金沢「赤玉 本店」  北陸最大の歓楽街・片町の夜に温まる

金沢「赤玉 本店」 北陸最大の歓楽街・片町の夜に温まる

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金沢の街を梯子酒したことはありますか。良いところです、金沢は。伝統文化や歴史的な魅力は言うまでもなく、筆者としては、金沢の夜が改めて「素晴らしい」ということを伝えたいです。

北陸最大の歓楽街、片町。名前の由来は、犀川支流の河原に掛け作りの商店が立ち並ぶ、京都の河原町付近の鴨川沿いのような街だったことから、”片側が町”で片町と言われるようになったそうです。

江戸時代から加賀百万石の商業地として栄え、現在も北陸最大の歓楽街として賑わっています。新幹線開通の効果も大きく、一時期の衰退から賑わいを取り戻しました。ホテルを手配するなら金沢駅前より断然、香林坊・片町界隈がおすすめです。なにせ、路地裏にはいい飲み屋がいっぱいあるので、ばしばし梯子酒が楽しめます。

 

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そんな片町の中心、片町交差点に面している飲み屋「赤玉本店」は、金沢酒場の代表格。1927年(昭和2年)創業の老舗です。金沢おでんの名店として全国にファンが多い。

昭和初期に初代女将が大衆おでん酒場としてつくったお店で、おでん以外のおつまみも豊富です。お昼から通しで営業している昼酒スポットとしても重宝します。

 

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奥に長いコの字カウンターの中央に鎮座するおでん鍋。お店はきれいになっておでん目当ての観光客も多いですが、長年通っていると話す一人酒のお父さんの姿もあるなど、地元に愛されている飲み屋でもあります。

 

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おでんは100円からとちょい飲み価格です。めずらしいところでは、冬季限定で香箱ガニの身と内子、外子、味噌を甲羅に詰めた北陸らしいおでん種「カニ面」があります。一パイ1,000円ほどしますが濃厚な旨味とあっさりとした出汁の絶妙な濃淡が美味で、せっかく来たのであれば食べてみては。今回の取材時はまだばい貝の季節で、カニ面がなかったのが悔やまれます。

 

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ビールは生ビール(520円)も瓶(550円)もキリンビール。おでんから立ち上るぽかぽかとした湯気で、寒くて乾燥した外から入ったときに、その湿度とおでん出汁の香りでふっと心がほぐされます。となると、寒くてもビールが飲みたくなる!

ということで、一番搾りの生で乾杯です。

 

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金沢は普通の居酒屋でも夏場からおでんが食べられます。お店ごとにおでんの味は様々で、昨今の「金沢おでん」といっても、関東風の店もあれば関西的な味の店もあり、種類は様々です。共通項を探すとすれば、それは車麩の存在ではないでしょうか。

 

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鰹ベースのあっさりとした出汁で飽和状態のひたひた車麩(250円)。こちらの出汁は塩分がかなり抑えられていて、たっぷり汁と一緒に食べるのがちょうどいい。車麸やしらたき、大根などがベストパートナーです。

赤巻かまぼこなど、ご当地食材もおでん種に名を連ねているので、お試しあれ。

 

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おでん以外にも関東・関西の居酒屋の顔ぶれがみえかくれするのも興味深い。関東的なシロなどもはいったやきとり(もつ焼き)や、どて焼きや大阪流の串揚げ(形状的には関西の串かつ)もあります。そこに北陸らしい海産物の焼き魚や刺身が加わるので、何を食べるか迷ってしまいます。

偶然隣り合わせになった赤玉本店の年配の常連さんから教えてもらった「串かつ」(580円)は大正解。長く通う人にファンが多い、常連向けメニューだと聞きます。食べごたえたっぷり、さらっとしたソースを軽くかけていただきます。

 

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二階には上品な座敷席がありますが、やっぱり一階のカウンターで地場の酒場を肌で感じるのがいい。意外と地元のアパレル店員さんが仕事上がりで飲んでいたりと、客層は幅広く、そしてみんないい顔して食べて飲んでをしているのが印象的。

早い時間に、ここでぼーっとおでんをつつきながら、天狗舞、菊姫、萬歳樂など地元のお酒に酔う昼酒は幸せに違いありません。夜の梯子酒にもさらりと立ち寄りたい酒場です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

赤玉 本店
076-223-3330
石川県金沢市片町2-21-2
12:00~25:00(月定休)
予算2,000円