新橋にはあらゆるジャンルの飲食店があり、それぞれが個性を武器にしのぎを削っています。競争が激しいですが、だからこそ他の街にはできない素晴らしいお店が次々と登場しています。特に昨今多いのは、立ち飲みに特長をもたせたコンセプト系。
テーマ居酒屋というと誤解をあたえてしまいそうですが、小手先だけの「○○風」はそろそろおしまい。いまのコンセプト系はとにかく本気度が違います。新橋はそんな本気にコンセプトを尖らせた新進気鋭多数。さぁ、ますます楽しくなってきた!
他の街ではなく、新橋だからこそ巡りたいそんな尖ったコンセプトを持つ酒場から、今回ご紹介するのは2016年4月7日にオープンした立ち飲みのビストロ、「あっけし」です。
名前からピンときた方がいらっしゃるでしょう、あっけしとは、北海道で牡蠣の産地としてしられる厚岸町から。北海道の、しかも厚岸町にフォーカスした立ち飲みビストロなのです。さぁ、気になってきますよね、入ってみましょう。
18時まではグラスワインと牡蠣、もしくはラムチョップがついて500円。チャージはありませんので、最安は500円利用ということ。お試し価格で飛び込んでみる?
ハッピーアワーのワインはお店指定のものになりますが、スパークリングワインはいつでも選べるのだそう。牡蠣を食べるのだから、まずは泡でスタートしましょう!
結構たっぷりはいったフルートグラスに思わずにやり。まだお外は明るい、そう、ここはなんと年中15時から飲めるちょっとした昼酒スポットです。
では乾杯!
4名で訪問しましたので、牡蠣は4つ。牡蠣の産地、厚岸を店名に冠しているだけあり、さすがの上モノです。
大きくて肉厚、磯の風味がふわっと広がり、余韻の濃厚さがたまりません。レモンもポン酢も不要、そのまま食べるのが一番美味しいと思います。500円でスパークリングワインと生牡蠣、こんなに手に届く場所に贅沢なものがあったとは。新橋ってすごい。
こちらが通常のワインリスト。赤、白とそれぞれ別のページになるほどのラインナップ。立ち飲みとしてはこの充実はなかなかのもの。グラス490円から、ボトルは2,800円から。気になる銘柄がいろいろあります。あとでボトルワインとっちゃう?
こちらがお店の看板料理。ハッピーアワーの二択同様、こちらはやはり牡蠣とラムチョップを必食するべきお店です。生牡蠣はハッピーアワー以外でも1個290円というのは破格。いつでも食べられるの?という質問をしようとした私をみて、すかさず店長が「年中、いつでも美味しい牡蠣をご用意しています」とのこと。
オーナーが厚岸のご出身だそうで、牡蠣への想いと、なによりよい流通を確保されているということでしょう。ほら、コンセプト系も尖らせ磨くとこんなに素晴らしい。
ラムは味違いが4種類。セットもあるのであれこれ食べたいときはこっちがお得。
こちらは前菜いろいろ。カルパッチョにアヒージョ、オイルサーディンも気になります。ズワイガニのクリームリゾットを食べて夕飯を兼ねたチョイ飲みなんていいかもしれません。
ドリンクメニューはといいますと、スパークリングワインはポールスター(樽詰めのソーヴィニヨン・ブラン種)とそれを苺やオレンジをいれたスパークリングカクテルが気になります。ビールが左上でないあたり、新橋の立ち飲みも傾向に変化か。それでも、エーデルピルスときましたか、それは素晴らしい!
ワイングラスの脚がビヤタンになったような独特な形状のグラスで登場、エーデルピルス。みてください、この美しいフォルム。泡を作っては荒い部分を捨て、また入れての繰り返しでうまれるシルクのようなプルプルの泡の層。
ワイングラスのような形状は通常のサッポロエーデルピルスの公式グラスでは感じられないかなり濃密なホップ香があり、エーデルピルスの魅力をいまさらながら再発見させられました。
ビールにはラムチョップがいいですね!4種類盛り合わせをいただきました。プレーンなラムチョップはゲランド塩を使っているそうです。ゲランドとはフランス語で白い土地の意味。ブルターニュ半島に広がる塩田でつくられる海塩です。
ラムそのものに臭みやクセがなく、柔らかいこともあってとてもマイルドに感じます。そこに海塩ならではの旨味が入ることでアクセントのきいたものになり、これはイイ!
スモーキーマスタードソース、コリアンダージェノベーゼソース、ローズマリーバターソース、いろいろなソースも試してみたい。
軽く看板商品を食べて次へ梯子を…と思っていましたが、牡蠣もラムチョップも立ち飲みのそれの質を大きく上回っていたので計画変更。ワイン飲んじゃおう。ラムはニュージーランドの仔羊とのことで、ワインも産地を合わせるという楽しみ方で、同じニュージーランド産のピノノワール「MATUA」(マトゥア)を。ストロベリーの香りが色々な表情でみせてくれるずっと飲んでいたい銘柄。
珍しい水色が美しいエチケット。MATUAとはマオリ語(ニュージーランドのマオリ族の言葉)で総本家を意味するのだそうで、マトゥアの創業者がニュージーランドに初めてソーヴィニヨン・ブランを植えたのが始まり。
昨今はシャルキュトリー(フランス語で加工肉)という言葉が定着してきましたが、ピノにあわせるものとして仔羊の生ハムを。ラムの生ハムを初めて食べましたが、複雑な味わい、臭みではなく、初めて感じる深い旨味があります。
豚の生ハムももらい、ワインが進みます。4人だからあっという間かな?
オリーブふぁさー、鷹の爪でピリっとしめた冷製、ブロッコリーのペペロンチーノ。
そして最後にカキフライを。大きくまるくるぷりっとした牡蠣。まさに海のミルク、噛むと口の中いっぱいにクリーミーな味が容赦なく流れてきます。カキフライにすると小さくなるはずなのに、まだこんなに大きいということはどんな巨大な牡蠣なんでしょう。
締めに大牡蠣フライ、生牡蠣より高級で1個390円ですが、カキフライ好きの方には絶対おすすめです。
最後にあらためてエーデルピルスで乾杯。
さくっと30分飲んでいくつもりが、料理が良くてすっかり長居してしまいました。独特なグラスで飲むエーデルピルスも普段と違った風味が楽しいし、ワインのラインナップも気が利いている感じ。
少し仲良くなってきたお酒好きのカップルがデートで使うなんていうのいいかも。女性のお酒好きならばなんの迷いもなく馴染めると思いますし、店員さんがきっちりとした対応とお話をされるので、男性の牡蠣やラム好き、あとはマニアックなところでエーデルピルスファンにも軽く立ち寄ってみてもらいたいお店です。
新橋、変わったね。ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)
BISTROあっけし 新橋店
03-6809-2390
東京都港区新橋3-22-2 RISE新橋 1F
15:00~23:00(無休)
予算2,500円