日暮里『助平』長崎出身の二人が手掛ける秀逸焼鳥の酒場

日暮里『助平』長崎出身の二人が手掛ける秀逸焼鳥の酒場

2016年2月22日
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日暮里に秀逸な酒場がある。なんでも長崎から来た二人が手掛ける焼鳥がそれはもう美味なのだとか。そんな情報を聞いてしまうと飲みに行かずに入られません。いえ、むしろ今までどうして飲みに行っていなかったのかが悔やまれるくらい。日暮里の「助平」です。

駅前東側の再開発で生まれ変わった高層マンションの一階にあります。近くには酒屋の隅で立ち飲みできる”角打ち”もあるので、二軒目にも困りません。

助平のオープンは2015年の夏。まだオープン後最初の冬を乗り切っているところです。新年会シーズンも終わり全国の飲食店が落ち着きを見せているなか、こちらの「助平」は常連さんで絶好調のご繁盛ぶりです。決していい立地ではありません。初めて行く人は迷いそうな駅からぐるりと回った場所、人通りもさほどありません。じゃあなんで?答えは簡単、味と接客です。

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飲食の基本は味と接客ですよね!それがよければ自然とよいお客さんがついて、店全体の雰囲気がよくなります。まさに、酒場という空間は店主の心を映す鏡。

ビールは嬉しいことにサッポロラガーを推しています。長崎からいらしたお二人には赤星は馴染みではないはずですが、よくご研究されています。

明るく清潔だけど暖色系統でまとめられたホッとするカウンターに座り、喉を潤す一杯。

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それでは乾杯!くぅーっとくるこの味。いつも変わらないからこそ毎日飲めるビールです。

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お通しは大根おろし。焼き鳥店のお通しに大根おろしを出すところは期待ができます。しらすに醤油をたらしてそのまま食べるもよし、焼き鳥をくぐらして食べるもよし。※大根が売り切れると別のものになることもあります。

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フードメニューをみると種類はだいぶ絞られているのがわかります。ちょっと高級かなと思うかもしれませんが、いいえ、そんなことありません。満足感はそんじょそこらの比ではありません。6本おまかせが順にでてくるハラペココースを注文。苦手なもを聞いてくれるので、特定の部位なしも受けてくれます。肴は酒場の小鉢の定番という感じで、焼き鳥に全力なことがここからもわかります。

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もう一枚、日替わりのペラがありますのでこちらから…

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福岡の郷土料理、鰯明太がありました。鰯に明太子をつめたもので、焼き鳥同様に串に挿して直火焼きです。マカロニサラダは私のお気に入り、これも頼みましょう。温やっこは湯豆腐ではなくて具だくさんの鍋風のものがでてきます。

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そんなこんなと、フードを悩む間に赤星の中びんはあっという間に乾いてしまいました。お次は生ビールといきましょう。生樽のサッポロ黒ラベル、ディスペンサーの状態もジョッキの洗い方も、そしてガス圧だって完璧です。ぷりぷりのきめ細やかな泡と厚いフロスティミストの層でパーフェクト。

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きりりと美しい黒ラベル。結露したジョッキの縁を垂れるしずくまでもが美味しそう。やっぱりこれですよ、コレ!サッポロさん、いい仕事していますねー。

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そして待っていました、マカサラ。小ぶりのもちもちマカロニにマヨネーズ控えめ、胡椒がきいたベーコンの旨味とともにいただく一品。

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一杯目の生ビールやなんということない料理がしっかり仕事されていると、お店のメイン料理にも期待が持てるというもの。

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鰯明太をおつまみに、くいくいと飲み進めていきます。鰯そのものが味のつよい魚ですが、そこにさらに明太子をいれた飲兵衛なら手放したくない一品。

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ビールばかり飲むのもよいのですが、ちょっと味を変えてお店オリジナルのお茶ハイを注文。濁りのある玄米茶を使用していて、甘みが感じられる素敵なドリンクです。

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そんなフードやビールで楽しんでいる間にタイミングよくでてくる焼き鳥たち。まずはあっさとり、涙焼き。みるからに辛そうな西洋わさびがたっぷり。

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すなぎもは小ぶりですが、表面はぱりっと中はもっちりジューシー、焼き方も上手ですし、鶏そのものもなかなか。

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鶏からでてくる脂によっていぶされて、表面にねっとりと旨味をまとったかしわ。最高でしょう。

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手羽もついてきて850円ならばむしろリーズナブルでは。

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どれもこれも、実に丁寧な仕事、下ごしらえも焼き方もタレの味もいい。

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持ち上げても垂れてこないのに、くちに入れた瞬間にとろけるように広がる肉汁。この旨味にビールなしなんて無理に決まっています。

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もちもちにつくられたつくね、味付けはあえて塩で。鶏そのものの旨味が素晴らしい。焼き加減が絶妙で、どれも外はパリっと中はほくほくです。

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卵黄の醤油漬けも逸品!しっかり固まっていて、箸ですっと切り分けて食べるようなもの。長崎らしい甘めの醤油が使われているので、お酒がますます進みます。

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最後にすっきりと冷やしトマトでおしまい。最後の最後までおいしく、そして心地良く過ごさせていただきました。

日暮里にこんなにハイパワーなお店ができたなくて、もっと早く知っておくべきでした。常連さんも多く、流行る理由がよくわかります。明るく丁寧、すがすがしい接客なのに、22席をふたりでまわしているお二人もこれまたハイスペック。老舗だけじゃない、新進気鋭という言葉はまさにこういうお店のために使いたい。焼き鳥好きの方、お試しあれ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)