三ノ輪駅近くにあまり知られていないのですが、大変美味しく通っている飲み屋があります。地域密着の銘店「ままや」です。近隣に住む方がほとんどで幅広い層に人気があり、いつも温かい雰囲気に包まれています。
店構えこそ新しいですが、料理やお酒の内容はそのへんの有名店にも負けていません。
三ノ輪界隈は老舗の酒場や角打ちが立ち並び、お酒好きならばぜひ訪れてみてください。徒歩で南千住や日本堤にも散歩できる距離ですし、散策にももってこいの街です。
一般家庭の玄関のようなドアは敷居が高く感じますが、なんということありません。店先にその日の黒板メニューが掲げられていますので、それを見ていただければここが大衆飲み屋だということがわかるはず。
ビールは生樽も瓶もサッポロビール。日本酒の定番は秋田の高清水、酔鯨や久保田も600円台とリーズナブルです。ワインのボトルはなんと2,100円という価格。
メニューは日替わりのものも含めて30種類ほど。筆で書いた力強いメニューが最近のトレンドですが、こういう街の割烹のボールペンの文字も大好きです。旬の魚に贅沢な食材も多々あり、酒場ではなく割烹寄りなのがおわかりいただけると思います。美味しいものが食べたくなったら「ままや」なのです。
それではまずは黒ラベル(530円)で乾杯!
ビヤサーバーの状態もグラスもばっちり。きめ細かな泡がきっちり蓋した美味しい一杯です。
突き出しは日替わりで、この日はサンマの南蛮漬けです。あまからの味付けで一杯目のビールをより進めてくれます。
お椀も美しい治部煮。上品な味付けで会話も弾みますし、お酒を飲みたい心もくすぐられます。石川県金沢の郷土料理ですが、三ノ輪の飲み屋さんで食べられるとは素敵でしょう。
刺身盛り合わせ(1,080円)は、こんなに贅沢に!サンマ、かつお、ひらめにまぐろ、たこに赤貝。赤貝の包丁の入れ方や盛り付けから感じられる丁寧な仕事にうっとりします。寡黙なマスターは料理の腕がピカイチです。
生うにとイカの磯辺巻きなど、すこしひねった料理も多く、日々新たな料理が誕生しています。イカとうにをわさび多めにして巻いて食べる、美味しいに決まっています。いつのまにかビールからシフトした高清水のお燗も、気づいたら徳利3本目。
とはいってもここは下町です。もちろんあります、もつ煮込み!甘辛の味付けですき焼き的な味付け。
本鰆と秋茄子のはさみ焼。サワラは魚に春と書くことから春が旬と思われがちですが、漁獲量が増えるのが春というだけで、美味しいのは秋から冬にかけての大型のものがいいと市場の人に教わったことがあります。
秋ナスで挟むというのは、なんとなくマスターからのメッセージにも感じられて、おもしろい。照り焼きにつかうようなみりんで甘くしたタレがナスと鰆をまるく包んでいます。
盛り付けがオシャレなのはもちろん、どれも料理にはずれなし。焼酎(甲類はSUN 燦)のボトルキープができますので、ソーダとレモンをもらって酎ハイを作って飲めばグループで飲み食べしてもしっかり安い。
こっそり隠しておきたいお店なのですが、いいお店を紹介したいという思いとの葛藤の末の掲載となりました(笑)
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
ままや 旬菜
03-5603-4720
東京都台東区根岸5-19-8
17:30~23:00(日定休・祝不定休)
予算3,000円