海と里と山の幸が溢れる宮崎県日南。東京からのアクセスは実は容易で、宮崎空港からJRで簡単に行ける場所。それでいて、あまり開発がされていなく、どことなく秘境感がある今や貴重なニッポンの田舎です。
宮崎空港にはJRが直接乗り入れているので、電車に乗って一度宮崎駅へ。そこから日南線の特急「海幸山幸」号に揺られること1時間で飫肥藩の中心、飫肥駅です。
山のほとんどは植林によってつくられた杉山で、江戸時代から林業が盛んな地域です。そして、なんといっても私たちノンベエが愛してやまない麦焼酎の生産地でもあります。そして、東京ではあまり知られていませんが、宮崎・日南は近海かつおの漁獲量ナンバーワン。まさに、海・里・山の幸がいっぱいの玉手箱です。
飫肥藩の城下町、飫肥の市内。城跡を中心に、情緒ある城下町の光景が広がります。街中を酒谷川が横切っているのですが、河川の名称までがいい感じ。
120年前に建てられた薬問屋「小玉邸」を改装した建物、今日はここ「ギャラリーこだま」で、かつおと焼酎で火照っちゃおうとやってきました。日南では10店舗ほどが「かつお炙り重」を提供していて、かつおで地域振興をしています。
ギャラリーこだまという店名ですが、味わいのある飲食店です。もともと食堂として営業していた歴史あるお店が、代替わりをしてオシャレになったというもの。午前10時から18時まで通しで営業しています。この界隈は飲み屋がなくて夜が早いのが残念ですが、観光の合間にほろ酔いになるには丁度いい。
看板料理のかつお炙り重のほか、魚のすり身と山芋でつくる郷土の料理、魚うどんなる食べ物も気になります。うどんとかまぼこの間の子…どんな味かな。
ソフトドリンクだけでなく、もちろんアルコールもばっちり。漬けのかつおを前にして、焼酎を飲まずにいられますか(笑)
飫肥杉、松の露、かね京から選べます。ビールは生がキリン一番搾りで、瓶でアサヒを置いています。うーん、最初から焼酎がいいかな。ということで、飫肥杉で乾杯。
醤油とごま、二種類で味付けされたかつおは、最初はそのまま肴として摘んで、途中から一緒についてくる火鉢で炙って食べます。炙りかつおはこの界隈の定番の食べ方だそうですが、高知の藁焼きと違い、炭火でじっくり火をいれるのが特長です。
脂がにじみ出て柔らかくなり、口の中でとろっとなるのが新感覚。
ここに、きっゅと飫肥杉のロックを合わせていく。外はまだ明るい。炙りかつおの火と焼酎の酔いで顔がぽかぽかいい気分。このまま、ここでお昼寝したいなー。あ、寝ませんよ。もう一杯、お代わりください。
南九州産の「かつお節」をつかったこの界隈の郷土調味料、かつお醤油。独特の甘さと旨味があり、そのままご飯にかければいい味になります。かつおを肴に一献のあとは、お昼ごはんとしてちょっとだけお米を。
派手さはないけれど、じんわりと美味しく、なにより旅情を感じるひとときです。お店のベテランお姉さんたちの、親しみある温かい会話も、お酒を美味しくする素敵な要素。
え、隣に焼酎の酒造場があるの?では早速見学に行かなくては。…そっちが主目的で来ているのですけどね(笑)
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/宮崎県日南市)
ギャラリーこだま
0987-25-0602
宮崎県日南市飫肥8-1-1
10:00~18:00(不定休)
予算2,000円