オホーツク総合振興局所在地、知床や網走国定公園といった北海道の大自然に囲まれた網走にやってきました。流氷の街、そして監獄で知られる地ですが、地域の拠点となる街だけあって、実は飲み屋街も多く、その大自然から届く豊富な海・山の幸を楽しめる魅力的な酒場が暖簾を掲げています。
今回は、そんな網走を取材で飲み歩いたあと、最後の〆として立ち寄った「お好み焼 八点鐘」をご紹介いたします。地元のお父さんおすすめの一軒です。
網走へは、旭川駅からJR石北本線の特急大雪で3時間50分の旅。中間に北見市があるとはいえ、北海道の広さを感じる乗車時間です。
オホーツクの玄関・網走駅は、街の中心から離れた網走川と山際に挟まれた場所にあり、駅前にはビジネスホテルが立ち並ぶ程度。繁華街まではここからタクシーでワンメーターの距離です。流氷とクリオネの電話ボックスがかわいい。
街の中心街は南3条西のあたり。さらにそこから少し歩けば、そこはもうオホーツク海です。
海鮮酒場や焼鳥店、そして居酒屋とスナックの間の子が立ち並ぶ南3条西。何軒か酒場を覗いた後、〆に立ち寄ったのがここ「お好み焼 八点鐘」です。八点鐘は甲板で鳴らす鐘のこと。その名のとおり波止場の酒場といった店構えです。お客さんにはロシア人の姿も。
お店を紹介してくれたのは、前の店のカウンターで飲んでいた地元のご隠居さん。「まだお腹に余裕があれば、〆は海鮮お好み焼きがオススメ!」と。言われてみれば、小麦もキャベツも具材も、すべて北海道が産地ですね。
店内もどこか大型漁船の食堂のよう。ロシア人がコーラを飲み、地元のお兄さんたちはサッカーに夢中で、異国の酒場にも思えてきます。
マスターが店をひらいて、幾十年。界隈では知らない人はいない有名店のようです。営業時間は25時までと長く、昼夜ずれた仕事をしている人たちで、深夜帯も賑わっています。
北海道はサッポロビール。生ビール(550円)は北海道限定のサッポロクラシックがやってきました。それでは乾杯!
芋焼酎(450円)や黒糖焼酎(550円~)がオホーツクの街にあるのは不思議で聞いてみると、最近飲む人が多いのだそう。チューハイはサッポロ氷彩サワー、カクテルはワンコインでウォッカトニックなど。お好み焼き目的ではなく、軽くパブ的な利用もあるそうです。
お好み焼き(750円~)は広島、練り込み、ピザ風と3種類の焼き方を用意しています。ピザ風はパブ利用にぴったり。
長崎県雲仙市と交流がある網走は、ただいま長崎テイストを取り入れたご当地メニュー「網走焼きちゃんぽん」を取組中。
せっかくの網走なので、地元食材のツブやホッキ、ホタテのバター焼きで一献といきましょう。
ホタテバター鉄板焼(780円)。女将さん厨房からもってきたホタテを、マスターが慣れた手付きでちゃちゃっと調理。軽く表面に色を付ける程度で出来上がり。
バターたっぷり、噛めば甘く深みのある磯の香り。そこにサッポロクラシックをきゅっと追いかければ、もう幸せいっぱい。
マスターの物腰やわらかな人柄と、重厚で落ち着いた雰囲気の内装に、ここでじっくり飲もうという気分に。深夜だけど…、お好み焼き、いっちゃおう!
お好み焼きのお供に、チューハイを。ホワイトブランデーベースでほんのり甘い氷彩。度数は8%と結構高めです。京都ではお好み焼きに「バクダン」を合わせますが、氷彩もそれに近いソースとの相性の良さがあります。
焼きそばが入ったモダン焼き。鉄板に面したカウンター席なので、マスターの調理風景もお酒の肴になります。
エビ、イカ、ホタテをゴロゴロと入れた豪華な一枚、スペシャルモダン焼き(1,300円)。
粉は少なく細かくみじん切りにした野菜をベースにし、そこに海鮮がどっさり入ります。ソースはおたふくを使っています。
かつての繁栄の残り香が漂う繁華街で、こうして深夜に美味しい店を見つける。こんな過ごし方も旅の醍醐味です。
さて、最後にもう一軒、バーを覗いてみましょうか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
お好み焼 八点鐘
0152-43-1146
北海道網走市南3条西1丁目
17:00~25:00(日定休)
予算2,000円