東京の一等地にあるレトロビル「東京交通会館」の地下にひっそりと佇む『ひろしまや』を訪ねます。メニューは存在せず、品揃えは賀茂鶴樽酒と気の利いたおつまみのみ。白木のカウンターだけの小さな空間は、上品な雰囲気ではあるものの、ヤミ市由来のの飲み屋を感じさせる距離感が心地いい。樽の香りに包まれながら静かに賀茂鶴をいただきましょう。
すし屋横丁時代から続く、昭和の面影を残す小箱

東京交通会館が開業した1965年より前、戦後すぐの創業。この場所にあった横丁時代から80年近く続く老舗です。
祖母(現店主さんからみて)の代から始まり、母、そして現在は3代目の息子さんが暖簾を守り続けています。屋号は初代が広島県出身であったことに由来するそうです。

昭和の東京五輪にあわせて建てられた再開発ビルらしい、細い路地に面した店舗に入ると、無垢一枚板(檜材)カウンターが目を引きます。席数はわずか6席ほどの小さな造り。

お酒は初代の故郷の酒、賀茂鶴の樽酒のみ。つまみもお決まりのみ。料理を楽しむというより、一期一会のお酒好きたちで樽酒を囲む趣味の場所といった印象です。例えるならば、新宿ゴールデン街を銀座のお隣に合わせて上品にしたような印象。でも、どこか横丁時代のムードは残っている気がして、これが実に楽しい。
常連客や店主とぽつらぽつらと言葉を交わす、心地よい交流が生まれています。取材時はお隣が外国人グループ。普段はワイン派だけれど日本に来て樽酒にハマったのだそう。
升で味わう、清く正しく美しい賀茂鶴の樽酒

飲み物は、広島が誇る酒蔵「賀茂鶴」の樽酒一択です。
江戸時代から続く酒問屋の街、新川から仕入れているこだわりの一杯。蔵から直送される二斗の菰樽から、年季の入った塗りの一升枡へ移し、客の目の前で真新しい白木のヒノキ升へと注がれます。

冷やさず燗もつけない、シンプルな常温提供。正しい意味で言う「冷」ですね。
一口含むと、樽の豊かな香りが鼻を抜け、まろやかな旨味が口いっぱいに広がります。

料理はお通しとして提供される、簡単なおつまみ盛り付けのみです。この日は、紅白かまぼこ、クラゲの和え物、山海漬。焼き魚なども余裕があれば提供するそうですが、樽酒が目的で来るお客さんばかりですから、これで十分なのです。
升の角に口を当てて酒を味わい、おつまみをちびりとつまむ。無駄を削ぎ落とした純粋な飲酒体験が待っています。
有楽町の地下で受け継がれる本物の酒場文化
東京交通会館の地下にお店を構える最高の立地で、本格的な樽酒だけをじっくり味わえる空間です。無垢のカウンター、大きな菰樽、そしてヒノキ升。歴史を感じさせる正しいお酒を満喫し、心がすっと整うようなひとときを過ごせます。
| 店名 | ひろしまや |
| 住所 | 東京都千代田区有楽町2丁目10−1 |
| 営業時間 | 17時00分~23時00分 土日祝定休 |
| 創業 | 東京交通会館の建設前、 1949年頃 すし屋横丁で創業 1965年 ※東京交通会館竣工に合わせて館内へ移転 |
![Syupo [シュポ]](https://syupo.com/wp-content/uploads/2022/01/syupo-logo.png)
