錦糸町にある『喫茶ニット』は、かつてニット工場だった歴史を持つ老舗喫茶店です。創業から60年以上、変わらぬ空間で楽しむのは、銀皿のナポリタンと銅板で焼く分厚いホットケーキ。居酒屋ライター視点でレトロ喫茶の楽しみ方をご紹介します。居酒屋よりも居心地いいかも!?
昭和の空気が流れる、元工場の純喫茶

最近はプロントが「キッサカバ」を打ち出すなど、喫茶店とお酒の親和性が見直されています。ですが、都内には半世紀以上続く、お酒が飲める昔ながらの喫茶店がまだまだ健在です。
アルコールを扱っていない純喫茶が、あえて「純」と名乗る必要があったほど、町の喫茶店にはお酒があるのは当たり前でした(もちろん置いていない店もたくさんあります)。喫茶店飲みは、居酒屋のようにピッチを上げて飲む必要がなく、リラックスしながら自分の時間を過ごせる場所。うまく使うと、より豊かな街歩きの体験につながるのではないでしょうか。
神保町の「さぼうる」のようにお酒があることで知られる有名店もありますが、今回目指すのは錦糸町の『喫茶ニット』。

JR錦糸町駅南口から歩いて4分ほど。京葉道路を渡った先の少し静かなエリアに、そのお店はあります。

創業は昭和41年(1966年)。ユニークな店名の由来ですが、実はかつてニット(メリヤス)工場だったそうです。工場から喫茶店へと業態を変え、現在は3代目の店主とともに、90代になる女将さんも現役で切り盛りされています。

店内に入ると、そこは完全に昭和の世界。艶のあるあめ色の壁、きらめくレトロな照明、そして体を包み込むようなソファ。

天井が高く開放感があり、独特の落ち着きがあります。お気に入りのソファに腰を下ろせば、ここが令和の東京であることを忘れてしまいそう。
銀皿ナポリタンと名物ホットケーキで乾杯
席につき、まずはビールをお願いしました。

墨田区吾妻橋に本社を構えるアサヒビールの「スーパードライ」。お酒を注文すると、柿の種や豆菓子といった小さなおつまみが付いてきます。

ほどなくして、お待ちかねのナポリタンが運ばれてきました。銀色の皿に盛られた、鮮やかな紅色のスパゲッティ。
これが食べたかった!王道の喫茶店ナポリタン。

女将さんによると、洋食店が多い浅草から、わざわざ錦糸町まで都電を乗り継いで食べに来る常連さんもいたそうです。

麺は太く、ねっとりとした質感。自家製トマトケチャップソースがたっぷりと絡んでいる。ベーコンの使い方も贅沢。

スパゲッティはもちろんアルデンテではなく、ふにふにとした柔らかさ。

この食感がいい。気取らない美味しさに、ビールが進みます。

そしてもう一品、ここに来たら外せないのがホットケーキです。
注文を受けてから銅板で焼き上げるため、提供までに20分から30分ほどかかります。混雑時にはさらに待つこともありますが、お酒を飲んでいるので気になりません。

登場したホットケーキは、型で焼かれた正円の美しい形。分厚い生地が2枚重なり、その存在感に圧倒されます。

中央にバター、その上から氷糖蜜のシロップをとろりとかけていただきます。

ナイフを入れると、表面はパリッとしていて焼き菓子のような感触。中はしっとりとしていますが、最近流行りのスフレタイプとは違い、しっかりと目が詰まっていて固めの仕上がりです。口に入れると、バターの塩気、シロップの奥深い甘さが混ざり合う。
これにはウイスキー(650円)だね!
錦糸町の奥座敷で過ごす贅沢な余白

お腹も心も満たされ、最後にもう少しだけ余韻を楽しみます。『喫茶ニット』は、単にレトロなだけではありません。世代を超えて家族で守り抜いてきた歴史と誇りが、この心地よい空間を作り出しています。
旅先の昼食で郷土料理を選ぶのも楽しいですが、日常の延長にあるような、地域に根付いた喫茶店で過ごすひとときもまた、日々の記憶として深く残る時間なのだと思います。
店舗詳細


| 店名 | カフェ・喫茶 ニット |
| 住所 | 東京都墨田区江東橋4丁目26−12 |
| 営業時間 | 11時00分~20時00分 日定休 |
| 創業 | 1965年 |
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