「幸楽」は東口で昔から暖簾を掲げている老舗の一軒。なんと朝11時から営業しています。ここがあることでどれだけの人がお昼を楽しく過ごせたことでしょう。私もその一人。
お店は結構な大箱で、一直線のカウンターがお一人様用。テーブル席は常連さんたちが約束もなく集まってきて、いつのまにか盛り上がっている集会スペースになっています。奥ではアパレル関係のような雰囲気の女性3人組が真っ昼間からジョッキビールを飲んでいます。いいなぁ、この雰囲気が大好き。
さて、瓶ビールと本日のおすすめお刺身にあったあじタタキをもらって、では乾杯!瓶ビールはキリンクラシックラガー。いまどき大びんで480円というのは素晴らしい。お通しはありません。
あじタタキ(500円)をつまみながら始まりました、本日のお昼ごはんを兼ねた昼酒タイム。開け広げた扉の向こうは夏の日差し。その先を日傘をさして通り過ぎる女性やP箱を台車に乗せて配達中の酒販店の人、スーツ姿でこれから取引先に挨拶にいく雰囲気の人、様々な通行人がみえますが、こちらは別世界。まるで見えない結界がはられているかのようにこちらは穏やかな時間が流れています。
カウンターからは厨房でもくもくと料理を仕上げる板前さんがよく見えます。こういうところの良さは、誰かが頼んだおつまみを眺めて、「あー、あれ美味しそう」と心のなかでつぶやくこと。私ももらおう。「お姉さん、焼鳥4本タレでお願いします」。
幸楽はどの料理が名物とか、オススメとか、そういうのは特にありません。ただなんとなく摘んでいると、気づいたら結構これいいかも?と思うくらい。お店の雰囲気、店員さんの近すぎない接客、箱が大きいことによる空間的余裕、それが絶妙に混ざり合って幸楽の良さがあるのだと思います。
入り口にも看板が出ていた合同酒精の甲類をベースにした幸楽ボール(300円)。下町の老舗酒場といえばどこにもオリジナルのハイボールはあるもので、もちろんウィハイではなく甲類の焼酎ハイボールです。
度数強め、氷少なめ、それなのに結構冷えていてスライスレモンが1枚。やっぱりこれですよね、周囲のお客さんもビールかボールしか飲んでいません。お目当ての一杯はボールにあり。
300円のハムかつは初めてオーダーしましたが、結構分厚くてびっくり。もっとペラペラのハムでもいいやと思っていただけに。ハムの厚さだけでプチハッピーになれるのだから、酒場には小さな幸せがあふれていますね(笑)
付け合せのキャベツとかいわれ大根にはドレッシングがかかっているのも嬉しいです。
明るい時間からやっているお店は、やはり日中に飲みに行くのが一番。夜の賑いとはまた違った独特なムードが漂います。お店の人もフルパワーじゃないからこその雑談がありますし、麦焼酎をキープしているおじさんたちが顔を赤くして飲んでいる様子を遠目で見るのもなんだか楽しいです。
お昼からやっている貴重な一軒で昼からボールはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 大衆酒蔵 幸楽 |
住所 | 東京都足立区千住2-62 |
営業時間 | 営業時間 【月〜木】11:00〜22:00 【金・土】11:00〜22:30 定休日 日曜 |
開業時期 | 1968年 |