「一番搾りガーデン」から感じるナショナルビールの楽しみ方

「一番搾りガーデン」から感じるナショナルビールの楽しみ方

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今年も主要なビアガーデンイベントが盛況の中多くが終了になりました。皆さんはどんなイベントで乾杯しましたか?ナショナルブランドだけでなく、昨今のクラフトビールブームもあって、ここ数年でバリエーションが豊かになったビヤガーデンイベント。やっぱり屋外で飲むビールは最高です。

キリンビールが展開する表参道の一番搾りガーデンは想定を上回る盛況だったそうで、まだまだナショナルビールの底力を感じます。

 

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いま日本は空前のクラフトビールブームです。クラフトビールは個性豊かでこれまでになかったビールの楽しみ方を創造し、従来の「とりあえずビール」から「選び考えるビール」として市場に大きな影響を与えてきました。かつて日本酒が新たなブームをおこしたように、ビールも嗜好要素をより強めて、背景やコンセプトをしっかりメーカーが謳い、それを酒販店や料飲店が私たち飲み手に伝える、まさに頭で考えるお酒になったと考えています。

では、従来からあったナショナルビールが比較して劣っているのかというとそうではなく、クラフトはクラフト、ナショナルはナショナルとしての楽しみ方、付き合い方があるのだと思います。

 

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一番搾りガーデンの盛り上がりは、ナショナルビールが「古い」「ださい」「おやじっぽい」という印象はこれっぽっちもなく、飲みに来ている人たちのも20代から70代まで実に幅広く、みんながみんな共通のアイテムとして「一番搾り」を軸に笑っているのが印象的でした。

 

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いっときのブームではなく、すっかりトレンドして定着した「酒場」というコンテンツは、テレビのバラエティやムック本でも鉄板ワードです。

 

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最近は主に若い人を中心にせんべろブームが起きています。これまで業界の偉い人たちが「若い人が料飲店で飲まない」と嘆き、効果の有無は別にして様々な手を打ってきました。でも、せんべろブームは消費者側から「私たちはこういう付き合い方で外飲みを楽しみたい」と動いたもので、業界主導ではなかったと思うのです。

そんな消費者主導の酒場トレンドの中で飲まれているビールは、きっとナショナルビールでしょう。

 

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50年、70年やっている老舗で飲むビールは大手4社のいつもの銘柄でしょうし、赤羽や上野のせんべろ立ち飲みでも、そこにあるのはナショナルビールです。それは、名古屋だって大阪だって札幌でも同じ。

「ナショナルビールは人生に寄り添うビール」。出産祝いも、結婚式も、就職祝いも退任パーティーでも。嬉しいときから悲しいときまで、いつもそこにあるのはナショナルビールです。親から子へ、ずっと受け継がれてきた飲み物って他にあるでしょうか。

 

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「祖父がいつもキリンラガーを飲んでいた、だから我が家はなんとなくキリンなんだ。」そういう会話が業界人ではなく、ごくごく普通の人の会話ででてくることがあります。ナショナルビールが持つ”歴史”という強い武器です。

 

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一番搾りガーデンで感じた、”共通の言語としてのナショナルビール”という姿が印象的でした。

 

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多くの打ち合わせよりも、いっときの飲み会のほうが親しくなれる。先輩と後輩、親と子、幅広い年齢差の人たちがみんながみんな「美味しい」って言えるのは、時空をこえて愛されているナショナルビールだからこそ、なのではないでしょうか。

 

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頭で考え、背景を思い浮かべ、舌、喉、風味をじっくり味わう。そんなクラフトビールの楽しみ方を『考える楽しみ』とすれば、ナショナルビールは、その飲む時間、飲む場所、一緒に飲む相手を『繋いでくれる楽しみ』だと思います。

 

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一人でせんべろを楽しむ人も、大衆酒場の暖簾をくぐる人も、デートや親子酒のときも、忘年会・新年会でも、一人で飲んでいるんじゃない。その場・その時間を誰かと共有し、もっと言えば、「おいしい」って思いながら笑顔になるその瞬間を時空も超えて繋いでくれる、「あぁ、おいしいね」という気持ちが先祖から子孫までつながっていく。

それこそナショナルビールの楽しみ方なのでだと筆者は思います。

 

「とりあえずのビール」から「いつものビール」と思ってもらう、ナショナルビールのチャレンジに注目です。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)