本日は大阪・十三に来ています。梅田から阪急で数分とわずかな距離しか離れていませんが、キタとは全然違う雰囲気で、これぞ絵に描いたような大阪酒場街という景色が広がります。以前は阪急電車の改札から徒歩10秒で酒場に入れたのですが、昭和の景色は残念ながら更地になってしまいました。とはいえ、駅から1分も歩けば、どこもかしこも赤ちょうちんばかりなことに変わりはありません。大衆文化の風情を味わう酒場を巡ってみませんか。
とくにお昼から飲むのがおすすめです。ここ「平八」は、地元のお父さんたち御用達の昼酒スポットです。店内は奥に長く伸びるカウンターと少しのテーブル席という配置。大阪には一本の長いカウンターという造りが一般的です。コの字の東京酒場との違いもまた酒場マニアの心をくすぐります。
美味しそうな名前の踊る品書きが壁獣に貼られています。揚げものから刺身、炒めものまでなんでもありまっせ、というアピールがすごい。
さて、はじめましょうか。やはり大阪のらび「ダイビン」を頼みたい。さすが大阪、大びん420円。どうですか、奥さん、これが大阪のあたりまえなんですよ?安いなぁ。串かつは定番商品として、専門店でなくとも置いているお店は多い。平八の串も美味しいので頼みましょう。
でてくるまでの間つまむものを…本当になんでもあります。定番に「うなぎ」や「自家製とんかつ」なども入っていますが、大阪は大衆食堂と大衆酒場の境目が曖昧だからでしょうか。
大びんのキリンクラシックラガーをもらって、それでは乾杯!
おつまみ一品目は、日替わりのオススメから、トビウオのお造りをいただきましょう。300円前後でお造りも頼めて、ビールも安い。大阪で商売するのは大変です。関西ではお値打ち酒場はあたりまえ。
宇和島天はじゃこ天のこと。提供直前にさくっと油をくぐらせて熱々なしたものです。ささっとお醤油をかけて、ほら、やっぱりビールとよく合います。
大阪は実は東京の酒場よりもおでんを扱っている率が高いように思えます。こちらのおでんも人気メニューで、スジやごぼ天が常連さんから支持されています。出汁は薄い色ながら、しっかり煮こまれた味で、日本酒が欲しくなる味です。
串かつはもちろんオーダーしてから揚げてくれるもので、それでも80円・90円という価格。さくさく、ほくほくに仕上がった串の中でも、私のお気に入りは玉ねぎ。若くて小さなもので、中がほっこり甘く、外の衣はソースをくぐらせてもさくっとした食感がそのまま。ビールが進みます。
ソースはテーブル備え付け、もちろん二度漬けは禁止です。レモンのような酸味があるソースで、東京のそれとは全然違います。
大阪はビール、酎ハイ、日本酒が基本。東京だとホッピーやバイスにハイサワーなど、割材の文化ですが、関西はチューハイは予め樽詰めされているものが一般的で甲類を割って飲むというのはあまり浸透していません。
お昼から飲むのが当たり前ですし、なんどもござれで普通に楽しく飲んでも二千円でお釣りが来る。十三は飲兵衛の楽園で間違いありません。
観光に、ビジネスの合間に軽く昼酒に立ち寄られてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビールマーケティング株式会社)
平八
06-6301-2367
大阪府大阪市淀川区十三本町1-4-22
14:30~翌1:00(日定休)
予算1,800円