浅草は観光向けの店だけにあらず。古くから地元の浅草っ子に親しまれてきた店は、どれもレベルが高い。ご紹介するのは、重要文化財である二天門のすぐ目の前、『二天門やぶ』。1954年(昭和29年)の創業から三代続く老舗は、通し営業なので遅い昼食や昼飲みに最適。今回は評判のカツ丼に東京の酒・金婚をあわせます。
二天門の目の前、三代続く老舗の暖簾

浅草寺の境内を抜け、東側の二天門を出るとすぐに見えてくる『二天門やぶ』。2017年に改装された店舗は、コンクリート打ちっぱなしの壁に木目をあわせたモダンな外観ですが、その歴史は半世紀以上前に遡ります。
昭和29年の創業以来、三代にわたり家族で暖簾を守り続けてきました。観光地のど真ん中でありながら、扉を開けるとどこかホッとする空気が流れているのは、長年培われてきた家族経営ならではの温かさゆえでしょう。
明るく清潔感があり、女性の一人客やお年寄りの姿も目立ちます。11時の開店から中休みなく営業されているため、混雑する昼時を少し外して、遅めの昼食兼晩酌で利用するのがオススメです。
蕎麦屋でカツ丼をアテにする、至福の昼酒

席につき、まずは地酒「金婚」をお願いしました。 下町の老舗蕎麦店でよく見かけるこのお酒、キリッとした飲み口で料理の味を邪魔しません。昔ながらの瓶ごとつけてもらうお燗が嬉しいです。

蕎麦屋といえば「天ぬき」や「板わさ」で一杯やるのが粋ですが、ここではあえての「カツ丼」。

こちらのカツ丼は、運ばれた瞬間に甘辛い出汁の香りが漂い、食欲をそそります。カツは分厚く、玉ねぎと卵でしっかりとじられています。

一口頬張ると、老舗蕎麦屋特有の出汁が効いた甘めのタレが衣に染み込み、豚肉の脂の甘みと混ざり合います。ご飯は少し硬めに炊かれており、つゆだくになってもベチャッとしません。

味が濃いめなので、ビールはもちろん合いますが、お燗酒もちょいどいい。

カツを肴に酒を飲み、時折お新香や吸い物で口をリセットする。蕎麦屋のカツ丼は、立派な酒のつまみになります。
作家・池波正太郎は「とんかつには日本酒だ」といいましたが、カツ丼にも日本酒ですね。醤油、みりん、酒の組み合わせは日本人の遺伝子に刻まれた美味しい組み合わせ。
浅草の歴史に裏打ちされた、ハズレのない名店
浅草は観光地ゆえに、一見客向けの派手な店も多く、店選びに迷うこともあると思います。ですが、あちこち訪ねてわかったことは、長くこの地で愛されてきた歴史ある店にハズレなしということ。 浅草寺二天門の傍らで、三代にわたり変わらぬ味を守り続ける実直さ。カツ丼の丼つゆの染みたご飯の最後の一粒まで、その歴史を感じながら味わいました。
店舗詳細

| 店名 | 二天門やぶ(にてんもんやぶ) |
| 住所 | 東京都台東区花川戸1丁目15−7 |
| 営業時間 | 11時00分~17時00分 |
| 創業 | 1954年 |
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