横浜の中心地、関内駅前で明治5年から暖簾を掲げる『割烹蒲焼 わかな』は、横浜を代表する鰻屋さんのひとつ。名物の「うな丼」は、代々受け継がれてきたこだわりの逸品。今回は着物姿の仲居さんによる親しみやすい接客と、甘さを抑えた大人の味わいの鰻蒲焼きが魅力の老舗で、うな丼をつまみにお昼から飲んできました。
目次
明治から横浜を見守る、関内駅前の老舗うなぎ店

JR関内駅から徒歩1分の場所にある大きな店舗が見えてきます。
ここが1872年(明治5年)、日本初の鉄道が新橋・横浜間に開通した年に開業した『割烹蒲焼 わかな』。いまも根岸線の横で、陸蒸気時代から続く鉄道の流れを見守っています。

元々は江戸時代から続く銘菓「亀の子煎餅・若菜屋」の長男であった初代・橋本吉蔵が、うなぎ職人を助けた縁で開業したという歴史あるお店。

150年を超える老舗ですが、さすがに現在はビルになっています。ビルの名前も「わかなビル」。立派な入口ですが、店舗は空中階。

2階は、気軽に立ち寄れる食堂風の大きな空間にテーブルがずらりと並んでいます。壁面には、速水史朗氏による瓦の彫刻が飾られ、現代的でありながら和の風情漂う空間。
老舗のホテルのロビーのような落ち着きが感じられます。3階には著名な日本画家の掛軸が並ぶ座敷席も用意。

客層は幅広く、親子三代で通う地元の常連客も足を運ぶそうです。慶弔の集いから、ふらりと立ち寄る一人飲みまで、多様な場面で重宝する老舗ならではの魅力。港町横浜の中心部における食のニーズに答えてきた名門なんです。

今回は、ひとり昼飲みにやってきました。店内を見渡すと、常連客は名物の「うな丼」を頼む傾向にあるようですが、私の目当てもうな丼。ごはんを少なめにすれば、立派なお酒のおつまみです。
横浜うまれのキリンラガーとうな丼が織りなす至福のひととき
まずは冷えた瓶ビールで喉を潤す

着席後、まずはキリンラガービールの中瓶(800円)を注文。

よく冷えたグラスへ注ぎ、喉の渇きを癒やします。香の物をつまみながらメインの到着を待つ時間は、大人ならではの贅沢なひととき。

鰻は作り置きなどはしていないものの、注文から20分程度と比較的早く運ばれてきます。長年のご商売から季節や時間、天候などで来店客数がある程度予想できるので、それにあわせて調理しているそうです。ご飯の炊き上がりとうなぎの焼き上がりも連動しているそう。さすがは老舗の名店!
甘さ控えめ、老舗の矜持が詰まったうな丼

ほどなくして、蓋付きの美しい器に入ったうな丼(4,200円)と、きも吸(500円)が運ばれてきました。

蓋を開けると、備長炭で焼き上げられた芳醇な香りが立ち上ります。

三河産などの質の良いうなぎを使用し、長めに蒸すことで箸でスッと切れる柔らかさに仕上げているそうです。

一口味わうと、タレの甘さがかなり控えめに作られていることに驚かされます。
さっぱりとした醤油ベースの味わいが、うなぎ本来の旨みを見事に引き立てて絶品。
熱々のご飯とうなぎの絶妙なバランス

どんぶりには、少し硬めに炊かれた熱々のご飯がたっぷりと敷き詰められています。今回、ごはん少なめで注文しましたが、それでも結構盛られていますね。
継ぎ足し守られてきた秘伝のタレが適度に染み込み、炊き込みご飯のようにまんべんなく飴色に染まっています。鰻の脂も染みていて、ふっくらとしたうなぎとの相性は抜群。

卓上に用意された鮮やかな山椒を振りかけると、ピリッとした辛味が爽やかなアクセントを加えます。

横浜の歴史と共に味わう名店の味

明治の開化期から現代まで、横浜の変遷を見守りながら「うまい味」を追求し続けてきた『わかな』。良質な素材選びから、徹底した温度管理、そして空間づくりに至るまで、細部に宿るこだわりに感心します。
格式の高さをあえて感じさせない、仲居さんたちの明るい接客も魅力の一つ。関内を訪れた際は、老舗の暖簾をくぐり、歴史が育んだ極上のうな丼を味わってみてはいかがでしょう。
店舗詳細


| 店名 | 割烹蒲焼 わかな |
| 住所 | 神奈川県横浜市中区港町5丁目20 |
| 営業時間 | 11時00分~21時00分 水定休 |
| 創業 | 1872年 |
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