130年以上前、横浜で誕生した『キリンビール』。その歴史とブランドから、老舗の居酒屋でも多くの人々に愛飲され続けています。今回は、長年にわたりキリンビールを取り扱い続けてきた東京都内の老舗酒場をご紹介します。これらのお店はどれも素晴らしい名店です。キリンビールの関係者はもちろん、キリンビールのファンの皆さまにもぜひ一度訪れていただきたいと思います。
目次
1,神田『みますや』
東京で現存する最古の居酒屋と言われている『みますや』。創業はなんと明治38年で、120年近い歴史がある老舗です。現在の建物は関東大震災以降に建てられたもの。戦災も乗り越え、いまもノスタルジーたっぷりの店内でお酒が楽しめます。
店を守るのは3代目。品書きは大将の手書きで、そこから筆者が毎回注文する料理が、この煮穴子です。ビールや創業時から選ばれている「白鷹」が進みます。
老舗にふさわしいキリンの熱処理ビール「キリンクラシックラガー」ですが、『みますや』で飲むとより一層美味しく感じます。
住所 | 東京都千代田区神田司町2-15-2 |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 11:30〜13:30 17:00〜 定休日 日曜日 祝日 |
開業時期 | 1905年 |
2,月島『岸田屋』
中央区臨海地域で最古の居酒屋『岸田屋』。もんじゃのイメージがすっかり定着した月島の商店街にある名店です。
名物の牛にこみは、数多くの食通を唸らせてきました。牛の腸や胃袋を時間をかけて繰り返し茹でこぼしてクサミを消し、甘くて濃厚なコクがある味に煮上げた逸品です。
築地(現在は豊洲)のお隣という立地条件もあり、煮込みだけでなく魚介類を使った料理も手頃な価格で質のよいものが楽しめます。
住所 | 東京都中央区月島3-15-12 |
営業時間 | 16:00~21:00(日月定休) |
開業年 | 1966年から酒場(1900年に別業態として創業) |
3,神保町『兵六』
創業75年を迎えた神保町の名酒場『兵六(ひょうろく)』。酒場愛好家ならば、知らない人はいないほどの名声を誇る一軒です。しかしながら、店内は大将(3代目)が座れるほどのコの字カウンター1つとテーブル2卓というコンパクトな構造は、はじめての人は驚き、敷居が高く思えるかもしれません。
ですが、そこは本の街。出版業界や作家の常連さんたちは一見さんにも優しいです。気遣い上手な大将とベテランのお客さんたちが作り出す空気感をぜひ味わってみてください。
鹿児島出身の方が創業した店なので、薩摩焼酎が人気。キリンラガービールのつぎは焼酎がおすすめ。
住所 | 東京都千代田区神田神保町1-3 |
営業時間 | 営業時間 17:00~22:30 定休日 土日祝 |
開業時期 | 1948年 |
4,浜松町『秋田屋』
「秋田屋の生ビールはキリンラガーだから旨い!」そう語る居酒屋関係者は多いです。浜松町の秋田屋は、もつ焼きを看板料理にする大箱の酒場。4階建てのビルは酒場好きにとって東京タワーと並ぶ浜松町・大門のランドマークです。創業は麻布十番で1929年。終戦後の1946年に浜松町へ移転しました。
浜松町はそもそも酒場が少ないので、早い時間から飲むなら新橋へ行こうと思いがちですが、秋田屋は15時30分から暖簾が掲げられます。スタートダッシュにも最適なのです。
店は50席以上あるのに早い時間からテーブルは次々と埋まっていきます。芝浦の卸しから仕入れる鮮度バツグンの豚モツをつかったもつ焼きは、一度食べれば秋田屋の虜になること間違いなし。
住所 | 東京都港区浜松町2-1-2 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 15:30~21:30(L.O.21:00) [土] 15:30~20:30(L.O.20:00) 定休日 日曜日、祝日、第3土曜日 |
開業時期 | 1929年 |
5,千駄木『にしきや』
1952年創業の『にしきや』は、千駄木に住む居酒屋愛好家ならば、知らない人はいないと言われる名店です。親子で板場に立ち、素晴らしい包丁さばきで次々と料理を仕上げていきます。
こちらは旬の魚介類を提供してくれる大衆割烹として知られています。春はかつお、夏は鱧、冬はふぐ。それだけでなく煮込みやもつ焼き、唐揚げなどの居酒屋料理も充実しています。
日本酒の品揃えが豊富で、それでいて山手線の内側とは思えない良心価格。正統派の居酒屋です。
住所 | 東京都文京区千駄木3-34-7 |
営業時間 | 営業時間 17:30~23:00 定休日 日・祝日 |
開業時期 | 1952年 |
6,新宿『カブト』
