新橋駅から徒歩5分の『鳥かど家』は、大正元年から続く鰻と鳥料理の名店。東京鰻蒲焼商組合にも加盟する本格派でありながら、都心とは思えないほど手頃な価格で国産鰻を提供しています。注文を受けてから蒸し始める丁寧な仕事ぶりは老舗ならでは。今回は、百年続いてきた大衆鰻の安くて美味しい絶品うな重をご紹介します。
お店の信条は、作り置きを一切しないこと

新橋駅から赤レンガ通りを愛宕警察署方面へ徒歩5分。飲み屋街を抜け、新虎通りを渡ると落ち着いたオフィス街です。今回目指すお店は、この地で100年以上商売を続けてきた『鳥かど家』はあります。創業は大正元年(1912年)。
屋号に「鳥」と付く通り、元々は鳥料理店としてスタートし、二代目から鰻も扱うようになったとのこと。現在も初代の技を受け継ぐ鳥料理と、厳選された国産鰻の二枚看板で親しまれています。現店主さんで四代目だそうです。ちなみに、店主さんは鈴木さんで、店が入るビルも「スズキビル」。

店内はテーブル席と、奥には座敷個室があり、少人数での食事から宴会まで幅広く対応しています。広くゆったりとしたつくりで、金魚が泳ぐ水槽が並ぶ店内は、老舗らしい堂々とした雰囲気。静かな時間が流れていて、ここが新橋だということを忘れさせてくれます。

やってくるお客さんも近所の企業で長年勤めてきたようなベテランの方が中心で、席が埋まっても騒がしくはなりません。大衆店ではあるものの、都心の老舗らしい店・客が一帯となって作ってきたムードが空間を支配しています。
九州や愛知三河など国内産の鰻を使用。毎朝鰻問屋から活魚で仕入れているとのこと。都市部の鰻屋さんは次々お客さんがくるので、あらかじめ蒸していることが多いですが、こちらは違います。

注文が入ってから蒸し始める時間はかかりますが、その分、美味しさは格別。鰻のタレは創業より百年以上受け継がれてきた秘伝の味。愛知県産の相生味醂を使用し、甘味と辛味のバランスが絶妙です。
お昼は11時から14時すぎまで営業しており、比較的ゆるやかな時間設定も嬉しい。昼下がりに鰻をつまみに飲みたい人にもオススメです。
国産鰻と秘伝のタレ、職人技が光るうな重
ということで、お昼から飲みたい私は、11時の開店にあわせてやってきました。一番客です。

席につき、まずはヱビスビール(中瓶:900円)を注文。ビアタンも冷えているのが素敵。今日は暑いから、しばらくすると瓶にも雫が付き始めてきました。それだけこのヱビス、キンキンなんです。
しっかり冷えたビールで喉を潤し、準備完了。

夜は居酒屋使いする人が多い店なので、一品料理もこの通り充実。鰻生姜風味で煮た「鰻の汽車ポッポ」(850円)や名物の「鳥焼き」(1700円)なども気になります。

今回の目的は、何と言っても「うな重」です。ここの鰻は都内の平均価格よりも一回り、港区であれば半額近いと言えるほど手頃です。注文したのは、松竹梅の一番上、「松」(4200円)。きも吸、新香付きです。

飲んでいると、いよいよ「うな重 松」が登場。

蓋を開けると、大きくて肉厚な鰻の蒲焼きが、なんと半分程度重なった状態で提供されました。

ご飯を控えめにしてもらったこともあり、鰻のボリュームが際立ちます。

背開きで蒸し焼きにする、丁寧な焼き方。

箸をすっと入れると、皮はトロトロ、身はフカフカ、表面はパリパリと香ばしい仕上がりです。

クドさはなく、上品な旨味が凝縮されています。

鰻のタレはかなり辛めで、砂糖のような甘味はほとんど感じられません。都内の老舗鰻店の中でも、特に甘さを控えているタイプ。それでも、醤油やみりんの質が良いのでしょう。しみじみと美味しく、たっぷりとした鰻を最後まで飽きずに食べられます。

たまに言われる「鰻はタレを楽しむ」とは別もの、白焼きでなくとも、鰻本来の美味しさを十二分に引き出した味付けです。
箸休めのお新香には、老舗の定番である奈良漬が入っており、良いアクセントになります。

上品な出汁の肝吸いは、肝が大きくみずみずしく、100年続く伝統の技を感じさせられました。
新橋で鰻・鳥料理・老舗を愉しむなら外せない一軒

新橋は飲みに行く場所が多く、なかなか愛宕側までたどり着かないかもしれません。しかし、鰻好き、焼鳥好き、そして老舗の雰囲気が好きな方は、足を運ぶ価値が十分にあります。近年はこうした家族経営の大衆的な店が、再開発や世代交代で次々と暖簾を畳んでいます。『鳥かど家』さんには、これからもずっと続いてほしい!
歴史・人情・味の良さが揃った大衆的な鰻屋さん、太鼓判です。
店舗詳細


| 店名 | 鳥かど家 |
| 住所 | 東京都港区新橋4丁目27−9 |
| 営業時間 | 11時00分~14時00分 17時00分~20時00分 土日定休 |
| 創業 | 1912年 |
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