町中華とも、近年注目の新進気鋭のガチ中華とも違う、本物の台湾屋台料理が荻窪で味わえます。カウンターだけの小さな店を切り盛りするのは、この道30年以上のベテラン女将さん。常連さんがお酒を片手に寛ぐ空間は、まるで台北の路地裏に迷い込んだかのよう。今回は、台湾好き、酒場好きなら見逃せない一軒をご紹介します。
扉の先に広がる、懐かしい台湾の空気

JR荻窪駅南口の仲通り商店街を善福寺川方面へ歩くこと5分ほど。賑わいが少し落ち着いたあたりに、独特のオーラを放つ一軒の店が見えてきます。台湾料理「瑞鳳」。知らなければ少し入るのに勇気がいるかもしれませんが、その扉の先には温かい時間が流れています。

L字カウンター11席のみのコンパクトな店内は、いつも常連さんたちの楽しげな声で満ちています。壁一面を埋め尽くす写真付きのメニューは圧巻。この雑多で活気のある雰囲気が、台湾の夜市そのものです。

創業して30年以上。台湾出身のご家族で始めたお店で、一時は北口にも店舗があったそう。現在はここ南口仲通店に集約されていますが、その歴史がお店の深い味わいになっています。気さくで明るい女将さんとの会話もこの店の醍醐味。「いらっしゃい!」という元気な声に、思わずこちらも笑顔になります。
気分は夜市!本格屋台料理と紹興酒に酔いしれる

お酒の品数が多く、値段も手頃なのが嬉しいところ。まずは台湾の定番、台湾ビールで喉を潤し、続いておなじみのキリンラガーへ。周りのお客さんたちも、料理をつまみながらお酒を飲むのがメインのようです。まさに「飲める」台湾料理店ですね。

それでは乾杯!

大ぶりのしじみにニンニク醤油がしっかりと染み込んだ、お酒好きにはたまらない一品。

トロトロでチュルッとした食感。これを一口食べれば、もう紹興酒を頼まずにはいられません。

台湾産と、中国本土の甕出しの2種類があるとのこと。今回は女将さんにおまかせで甕出しをいただきました。ボトルで頼めば、心ゆくまで台湾料理とのペアリングを楽しめます。

そして、メニューにあれば頼まずにいられないのが臭豆腐。独特の香りがしますが、これこそが本物の証。揚げたてにタレがかかったスタイルで、外はカリッと、中はふんわり。日本の他のお店ではなかなか出会えない、本格的な味わいです。女将さんが「大丈夫?」と心配してくれましたが、この味を求めて来るファンも多いのだとか。

台湾といえば、肉おこわも外せません。椎茸や豚肉がごろごろ入った「瑞鳳」の一番人気メニュー。

しっかりとした味付けが施されたもち米の一粒一粒までが、紹興酒の最高のアテになります。

〆には焼きビーフンを。日本の家庭で食べるものとは一線を画す、しっかりとした歯ごたえと本格的な味付けが特徴です。

香ばしい香りが食欲をそそり、満腹のはずがスルスルと胃に収まっていきます。
荻窪で台湾の温かさに触れる夜
気さくな女将さんの人柄と、妥協のない本場の味。常連さんが毎日のように通うのも納得の、温かく居心地の良い一軒です。
台湾の夜市料理が恋しい方や、中央線沿線で個性派の老舗酒場をお探しの方、ぜひ「瑞鳳」の扉を開けてみてください。きっと、お腹も心も満たされるはずです。
店名 | 瑞鳳 |
住所 | 東京都杉並区荻窪5丁目7−10 |
営業時間 | 11時00分~23時00分 基本無休 |
創業 | 1984年に北口店(現存せず)創業 1990年代に現在の店舗が開業 |