和歌山「多田屋」 酒屋直営、朝から郷土料理で飲める駅前の名物酒場

和歌山「多田屋」 酒屋直営、朝から郷土料理で飲める駅前の名物酒場

2017年2月5日

和歌山駅前で約1世紀続く角打ちで、なんと朝からやっている酒場「多田屋」をご紹介します。

和歌山のグルメといえば、和歌山ラーメンと梅干しが有名ですが、実は日本酒づくりも盛んな地。和歌山でつくられる黒牛や紀土 KIDは、東京の有名百貨店でもお馴染みの有名銘柄です。

徳川御三家の紀州藩の城下町であり、JR和歌山駅と南海和歌山市駅の間に和歌山城を挟むかたち。飲み屋街も広く店数は多く立派。中心街のデパートの撤退など、昼の顔は活気がいまいちといった感じですが、酒場はまだまだ元気です。

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駅前で約1世紀

そんな和歌山の飲み屋街で代表的な存在「多田屋」は、なんと朝9時から営業。JR和歌山駅にも近く、大阪へ60分で結ぶ阪和線「特急くろしお」の発車時間までのチョイ飲みにも最適。

店の看板の通り、母体は酒販店。ですが角打ちではなくれっきとした大衆酒場です。創業は1927年(昭和2年)という老舗。

「朝から飲める店は、朝から飲むのが醍醐味。」

大きなガラス張りの扉から差し込む朝の日差しに照らされ、店内は健康的な明るさと暖かさに満ちています。

酒販店ということもあって、アルコール類の顔ぶれはまるで見本市。ビール大手3社に、サントリーのウィスキー各種、西日本では珍しいホッピーも扱います。本格焼酎好きは森伊蔵や魔王が普通に並んでいることに驚く。日本酒は、地元和歌山や近隣の酒造が作る現地飲用向けの定番酒がほぼすべて揃います。

十四代、獺祭、田酒など人気の銘柄が並びます。店内のあちこちに冷蔵ショーケースがあり、一升瓶がごろごろと冷やされています。メニューに出ていないものもあり、店内を散策して気になる銘柄を見つけるのも楽しい。

明るい店内、豊富なお酒

日本酒はもちろん飲むとして、一杯目はやはりビールと行きたい。生樽はアサヒスーパードライ(450円)。瓶では、アサヒの黒のほか、キリンがラガー(RL)に発泡酒淡麗、和歌山づくり※取材時、サッポロではヱビスと赤星という並び。

和歌山で赤星は数えるほどしかありません。大びん(520円)で乾杯!うん、変わらず美味しい。

酒販店だから酒が豊富。ですが、実は料理も圧巻の品数。おでん、お刺身、うどんに鍋まであります。和歌山県は太地町は鯨漁の街。和歌山では様々な飲食店でみかけるくじら料理は、多田屋にも。

ご当地料理で朝から飲もう

まずは地元の酒蔵の酒粕をつかった粕汁を。旅先の酒場のカウンターで女将さんが「どうぞ」と出してくれる粕汁、ただそれだけで嬉しい。具だくさんで優しい味。まさに沁(し)みる味。

先客のお父さんたちはニラ玉や串かつなど、酒場の定番で盛り上がっていますが、せっかくだからとくじら刺身(680円)。ちょっぴり凍っているので少し時間を置いてから。ご当地のちょっぴり甘い醤油でいただきます。

今回は赤身にしましたが、ホンカワやふけりなども試してみたい。

大きなコの時カウンターと、それを囲むようなテーブル席の配置。東京ならば焼鳥の焼台、関西ならばどて煮の鍋があるような場所に、多田屋はグリラー(焼物器)が鎮座。浜焼きのごとく、串に刺したタコ足や海老、サザエなどを焼いてくれます。

和歌山港まで6キロの距離。やはり港町の酒場は独特な個性があります。

壁一面の短冊、蛍光灯に照らされた店内、夜勤明けのお父さんたちが「きゅっと」と日本酒をすする世界。カウンターでのんびりと「世界一統」や「羅生門」を片手に、空間に溶けていきたい。

ネクタイに作業着姿のお父さんたちが入ってきて、牛もつ丼とうどんをかきこんでいきました。さすがに飲まないで。そうか、ここは食堂にもなっているのね。

和歌山へいきましたら、立ち寄り必須の名酒場です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

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