近鉄特急アーバンライナーに揺られて三重県の県庁所在地、津へやってきました。津といえば、鰻。人口あたりの店舗数や消費量で日本一になったこともある「鰻のまち」です。今回は、普段から鰻料理が身近だったこの街で、地元の方に親しまれている『うなぎ処 谷本』を訪ねました。
鰻が「日常食」として根付いた城下町

津駅から地図を頼りに歩くこと約15分。もしくは三重交通の路線バスに揺られて数分。賑やかな駅前を離れ、穏やかな住宅街へ入っていきます。 このあたりはため池が多く、駅周辺にも川魚を扱う店も見かけました。水が豊かなこの土地だからこそ、鰻文化が育まれたのだと実感します。
安濃川、志登茂川、岩田川、雲出川などの河川が多く鰻がよくとれたことでしょう。さらに、城下町かつお伊勢参りの道中ということで、昔から食文化が多様だったことも想像できます。

津市の観光協会によると、昭和30年代頃までは市内で養鰻業が盛んに行われていたそうです。身近で手に入りやすかったことから、特別な日のご馳走というよりも、普段の食事として鰻を食べる習慣が定着たのでしょうね。
東京や大阪では高級品の代名詞ですが、いまでも津では驚くほど手頃な価格で提供されています。千円台からうな丼が楽しめる。市民の生活に寄り添った価格だからこそ、こうして長く愛され続けているのです。
住宅街に漂う炭火の香り

『うなぎ処 谷本』は、そんな鰻激戦区の津において、地元の人に評判の店。 店に近づくと、風に乗って炭火で鰻を焼く香ばしい匂いが漂ってきました。この香りだけで、もうお酒が飲めそうです。
暖簾をくぐると、店内は清潔感があり、落ち着いた空間。家族連れはもちろん、一人でもふらりと立ち寄れる雰囲気なのが嬉しい。私のほかにも、静かに鰻の出来上がりを待つ常連らしき一人客の姿がありました。
また、お昼から夜まで中休みなく通し営業なので、旅の途中に立ち寄りやすいのもありがたいです。
豪快な地焼き「うな丼上」で昼酒を

席につき、まずは喉を潤しましょう。 お願いしたのは「松竹梅 豪快」の冷酒。
きりりと冷えたお酒をちびりとやりながら、焼き上がりを待つ時間こそ、鰻屋飲みの至福のひとときです。

しばらくするといい香りが漂ってきました。蒸しの工程が入る関東風とは異なり、生の鰻を直接炭火で焼き上げる関西風の「地焼き」。焼きの技術が味をダイレクトに左右します。

「お待たせしました」 運ばれてきたのは「うな丼 上」(3,000円)。 蓋を開けた瞬間、立ち上る湯気とともに甘辛いタレの香りが鼻腔をくすぐります。

丼を覆い尽くすほどの立派な蒲焼。箸を入れると、皮目がパリッと音を立てるほど香ばしく焼かれています。 口へ運べば、皮はパリパリ、身はふっくらとした「パリふわ」の食感。噛みしめるほどに、凝縮された鰻の旨味と脂の甘みが口いっぱいに広がります。
東京の鰻に慣れている私には、かなりパワフルでしっかり強い味に感じます。
これぞ地焼きの醍醐味。蒸さない分、鰻本来の力強い味わいが残っており、炭火の燻煙香がアクセントとなって食欲を加速させます。

タレは、この地域らしい濃厚で甘めの味付け。 しっかりとしたコクがありますが、炭火で焼かれた鰻の脂と混ざり合うことで角が取れ、ご飯との相性も抜群です。 濃厚なタレを纏った鰻を肴に冷酒をくっと合わせる。幸せです。
鰻が名物の城下町っていいね!

今回は通し営業の『谷本』を目指しましたが、駅前や中心街にも鰻の老舗が多数ある三重県津市。
遠方から訪れる価値のある、質実剛健でお手頃の鰻丼が、この街にはまだまだたくさんありそうです。 津の歴史や風土に思いを馳せながら、絶品の地焼き鰻を味わってみてませんか。
店舗詳細



| 店名 | 谷本 |
| 住所 | 〒514-0061 三重県津市一身田上津部田1336−13 |
| 営業時間 | 11時00分~19時30分 火定休 |
| 予算 | 3,600円 |
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