直江津『直江津庵』駅そばで地酒が飲める!?地魚「めぎす天」を肴に能鷹で乾杯

直江津『直江津庵』駅そばで地酒が飲める!?地魚「めぎす天」を肴に能鷹で乾杯

新潟県鉄道発祥の地、直江津。この駅には、旅の途中でわざわざ降りてでも立ち寄りたい名店があります。駅弁の名門「ホテルハイマート」が営む『直江津庵』。ここでは珍しい地魚「めぎす」の天ぷらを肴に、地酒「能鷹」を楽しめるのです。鉄道旅の情調に浸る、至福の駅そば飲みへご案内します。

スポンサーリンク

鉄道のまちの止まり木

かつては北前船の寄港地として賑わい、明治以降は鉄道の街として発展してきた直江津。北陸新幹線のルートではないものの、現在もえちごトキめき鉄道やJR信越本線などが交わる交通の要衝であることは変わりません。

鉄道の街、乗り換え待ちがある駅でおなじみの場所といえば、そう、駅そばです。この駅には、いまも朝から営業している駅そばがあるのです。しかも飲めちゃう!

そうとなれば、飲まないわけに行かないのがノンベエ旅行者というもの。私も乗り換え時間が30分あったので、改札を出てすぐ、北口ロータリーに面した『直江津庵』へ。

店内はカウンターだけですが、全席に椅子が用意されています。ガラス越しに行き交う人々や列車を眺めながら、ゆったりと過ごせるのが嬉しいポイント。

食券機には「かけそば」などの定番に加え、「海藻うどん」や「もずくそば」といった日本海側ならではの品書きが並びます。 なかでも私の目当ては「めぎす天」。迷わず「ワンカップ」のボタンと共にプッシュします。

幻の深海魚「めぎす」と地酒「能鷹」

提供されたお盆を持って、窓辺の席へ。窓の外に伸びるレールを背景に、湯気の立つ蕎麦と地酒が並ぶ。これぞ旅情です。

能鷹 200カップ:330円

まずは、地元・直江津の田中酒造が醸す「能鷹」を開けます。この青いラベルの「200カップ」というサイズ感が、駅そば飲みにはちょうどいい。 一口含めば、キリッとした辛口の中に米のふくよかな旨味が広がります。華やかすぎず、飲み飽きない。まさに地元の晩酌酒といった風情です。

めぎす天そば:600円

主役の「めぎす天そば」は、丼を覆い尽くすほどの大きな天ぷらがインパクト抜群。 「めぎす(ニギス)」は、上越地方で親しまれている深海魚です。足が早いため他県ではあまり見かけませんが、ここでは天ぷらとして日常的に愛されています。

箸をいれると、中から現れるのは驚くほどフワフワの白身。淡白な見た目とは裏腹に、深海魚特有の脂が乗り、濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。

すかさず能鷹を流し込む。魚の脂を辛口の酒がさらりと切り、口の中をリセットしてくれる。これを繰り返していると「あぁ、ローカル線の旅もいいなあ」と改めて思えてくるものです。

黒いつゆと天ぷらの余韻

直江津庵のつゆは、関東風の濃い色合い。運営元のホテルハイマートが手掛けるだけあり、鯖節などを効かせたコクのある出汁は、醤油の塩味と相まって力強い味わいです。

食べ進めるうちに、天ぷらの衣がつゆを吸い、油の旨味がつゆに溶け出していきます。クタクタになった衣と、出汁の効いたつゆを絡めて蕎麦を啜る。麺は駅そばらしい、少し太めの柔らかい茹で麺で、これがまたお酒の合間に優しくお腹と心を満たしてくれます。

窓の外の景色をぼんやりと眺めながら、地元の味に浸るひととき。ガイドブックでおなじみの有名店もよいけれど、旅の途中で出会うこんな一杯こそが、記憶に深く刻まれるものです。

店舗詳細

メニュー
食券機
店名直江津庵 直江津駅前
住所新潟県上越市東町1−1
営業時間7時00分~17時20分
基本無休