新宿西口の小田急から大ガードにかけて広がる戦後のヤミ市由来の飲み屋街「新宿思い出横丁」。近年はチェーン店など新しい店が進出していますが、いまも戦後すぐに創業した店がいくつか残っています。中通りの中央に位置する鰻専門店『カブト』もひのひとつ。
鰻串の専門店といっても「うな重」や「白焼き」をだす店ではありません。カブトやエリ、ヒレ、キモなど、鰻のモツを串に刺して炭火で焼いたものを手頃な価格で食べさせてくれる酒場です。
カウンターだけの店で、目の前で4代目が焼いてくれます。鰻の焼き上がりを待ちながら、串を楽しみにしつつ飲むキリンクラシックラガー。今日一番テンションが上がる瞬間です。
住所 | 東京都新宿区西新宿1-2-11 思い出横丁 |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 13:00~20:00 定休日 日曜日 |
開業時期 | 1948年 |
7,武蔵小金井『大黒屋』
1955年創業の老舗もつ焼き店。武蔵小金井はここ20年で急速に再開発が進み、一軒家の老舗酒場も真新しいマンションの一階に収まるようになりました。
しかし、店内の雰囲気はこの通りです!立派な一枚板のテーブル、少し重たいけれど信頼できる丸椅子、提灯がニス塗りのカウンターを照らす飴色の空間。まさに老舗らしい風格を感じます。
看板料理はカシラやハツ、軟骨入り鳥つくねなどの串焼きですが、〆鯖やマグロ山かけなどもあります。常連さんに人気は「くさや」。ビールはもちろん樽酒が進みます。
住所 | 東京都小金井市本町5-17-20-101 1F |
営業時間 | 営業時間 17:00~22:00(閉店) 定休日 日曜・祝日 |
創業時期 | 1955年 |
8,西大島・南砂『山城屋酒場』
所狭しと貼られた短冊に目移りする店『山城屋酒場』。1897年(明治30年)に角打ちとして創業、現店舗は1953年開店。
江東区南砂にあり、どの駅からも15分以上歩く住宅街の酒場ながら、満席になることもある大変人気な酒場です。
SNSで話題になるような派手な料理があるわけではなく、どの料理もポピュラーですがしみじみ美味しい。ほとんどが300~400円台で、刺身、揚げ物、炒めものと一通り揃っています。なにより王道の酒場の心地よさが魅力です。
お手頃感のあるキリンラガー大瓶も良いですが、樽ごと冷やすレトロなサーバーから注ぐキンキンのキリン生ビールもオススメ!
店名 | 山城屋酒場 |
住所 | 東京都江東区南砂1-6-8 |
営業時間 | 営業時間 16:00~21:00(料理L.O.19:30 お酒L.O.20:00) 定休日 月曜日、日曜日 |
開業時期 | 1897年深川で創業 現在の店舗は1953年開店 |
9,町田『柿島屋』
町田を代表する老舗居酒屋の「柿島屋」。創業はなんと1884年(明治17年)と、キリンビールよりも歴史があります。馬肉料理の店で、桜鍋や馬刺しが看板料理なのですが、大変リーズナブルで、2,000~3,000円程度で利用できる、びっくりするほど良心価格の店です。
馬肉料理は安くても上質で、文句なしの美味しさ。メンチやチョリソー、ハムなどのおつまみ料理も馬肉を使用したものです。
安くて美味しい、そして雰囲気も良いとなれば人気が続くのは当たり前。
平日は16時の開店から次々とお客さんがやってきて、17時には大賑わいになります。それでも、100席以上ある大箱なので、混雑時も次々お客さんを受け入れてくれます。
住所 | 東京都町田市原町田6-19-9 アーバン柿島2 1F |
営業時間 | 営業時間 月・火・木・金 16:00~22:00(L.O.21:30) 土・日・祝 12:00~21:00(L.O.20:30) 5月3日は、定休日です。 日曜営業 定休日 水曜日 |
開業時期 | 1884年 |
10,八王子『多摩一』
檜原村出身の大将が1949年に開いた酒場。八王子で現存する最古の酒場で、老若男女さまざまなお客さんが愛用しています。家族で営む酒場ならではのアットホームな雰囲気。兄弟で営業していて、大将は接客、弟さんが厨房の担当です。世代を越えて通う常連さんも多いそうで、親子3世代で飲みに来る家族もいると聞きました。
奥多摩から切り出した杉の木でつくった店内は、地下なのに山荘で飲んでいるように思えてきます。料理は肉じゃがコロッケやまぐろブツなどが人気。
店名 | 多摩一 |
住所 | 東京都八王子市旭町7-10 |
営業時間 | 営業時間 16:30~23:00 定休日 日曜日・祝日 |
開業時期 | 1949年 |
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)