今回ご紹介するお店は、実は隠しておきたいお店。地元の方でとてもご繁盛されているので、さらに知られてしまうと入れなくなっちゃうかも。こっそり私が通うだけにとどめておきたいのですが、とはいえ、私も居酒屋ライターとして銘店を多くの方にお伝えすることが存在意義。迷いに迷った末の掲載です。
なので本記事の公開時間が深夜という・・・(笑)
京都にいったら有名な居酒屋めぐりはもちろん基本なのですが、地元の人が日常で使っている街中の居酒屋にこそその土地の魅力が詰まっていると思うのです。
ここはまさに京都の普段使い。京都の料理を派手でも上品でもなく、地元の人が納得する価格帯で美味しく味わえるお店です。あぁ、本当に隠しておきたい「布」。
テーブル4人席、6人席、ちょっとした個室、基本はカウンターが中心のつくりで、洛中西院にお住まいのご家族で切り盛りされているお店です。お客さんもほとんどがこの界隈にお住まいの方なので会話はとってもローカル。それがまた楽しい。四条烏丸や河原町などの繁華街とは違った人々の生活を感じられる西院、京都に来たらこういう居酒屋で飲まないのはもったいない。
ビールはサッポロ黒ラベルが380円。生ビールがこの価格、京都の居酒屋相場から考えると大変リーズナブル。しかも状態が極めてよく、鮮度、ガス圧、サーバーやグラスの状態も完璧なのです。
嬉しいな、美味しい黒ラベルで乾杯!
料理は日替わりで刺身を筆頭に美味しそうなものが揃っています。えびいもやくもこなど京都らしい料理もありますが、カルパッチョや地鶏ゆずこしょうなど幅広くお酒に合うおつまみが揃っています。一枚の和紙に筆書きされているのですが、これをみていると全部食べたくなってしまいます。
料理は600円前後が中心で、手間のかかる料理が多いのにこの価格、内容を考えれば実に嬉しい値段設定。品書きには、メニュー以外にもいろいろできます、と書かれていて、ご主人の料理好きが随所に感じられます。
まずはお造り盛り合わせ。この日は鱧、太刀魚、ブリを盛ってもらいました。鱧はおとしで軽く炙って食感と風味に変化をもたせたこれまた丁寧な仕事がされたもの。もうたまりません。
京都の居酒屋では定番のおつまみ、粕汁。お店ごとに個性がでるものですが、布の粕汁は具だくさんでコクがあって、丸い味ながらお酒が欲しくて仕方がなくなる最高の一杯。人気で売り切れることがほとんどなので、粕汁目当てならば一軒目にどうぞ。
カウンターに並ぶ大皿に盛られた料理はどれも食べたくなるものばかり。京都の料理といえば京野菜などを使った「おばんざい」ですが、それは観光用。もっと色んな物を食べているし、油っぽいものも好き。そう話す西院住まいの方と乾杯。確かに大皿には美味しそうな角煮が。
ビールは生ビールが黒ラベル、瓶ビールには珍しく赤星も置いているのですが、ここはあえてヱビス黒を。小瓶の黒が時々むしょうに飲みたくなることありません?
甘鯛の塩焼きにしようか、それともカレイの煮付けも食べたい。あぁ、本当にこちらは品書きだけで飲めてしまいます。
私が東京から飲みに来ていることや、酔った勢いでチューハイについてのうんちく話を語っていると、それならばとお店オリジナルの酎ハイを教えてくださいました。
樽詰めの氷彩サワーをベースにレモンを入れる。これはよくあるレモンサワーのレシピですが、なんとこのレモンにこだわりが。ポッカといえばレモンエキスでお馴染みですが、そのシロップを2種類混ぜているもの。
これが美味しいんです。ポッカサッポロかサッポロの氷彩担当にぜひこの味試してみてほしい。パンチのサワー系の味のベースと、パルプリッチの果汁感のバランスがいい!
…またチューハイネタになるとテンションあがる私。
西院では、「黄ハイ」というのも密かにはやっています。樽詰めのチューハイにシークァーサーのシロップを入れたものです。東京で「黄色」といえば、下町にある色付き焼酎ハイボールをプレーン酎ハイ、いわゆる白ハイと呼び分けるために使われていますが、西院はいまシークァーサーブーム?
料理をつくる様子が眺められるカウンターが特等席。この配置はまさしく割烹スタイル。京都らしい料理もあれば居酒屋でいつも食べたくなるような顔ぶれもいろいろ。料理自慢のご主人のつくるおつまみは京都に来たら食べずに帰るのはもったいない。居酒屋好きならばきっと気にいるはずです。
ビールや酎ハイ、そしてもちろん日本酒「醴泉」もリーズナブル。さぁ、そろそろ地元の愛され酒場で乾杯しませんか?
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)
布(ふ)
075-314-5002
京都府京都市右京区西院北矢掛町36-3
17:00~25:00(日営業・不定休)
予算2,500円