酒屋価格で販売してくれます。ワインの品揃えは40種類ほど。
新橋でこんなおもしろい取り組みが始まったとなれば体験せずにはいられません。早速、オーストラリアの白ワインで春らしい味わいのものを選んでもらいました。それに合わせる食材はやっぱり魚。お店はいくつかの候補から、漁師直営の魚屋「新橋三丁目魚市場」を教えてもらいました。
自分で持っていくのかと思いきや、なんとそのままスタッフの方がお店まで同行してくれます。しかもワイングラスを片手に。
宮崎の青島を中心とした日向灘の近海鮮魚が、水揚げの翌日はお店に並ぶという漁師直営ならではの鮮度が自慢の海鮮居酒屋です。魚と白ワインの組み合わせは間違いなく合うのですが、海鮮居酒屋のワインって、こだわっていないとちょっと不安もあるというもの。それが、こうしてソムリエがいる酒販店から管理状態がしっかりしたワインと合わせられるのだから素晴らしい。
なお、持ち込み料は飲食店ごとに設定されています。
ワイングラスは「WINE LIST」のものなので、グラスの状態もよい。ちゃんとサーブもしてくれます。西オーストラリア最古のワイン産地スワンバレーのワイナリー「Jarrah Ridge」のシャルドネをチョイス。店頭価格(持ち込み料は店ごとにことなります。)は2,200円(税抜)。ソムリエが直接現地まで足を運び選んだ、国内は同店限定のワイン。
まずは生ビール(ハートランド)で乾杯、もよいですがせっかくですからワインで。乾杯!
購入後の持ち込みを前提に保管されているので適温。食材と一緒の冷蔵庫で冷やしているものでもありませんので、冷えすぎてもいないのが嬉しいポイントです。レモンのような香りにしっかりとした香りとコク、魚との相性ばっちりでしょう。
宮崎の焼酎もありますが、今日は美味しいワインで。
ワイン持ち込み以外の定番メニューはこの通り。
青島港から船直の響きが期待値高める刺身。一人前1,380円。魚オンリーではなく、鶏食が盛んな宮崎らしくもも焼きなど宮崎の酒場の定番が揃っています。
開店は15時からと早いので、「WINE LIST」が開く前に生ビールから始めたくなるハッピーアワー。
かつお、まぐろ、さわら、めじな、そして甘鯛。定置と釣りで漁法を変えて幅のある生息地から水揚げされた鮮度ばっちりの魚です。店員さんも漁師や鮮魚店の経験者なので魚への熱い想いを語ってくれました。
甘鯛(ぐじ)に華やかな白ワインが合わないはずがありません。漁師の直営店で、酒販店が注いでくれたワイン。外食の進化を感じる瞬間です。
爽やかなワインと寄り添う魚といえば、かつおも忘れてはいけません。九州醤油のコクと甘さも味を引き立てます。
お刺身で魚を満喫したあとは、じどっこもも焼きを。鶏の脂を落とし、それが火柱になる宮崎ならではの豪快な焼鳥です。
ほどよく脂が落ちて引き締まったモモ。炎となって肉に戻ってきた脂の旨味が表面を黒くし、中はレアに仕上がり、ジューシー。あぁ、これは赤ワインの出番に違いありません。
来店時は「WINE LIST」からお店を選びましたが、お店から「WINE LIST」に連絡してもらいデリバリーにも対応してくれます。
赤ワインは、鶏料理に合わせ、シラーズ・メルロー。花のような甘い香りで、ボトルにも花が描かれています。
ボトルワインで始めても、もちろんお店のお酒だって楽しめます。チキン南蛮にはやっぱり芋焼酎。日南市の大堂津の宮田本店がつくる東京では滅多に見かけない「日南娘」。お店自慢の焼酎のひとつです。
「お店のワインセラー代わり」という見方とともに、利用者としては、安心して品質の良いワインを様々な店舗で楽しめるということに価値があります。
今回は居酒屋でしたが、割烹や馬刺し専門店、焼肉店なども提携しているそうなので、次回もぜひ飲みに行きたいです。
ごちそうさま。
公式サイトはこちら
https://winelist.jp/
(取材・文・撮影/塩見 なゆ タイアップ/株式会社エスクリ)