新宿『番番』昭和51年創業、いまや新宿の酒場史に残る銘店。オススメはつくね

新宿『番番』昭和51年創業、いまや新宿の酒場史に残る銘店。オススメはつくね

2016年7月29日
DSC02346

本日は新宿の番番へ。古くから当サイトをご覧頂いている皆さんにはお馴染みの、筆者・塩見なゆが学生時代からの行きつけ酒場です。新宿で大衆・老舗・コの字カウンターなど銘店の要素がすべて詰まった貴重なお店です。場所は歌舞伎町の入り口、おなじみの新宿ディープエリアの玄関に位置しています。靖国通りから入ってすぐの場所なので、この界隈に慣れていない人でも入りやすい。

建物の地階に降りていく階段、大提灯がついていれば営業中です。

会社員時代には、毎晩のように番番で酎ハイとつくねを飲んで、常連さんや店員さんたちと語り合ったものです。あの頃は、まだせんべろという言葉もそこまで広まっていなく、新宿の隠れた名店という感じでしたが、いまや口コミ効果で大人気。紹介し続けてきた私にも責任がありますが、おかげさまで行列で入れないことも多々。ご繁盛なにより、これからも長く愛されていきそうですね。30年後、おばあちゃんになっても、「ここは変わらないねぇ」なんて言いながら、カウンターでつくねで飲みたいですから。

DSC02358

値段は消費税の変更以外ではずっと昔のまま。酎ハイは250円、日本酒は定番酒が栄の井で250円とこれまた歌舞伎町最安といえる値段です。ビールは生がアサヒで、瓶がキリンラガーというのが私が生まれた頃から変わらずの顔ぶれ。よく父と父娘でキリンラガーを注ぎあったものです。

DSC02351

そんな番番になんと2016年、赤星が入りました。新宿で飲むサッポロビールファンは、大衆系で飲む選択肢に番番が入ったことは大変喜ばしきことではないでしょうか。番番からのベルク、若月、池林房・浪漫房系列、最後は清龍歌舞伎町店なんていうルートが鉄板かな。

キリンラガーももちろん変わらず続けると話す。この夏、100年以上続く日本のビール、二大ラガーを飲み比べるならば番番で間違いない。

サービスのお通し小皿をもらって、赤星導入祝いに一本もらって、では乾杯!

DSC02354

おつまみは300円前後とリーズナブル。今の季節限定の細さが自慢のもずくは、売り切れていなければぜひとも食べて欲しい一皿です。くいっと酢のもを摘んで、左手にビヤタン、右手に瓶ビール。カコッと音を立てて、ととととっと注いですぐに口へ運ぶ。夏のごくありふれた日常の幸せがここに。

DSC02357

やきとりは1本100円。これも昔から変わらない値段。今は営業中にカウンターに立つことはなくなったが、今も仕込みは社長が率先しておこなっています。昭和51年、脱サラしてはじめた番番も、いまや新宿の景色になくてはならない一軒です。今年で40年になります。

DSC02360

学生時代、研究室の友人を連れて飲みに来たこの椅子。社会人になって、中央線方面に帰る上司を私から誘って飲みに来たこのカウンター。父の出版記念会で清龍で飲んだ帰り、父娘で反省会として飲んで、お互いにべろべろになった思い出もあります。

DSC02361

酒場は教室だなんて言いますが、まさに番番はそう。新宿をベースとして飲み歩いていた私は、ここで飲みのイロハを学んだと言ってもいいかもしれません。

DSC02363

番番の店員さんはみんな顔なじみ。昔は炭酸が入らないくらいメタメタに甲類焼酎を入れてもらう、最強酎ハイを作ってもらっていました。甲類は明利酒類という茨城の酒造のもので、ジョッキいっぱいの「スーパーめいり」でメートルを揚げていたものです。いまはおとなしく青りんごハイなんていうものに手を出しています。

DSC02366

番番名物のその名も「番番やっこ」。ぴりりと辛くお酒が進む、和製・マーボー冷やし豆腐です。

DSC02369

ニラが練りこまれたつくねは、ホワホワとした食感でときどきコリっというナンコツにあたって、これが好き。タレもいいけれど、カラシをつけて食べる塩も好物です。さすがに青りんごハイから、度数強めのレモンハイに戻して、今宵はゆったり新宿の夜を楽しもうと思います。

DSC02359

日本最大の歓楽街「新宿」。ギラギラとしたネオンやありとあらゆる誘惑が交差していますが、やはり一番はこういう酒場なのではないでしょうか。実は、久しぶりの番番でしたが、みんな覚えてくれていてなんだか照れちゃいます。日本全国飲み歩いているみたいだけど、番番にもちゃんと顔出してねって言われて、苦笑い。私の大好きな”棲家”です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

番番
03-3200-9354
東京都新宿区歌舞伎町1-16-12 梅谷ビル B1F
17:00~23:45(無休)
予算1,800円