歌舞伎座に近い昭和通り沿いにある赤いテントのお店「ナイルレストラン」。メディアでも頻繁に紹介される銀座の老舗の一軒で、日本におけるインド料理店の草分け的な存在です。
創業者のA.M.ナイルさんはインド独立運動に参加した革命家で、日印親善に取り組んだひとりです。現在は二代目のG.M.ナイルさんと三代目が店を継いでいます。
銀座名物のムルギーランチで飲もう!
場所柄、芸能関係者やグルメ関係の著名人もファンが多いことで知られ、曜日を問わず昼間から夜までアイドルタイムもなしにお客さんがひっきりなしに食べに来る人気店です。
独特なエキゾチックな内装で、お店の歴史や取り組みが飾られています。G.M.ナイルさんが「いらっしゃい、こちらどうぞ」と案内をしてくれます。それと同時にメニューを持つことなく「ムルギーランチ?」と威勢のいい感じで注文を振ってきます。
初めはここで戸惑うのですが、まずはムルギーランチを頼んでおけば間違いないので「はい」と答えましょう。
もちろん、メニューを見せてといえば持ってきてくれます。海老カレーライスもおすすめです。
樽生の黒ラベルの提供がはじまりました
この冬からナイルレストランに生ビールが入りました。今までビールは瓶だけで輸入ビールと黒ラベルがありましたが、創業68年目にしてドラフトビール登場。銘柄は銀座育ちの北極星、老舗に愛されるサッポロ黒ラベルです。
たっぷり入るワイドジョッキで登場。鮮度がよくて安心して頼める生です。では乾杯!
ビールの他にグラスワインやインドウィスキーも用意されています。
お酒を頼むとついてくるパパドも美味しいんです。
名物のムルギーランチは混ぜ混ぜしてね
黒ラベルにムルギーランチ(1,500円)、とっても銀座らしい並びです。今回は昼食を兼ねているので普通のムルギーランチですが、実は裏技でライス抜きも注文可能。お酒を飲むからライスはいらないかな…という方もぜひムルギーランチをお試しあれ。ちなみにランチとついていますが、時間帯関係なく頼めます。
7時間ほど煮ているというチキンが主役でマッシュポテトと温キャベツ、イエローライスがきれいに盛られてきます。お客さんの前で手際よくチキンの骨を外して出来上がり。「いただきます。」
このまま崩さずに食べようとすると…「混ぜて!そう混ぜたほうが美味しいから」とG.M.ナイルさん。結構強い口調で言われるので「ひえぇっ」てなった昔の筆者。いまはニコニコまぜまぜ。だって、本当に混ぜたほうが美味しいから。
SNS映えなんて言葉が生まれるはるか昔から食べられてきた銀座の味のひとつ。ほろほろのチキンとマッシュポテトが混ざったライスからは、じわりじわりと効いてくるクセになる香辛料が刺激します。
あぁ、記事を書いていたらムルギーランチが食べたくなってきました。記憶に残る味、一度食べるとこの味を思い出して食べたくなるのです。そしてその余韻にぐーっとサッポロ黒ラベル。
ムルギーランチは本場インドにはない食べ方です。だから、これはインド風銀座カレー。
老舗で飲むと感じる続いてきた理由、ここにもあります。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)