浅草『江戸前 三松寿司』昭和33年創業の名店!母娘が守る絶品バッテラに剣菱を

浅草『江戸前 三松寿司』昭和33年創業の名店!母娘が守る絶品バッテラに剣菱を

浅草の地に根ざし、昭和33年(1958年)から続く『江戸前 三松寿司』。江戸前の仕事が光る握りとともに、この店でぜひ味わいたいのが、創業時から続く鯖の押し寿司「バッテラ」。二代目の女性職人と大女将が温かく迎えてくれるカウンターで楽しむ浅草の粋な寿司屋時間をご紹介します。

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温かい母娘が迎える、浅草の寿司屋

観音様のお膝元として賑わう浅草。仲見世通りの喧騒から少し脇道へ入ると、観光地の賑わいとは一線を画した、穏やかな時間が流れています。目指す『江戸前 三松寿司』は、そんな街並みに溶け込むように、食通街の先に佇む一軒です。

この日の取材は、夕暮れ時、口開けの17時に暖簾をくぐりました。レトロな空気が心地よい店内では、90代になるという大女将と、つけ台の向こうに立つ二代目寿司職人の娘さん、そして接客の女性が笑顔で迎えてくれます。

ショーケースに豊洲仕入れの寿司種が並ぶカウンター席は、職人の手仕事を眺められる特等席。テレビからは相撲中継が流れ、厨房でお湯が沸く音が聞こえるだけの静かな黄昏時。この雰囲気に、すっかり心が解きほぐされます。

初代である仙台が55年間一人で守り抜いた板場を、娘さんが2014年に継承。大女将とともに店に立ち、伝統の味と温かいもてなしで、長年の常連さんから新しいお客さんまでを魅了しています。

創業時から続く名物「バッテラ」

まずは瓶ビール(アサヒスーパードライ)をもらい、一人静かに乾杯。

江戸前の寿司屋ですが、ここでお願いしたいのが「バッテラ」です。創業時は江戸前寿司と大阪寿司の両方を提供していたそうで、その名残がいまに伝わります。現在は鯖のバッテラが定番で、予約をすれば穴子の押し寿司も可能とのこと。

バッテラ 2,200円

注文すると、仕込んであった鯖の薄皮をぴっと剥がし、女将が手際よく木枠へ酢飯とともに詰めていきます。きゅっと締められ、切り分けられて供されたバッテラは、見た目も美しい。

鯖の下処理の良さが伝わる、まろやかな〆加減。鯖の旨味と酢飯が一体となり、後を引く美味しさです。

大女将が仕込むという酢飯は、塩と酢のきかせ方が絶妙。

燗酒と、とろける穴子を

剣菱 大 1,500円

これはたまらないと、日本酒へ。定番酒は灘の銘酒「剣菱」。湯煎で丁寧につけられたお燗を、大きい徳利でもらうのがいつもの私の楽しみ方です。

せっかくですから、江戸前寿司もいただきましょう。単品で1貫から注文できます。

看板のひとつという「穴子」をお願いしました。つけ台では、蒸してあった穴子を提供前にさっと炙り、香ばしさをまとわせています。甘いツメがたらりと塗られて、さっと目の前に。

口に運べば、ごはんより先に穴子がとろけていくような、儚い口どけ。丁寧な仕事が光る一貫です。

ごちそうさま

初代の教えを守りながら、二代目女将が自身の感性を加える『三松寿司』。気さくな母娘が醸し出す空気は、初めてでも、女性一人でも、自然と心が和みます。

浅草で美味しい寿司をつまみたくなったら、ぜひこの暖簾をくぐってみてください。

取材時は、友人に教えてもらったという東海岸に住む寿司通の外国人もいらしていました。家庭的な雰囲気がありつつも、ピシッとした江戸前寿司の背筋の伸びる感覚もある、とても心地の良いお店です。

店名江戸前 三松寿司
住所東京都台東区浅草1丁目6−5
営業時間17時00分~22時00分
曜日によってお昼営業もあり。公式SNSをご確認ください。
創業1958年