東尾久三丁目『鳥新』都電の電停前で40年。足立市場の魚と巨大つくね

東尾久三丁目『鳥新』都電の電停前で40年。足立市場の魚と巨大つくね

2022年1月19日

路面電車に乗って飲みに行きたい店、電車みちに面した老舗酒場『鳥新』をご紹介します。店を守る二代目は見習いから働き店を受け継いだ料理人。良心価格で盛りの良い料理が評判です。それを求めて地元のベテランさんたちがカウンターに揃います。

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界隈では珍しい、個人系の大箱酒場

外観

下町情緒の町並みを縫うようにトコトコと走る都電荒川線に揺られていると、車窓から気になる大衆酒場を発見。「こういうきっかけは大事にしたい」と訪ねた店が『鳥新』。老舗の居酒屋好きならば楽しめること間違い一軒です。

東尾久三丁目電停から目と鼻の先にあります。電停があるとはいえ、周囲は目立った飲食店街はなく、鳥新はぽつんと佇む存在。それでいて二階まである角地の大箱店舗です。赤い提灯の向こう、常連さんの後ろ姿に誘われるように店内へ。

内観

カウンターの向こう側、板場では大将とベテランのお姉さん、若いお手伝いのお兄さんが小気味よい手さばきで調理しつつ、ボトル焼酎を注いでいる常連さんとの会話が進んでいます。大将の前、カウンターの中央が特等席です。

後ろにはテーブル席が並び、ご夫婦、家族連れの姿での晩酌を楽しまれています。

いまは工場もない、閑静な住宅街の東尾久です。それでも二階には大きなお座敷が用意されていました。幼少の頃、こういう居酒屋二階の畳の上でごはんを食べるのが好きでした。いまはこういうゆとりがあるお店、少なくなりましたね。

地元の人々の集いの場になっているのがよくわかります。

先代が32年店を続け、二代目は今年で8年目。初代とは親子の関係ではなく、店を手伝ってきたことが認められ店を受け継ぐことになったそう。二代目になってから毎年新しい手ぬぐいをつくるらしく、毎年のものが店内に飾られています。

乾杯は瓶ビール「キリン一番搾り」で

樽生、瓶ともにビールは麒麟のみ。一回目の麦汁しか使わない美味しい生、キリン一番搾りで乾杯。

品書き

お酒

瓶ビール大瓶(キリン一番搾り):580円、生ビール(キリン一番搾り):520円、ハートランドビール:500円、日本酒2合:580円、酎ハイ:290円、レモンサワー:350円、金魚割り:320円、かっぱ割り:350円など。

黒板メニュー

魚介系はあじ刺しなめろう:580円、かつお刺し:680円、マグロ納豆:550円など。鳥新の店名通り鳥料理も豊富です。

定番料理

焼鳥は砂肝はつなどが2本200円と良心的。鶏皮焼(40本)は360円。酎ハイの値段も考えれば、一昔前の価格設定といったところ。本当にありがたいものです。

揚げたてのとんかつ:600円やかつ煮:650円もおすすめメニューのようです。

お通し、刺身、串までバシっと決まった美味しさ

突き出しは、油揚げの鶏そぼろあんかけ(150円)

突き出しからぬかりがない店はいい酒場。日替わりで、おひたしや胡麻和えなどもでますが、今日はほうれん草、油揚げなどの鶏そぼろあんかけです。

あじなめろう(580円)

ぷりっとしたハリのある鯵を手際よくおろして、味噌ととも包丁を細かく入れて出来上がり。葉っぱのかたちをした正統派のなめろうです。鮮度がよいので甘さがさわやかで、これは日本酒か、酎ハイ系は緑茶割りでちびちびとつまみたくなります。

緑茶ハイ(350円)

抹茶ハイ(320円)もあって緑茶ハイがあるのが不思議。私はこの色が濃い熊本産の玉露のお茶で割ったお茶ハイが好物なので、あえて緑茶ハイをチョイスしました。昔からかわらないこの味がほっとします。

ジャンボつくね(380円)

鳥新の昔からの名物料理、ジャンボつくね。初代が界隈のどこよりも大きいつくねをつくろう、というような狙いで作ったそう。二代目が食べやすいミニつくね2本(300円)も用意していますが、ここはやはり看板メニューを。

焼鳥台の火だけでは中まで熱が通らないことや、重たくてカタチが維持しずらいなどの理由もあるそうで、注文をうけると一度鶏つくねは素揚げされます。それを改めて串に打ちタレにつけて焼くという手間をかけた一品。

表面のパリっとした食感と、中から滲み出る肉汁、濃い甘口のタレとのバランスが実にいいです。

クラフトビール・タップマルシェ

キリンのタップマルシェ(少量クラフトビールサーバー)が導入されていて、売り切りで銘柄がつぎつぎとかわっていきます。今日の銘柄は専用のメニューで確認できます。

ちょうど入れ替わりのタイミングで、SPRING VALLEY 豊潤<496>からアフターダークに入れ替わりました。〆に上質の黒というのもいいですね。

ここのタップマルシェ、他店と比較するとかなり安く、まるでスタンダードな生ビールかと思うようなお値段です。日本酒派の人もぜひ一杯試してみてはいかがでしょう。

黒帯ノンベエの常連さんたちが楽しく過ごし、大将の人柄もあわさってとても雰囲気がいいです。まるで昭和の松竹映画のワンシーンに入り込んだ気分。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名鳥新
住所東京都荒川区東尾久3-8-22
営業時間営業時間
17:00~(L.O.22:00)
日曜営業
定休日
月曜日
開業年1980年